人間です
女の子が主人公です。
誤字脱字ありましたら申し訳。
私は木に絡み付いた蔦から赤っぽいオレンジに熟した木苺をとり口に入れた。
甘酸っぱい味が口に広がり幸福感に浸る。
私、鈴村 さより は森の中で絶賛迷子中だ。
迷子の基本はその場で動かないこととどこかで聞いたことがあるので迷子になった三日間ほとんど動いてにい。
私がいた川とは少し景色が違う気がするが…気のせいだとしよう。
水も、食べ物もあり幸いなことに生きるには困らなかった。
ふと、何かの気配を感じて顔を上げた。
迷子になってからはじめての気配。
熊とか危ない動物だったらどうしようと思いながら確認をした。
馬が水を飲んでいるようで、鞍がついているってことは誰か近くに人がいるのかもしれない!
すると、馬の影からこちらを見る青い瞳と目が合う。
すると、すごい早さで私のもとに走ってきたと思ったら私を抱き上げてしまった。
抗議の声をあげるが、すべて無視。
なのに、不思議と怖いとは思わなかった。
というか、怖いと思うような表情ではないからだろうか。
青い瞳の青年は金色の髪をなびかせながら馬を走らせている。
その表情はほっぺが桜色で口許は楽しそうに笑っていてとてもかっこいい。
これでもう少し若かったら求婚する勢いだ。
私は落ちては怪我をすると思い必死に青年に抱きついている。
そして、はっと気がつくと町の中に移動していた。
某夢の国でみたような中世の町並み。
そして、石造りのお城。
写真などでみたことがあるような立派なお城だ。
「きゃっ」
青年は私をお姫様だっこしたまま馬から飛び降りました。
思わず小さな悲鳴をあげてしまいましたが、そんな私をみてますます笑みを深くし青年は笑います。
お城の中をずんずんと進んでいってひとつの部屋に入ります。
大きな机に豪華な椅子。
座っているのは青年と同じくらいの年齢の青年でした。
黒い長髪はさらさらと美しくきらめき、思わず触りたくなるような髪で、シャンプーのCMだって出れそう。
そして、青年が何かを言って黒髪の青年はため息をついてそばについていた執事の方に何かを頼んでいる。
しばらくするとひとつの小さなジュエリーが入っている箱を持ってきた。
小さな青い宝石のついた細身の指輪。
青年は私の手をとりナイフを取り出す。
私は何をされるのか怖くなり身をよじるが、健康的な青年の力に敵うはずもなく指先に鋭い痛みが走る。
青年は指輪に私の血を垂らした。
すると、指輪は淡くひかり、私の血も吸い込んだようになくなっていった。
青年はは満足そうにうなずき、指輪を私の指にはめました。
そして、指輪にキスをするとニコッと笑い私の指に魔法で治してしまいました。
驚いて声も出ません。
指を見るとやはり傷跡すらも残さずに消えています。
「えっと…僕の言葉わかる?」
急に理解ができるようになった言葉にはっと青年を見上げます。
「とりあえず下ろしてやったらどうだ?」
黒髪の青年はほおずえをつきながらこちらをみて言う。
青年は渋々と言うような顔で私を床に下ろしてくれた。
青年は身長が高く、190はあるだろうか。
140センチの私からしたら巨人だ。
「な!!妖精さんだろ!!」
青年は黒髪の青年に訴えるように叫んだ。
呆れたような黒髪の青年は私を爪先から頭の先までみているようだ。
その瞳は鋭く少し怖い。
青年はたれ目なので正反対な二人だなと心で思う。
「どうして彼女が妖精だと思ったんだ?」
「だって!だって!精霊の森の川の近くで木苺を食べてたんだ!!」
どうして、それだけで妖精だとおもった!
今の自分の格好を見直す。
三日も迷子だったから服も汚れているし、川に入って遊んでいたから靴もはいていない。
私の格好はどう考えてもこんなきらびやかなお城にいるような格好ではない。
「君、名前は?」
「さより…です」
考え事をしているところに突然声をかけられとっさに名前をいってしまう。
「かわいいー!ほら!なんか珍しい名前じゃん!!妖精さんだよ!」
この青年の頭はどうなっているのだろうか。
ファンタジー過ぎるだろ!
「君は妖精かい?」
「違います」
「ほら、違うって」
話は終わりだと言うように黒髪の青年はまた机の上の書類を片付け始める。
「でもでも!黒髪だよ?黒い目だよ?君と同じだ!」
「だから?はやく、もといた場所に返してあげなさい」
「あのぉ~…」
二人の会話に挟むように声をかける。
二人の瞳がこちらをみる。
「できればもとの場所に戻さないでほしいのですが…ここはどこでしょうか?あの、迷子にってしまったようでして…」
「精霊の森で迷子?」
目を見開き驚いたように問い返してくる黒髪の青年。
あれ?もしかして。
地雷踏んじゃった?
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