第六話 奇跡~カスティーナ視点・1月25日~
ウェルズ伯爵が逝去され、ミハエルお兄さまは大忙し。私やダニエルお兄さまはお父様から色々と習っていた。
お父様に習ったあと、私達はソファーで紅茶を飲みながら休憩していた。
「カスピアお兄さま、最近見かけないわ。どうしたのかしら」
「さあな、無能なんて知るか」
「ダニエルお兄さま! 」
誰かが走ってきた。あの美しい薄い緑色の髪は、トスカーナお姉さま!?
「ト、トスカーナ!? 」「トスカーナお姉さま!? 」
「私、お兄さまに会いたかったですわ! 頑張って治したのです」
「……」
死ぬだろうと言われていたのに。どうして!?
信じられない私達の目の前でトスカーナお姉さまは回る。
「信じられない? 私は生きているわよ」
「お父様のところにいけ」
「分かりましたわ」
すると、カスピアお兄さまが怒った顔で現れた。
「どんな手を使った」
「何、その態度」
「気合いで治すなど無理だと言っているんだ! 」
「……あとでお話しましょう」
2人は別々の方向にいってしまった。何で怒った顔してたのかな。
「カスピア、どうしたんだろうな。トスカーナに文句を言うなんて今までしなかったのに」
「分かりませんわ。あんなにひ弱なお兄さまが……」
私は考えるのをやめた。メイドがおやつを持って来たから。
ふたの下のおやつは何かしら。
「おやつですよ」
「まあ、今日は何? 」
「ド・ガーテ(チョコレートケーキのようなもの)ですよ」
「わあ、大好物だわ! 」
いつものように2人だけの時間。なのに。
「お兄さま! 私も! 」
「困りましたね……。2人分しか」
「こういう時は末が我慢すべきでは? 」
トスカーナお姉さまに言われ、俯く。我慢、しなくちゃ。
すると、ダニエルお兄さまが私の頭を手で優しく叩いた。ぽんぽん、と。
「私のをトスカーナと半分こにしよう。それならいいだろう? 」
「まあ、末のくせに! 」
ダニエルお兄さまはトスカーナお姉さまを睨みつけていた。
「それでは、いただきましょう」
いつもの場所で3人で食べるのは不思議な気分。ド・ガーテは美味しいけど、もやもやする。
「ダニエルお兄さま、お父様が不機嫌でしたわ。どうしてかしら」
「さあな」
「ミハエルお兄さまに何かあったのかしら……」
「……」
相変わらず無視される。でも、いい。
「ウェルズ伯爵がお亡くなりになられたと聞きましたけれども」
「ああ、その犯人が出てこないから不機嫌なんだろう」
「まあ……」
ダニエルお兄さまは不機嫌だった。やはり、死んでほしい相手が生きているのが不快なのかしら。
「ごちそうさま。カスティーナ、フォークをなめてないでお父様のところに行くぞ」
「ええ」
トスカーナお姉さまに睨まれる。怖いわ。
出しゃばり、ダメ、絶対。




