第二十四話 誕生日~ミーナ視点・10月29日~
「お誕生日おめでとう、ミルフィ」
「うー」
隣国の王様と結婚することになり、私はリュメヒ公爵の元から離れることにした。リュメヒ公爵は納得していた。
「それじゃあもう来るなよ」
「ひどいわね。トルワード国との貿易を盛んにして遊びに来るわよ」
「堅物を納得させれたらいいがな」
「そうね。まあ頑張ってみるわ」
ミルフィを抱いて、夫が待つ馬車に乗る。
馬車が走り出す。
「そういやそのミルフィちゃんの父親とはどういう関係なんだ? 」
「一時期は本当に愛した人よ。ただ、私が妊娠しても気づかない無能な人だったけど」
「はっ、バカなやつだな」
「ところでトルワード国と貿易盛んにする気ない? 」
「あー、なるほど。倹約好きなトルワード国相手は難しいぞ」
「好きで倹約はしていないのよ。元王妃様たちが国を建国して間もない頃、大飢饉にあったからなの」
「喜ぶか? 」
「カーン公爵の領地の領民は大喜びしているらしいじゃないの。他でもしなさいよ」
「検討しておく」
私は少し寝ることにした。
私が嫁ぐのはカーン公爵の領地のように料理がとても美味しい国。小さな国だが、飢餓にならないよう計算されているのだ。
「着いたぞ」
「まあ綺麗な王宮だこと」
「トルワード国は質素だからなあ」
豪華絢爛な王宮はまさに私に相応しいものだった。ウフフ、楽しみだわ。




