第七話 王の心配事~ダニエル視点・1月25日~
カスティーナはトスカーナが苦手らしい。理由は不明。
カスティーナは覚えていないだろうが、12歳だったトスカーナは初対面で当時10歳だったカスティーナにつばをかけたことがある。トスカーナはカスティーナが大嫌い。そのことに対して腹立たしい。
「お父様、失礼いたします」
カスピアとトスカーナ以外の家族が集結していた。お母様の眼光が鋭くて怖い。
「ミハエルに聞いたら遠くの国ではトスカーナが飲んだ毒にゆっくり効くものがあるらしいわね」
「お母様、まさかそれで私たちを疑ってたりなんて・・・」
カスティーナが怯えながら尋ねる。かみつきはしないから、怯えなくてもいいのに。
「兄妹の仲が世界一悪いのは分かっているから疑っていないわ」
「よかったですわ・・・」
「わしがミハエルに訊いたところ、持ち込みが可能なのはな、ウェルズ伯爵の関係者らしい」
「伯爵の?」
「ああ。伯爵が毒を飲んだ際に対応するためらしい。しかし、生憎、ストックがなかったらしい」
「そんな・・・」
「問い詰めようにも、伯爵夫人曰くほとんどの人を解雇したらしい」
「ではどうするのですか?」
「カスティーナ、俺はトスカーナを問い詰めたぜ?だがだめだった」
「まさか、ミハエル」
私が尋ねると頷いた。
「ああ、殺すしかない」
「ダメよ、ミハエル。いくら私が優秀な暗殺者としても」
「お母様、俺はトスカーナの評判なんて知ったことではないんです。でも、伯爵夫人から泥棒の疑いはかけられたくないでしょう?」
「そうね・・・」
「お母様、トスカーナお姉さまを殺すのですか?」
「ええ、しばらくしたらね。伯爵夫人・・・義理の妹と仲悪くなりたくないわ」
「分かりました」
私たちは庭園に出ることにした。気持ちを落ち着かせるためだ。
「伯爵の家が近いから確かに疑われるわ、ダニエルお兄さま」
「そうだな・・・」
庭園にはリーアの妹がいた。確か、ええと。
「あれはミーナかしら?」
「わ、リーア、いつの間に」
後ろにリーアがいた。ミハエルもいる。
「なあにぼうっとしてんだ?カスティーナは噴水のところに」
「しっ」
リーアと違い、動きやすい格好。髪は短めのサイドテール。
「やあ、ミーナ」
「遅いじゃない、カスピア」
「すまないな、少し用事がな」
「ここじゃ落ち着かないから、別のところに行きましょう?」
2人がいなくなると、私とミハエルは顔を見合わせた。
「どういうことだ」
「こういうことだ」
「私がミーナを紹介したの」
リーアはすまなさそうな顔をしている。どうしたのやら。
「カスピアに婚約者なんてお父様はつけないさ。なにせ無能だからなあ」
「でも、心配だわ。ミーナなんて私初めて見たもの・・・」
「は?」
「え?」
「ダニエルお兄さま~!あのお方引き剥がすべきですわよ~!」
カスティーナが走ってきた。確かにそうすべきだと思った。
余計なお世話もほどほどに。




