2 73年
私は今年で13歳。いつかトルワード国のリュメヒ公爵に会いたいと思っていたりするナメディア国の王女。
「私の秘密? 」
「うん、噂なんだけどあの極悪王カスピアがミルフィのお父さんなんだって」
「嘘でしょ、本当だったら最悪だよ」
「私も信じられないよ」
「アハハ」
親友のカナの話していた噂が本当か知りたくて、学校から帰るとお母様に尋ねた。
「ねえ、お母様。極悪王カスピアって」
「カスピアのことを極悪王って言わないで! 」
お母様に叩かれた。お母様は泣いている。
「あなたのお父さんなのに、ヒドいこと言ってはダメよ」
「噂は本当なの? 」
「ハア、また情報操作しないといけないわね。行ってくるわ」
お母様が何を言ってるのかは分からなかった。
カナがちょうどやってきた。
「ね、ねえ。王妃様にすごい睨まれたんだけど」
「私のお父さんはカスピアなんだって」
「うわ、本当なんだ…」
「お母様は情報操作してくるらしいの」
「……諜報活動なら王宮の人に任せるべきだよ」
お母さんについてはあまり深入りしてはいけないといつも言われている。諜報活動をしていたのかな?
「あら、カナ来ていたのね」
「リオ、ちょっと何しにきたの? 」
リオは上流貴族で黒魔術協会会長のハメット家の父親の連れ子。その態度から私は嫌い。
「リオさんの父親ってトルワード国の人ですか?」
「そうらしいわ。母親はトスカーナさんですって」
「リオ、トスカーナさんはカスピアさんに殺されたのよ? 」
「本当らしいわ。笑ったときの顔がそっくりだって言われたの」
「……あれ? 私のお父さんがカスピアさん、リオのお母さんがトスカーナさんってことは」
「トルワード国王子、私、ミルフィはいとこ同士なのね」
「うわあ、それがあちこちに知られたら…」
「既に私達リュメヒ家の諜報隊が手をうちしましたのでご安心ください」
「誰!? 」
「諜報隊隊長、ダージャです」
「……」
リュメヒ家の、諜報隊? 国じゃないんだから…




