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例え、歪んだ愛だとしても stage2 * 兄の独白 *

作者: 鈴七

前作続きです。柚視点。

よろしくお願いします。

「なら、ずっと離したりしないでよね。」


その言葉を聞いて、俺はそっと歪んだ笑みを浮かべた。






俺には幼馴染みがいる。


昔からどんなときも一緒にいる、何よりも大切な幼馴染み。


幼馴染みだと思い、付き合っているのが実の兄だとも知らずに幸せそうに笑う、馬鹿で愛しい、大切な幼馴染みが。



話すと長くなる。


なぜ兄弟なのに、幼馴染みの関係となっているのか。これには深い訳があるのだ。


柚と俺は、半分だけ血の繋がった兄妹だ。


父親の不倫によって生まれた、腹違いの妹。


この事を初めは母だけが知っていた。


本当は俺達の知るよしの無いこと。


このまま知らずにいれば、俺達は幼馴染みだと思ったまま、一生を共に過ごしていただろう。


しかし、俺は知ってしまった。


母の死んだその日、母が部屋に隠した日記帳の存在によって。



その頃からずっと好きだった萌との、本当の関係。


幸いなことに父はこの事を子供に言う気は無いらしく、俺は萌が決して知ることの無いように注意しながら育てることができた。



可愛い可愛い、俺だけの萌。


萌を俺に依存させるのは、思ったよりも簡単なことだった。


甘やかし、時には叱り、自分には俺しかいないと錯覚させ、依存させる。


萌は俺の理想となり、俺の全てとなった。


萌、知らずのうちに実の兄と付き合ってしまった、可愛い可愛い、俺だけの萌。


心配しなくていい、大丈夫だ。


父親も、実の妹と知って愛した俺に恐怖を抱いて、最近は全く家に帰ってこないし、


俺達の秘密を知るものは俺以外誰もいないから。



傍らの温もりをそっと抱き寄せて言う。




「だから、萌は俺の事だけ好きでいればいいんだよ。」




お前を死ぬまで愛してやるから。


全て、お前だけに注ぐから。





例え、それが歪んだ愛だとしても。

東雲 萌

前作の主人公。兄の柚により理想体に育て上げられた女の子。

本人も柚が好きなようですし、真実を知らない限りは幸せに過ごせるでしょう。


東雲 柚

本作の主人公。萌の兄。

萌を自分の妹だと知りつつも愛し、最終的には互いに依存し歪んだ愛を注ぎあう事によって幸せになる。

萌には死ぬまで真実を話さないでしょう。


萌と柚の母親

自分の死を知ったとき、柚が見つけるように自分の部屋に日記帳を置いた張本人。

柚が萌に異性としての愛情を持っていることを知り、それを止めようと柚だけに真実を話すも、裏目に出てしまった可愛そうな人(


萌と柚の父親

そもそもの元凶。

浮気相手は会社の後輩女性。

萌に近づき真実を話さないように、残りの人生を柚に監視され続けることでしょう。




ありがとうございました

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