第二十一話 決意~ミーナ視点・12月25日~
順調に裁判は進む。私はミハエルに王都の酒場に呼び出された。
「やあ、すまない」
「遅いじゃないの」
「……ところで君にカスピアとの子供がいるのは本当か?」
「ええ、そうよ。60年10月29日生まれの子供。今はリュメヒ公爵の屋敷の乳母に任せてるけれど」
「そうか……」
「そういえばなんで呼び出したの? 」
「カスピアのことについてだ。全然反省していない」
「ん、そう」
私は鼻で笑う。やっぱり、まだ信じてるのね。私が現れることを。
「暗示はとれてるようだ。あれがカスピアの本心なのか? 」
「そうじゃないの? 私ばかり見ていたから黒くなったんじゃない? 」
「ミーナは、もう殺人はしないのか」
「子供もいるのよ? 悪影響しかないわ」
スッとメニューをさしだしてきた。あら、おごり?
「何か頼むか? 」
「そうねえ、たまには美味しいものが食べたいわ。カーン公爵のところは本当にすごいし」
「ここはカーン料理の酒場だ。少し高いが味はカーン料理」
「あら、嬉しいわ」
私は母親にならないといけない。こうしてミハエルに会うのも最後になるのかもしれない。
「ああ、でもカスピアを最後に殺したいわ。お父様の言うこときかないと怒られちゃうわ」
「俺はいいのか? 」
「特別よ。あなたまで殺したらこの国が大荒れしちゃうわ」
ふうっ、とため息をつき頼むものを決める。何がいいかしらねえ。
「じゃ、これ。デスピナ」
「あ、俺も」
ついクスッと笑う。久しぶりに楽しいわ。
「そういえば今日、パーティーを開く予定なんだ」
「あらまあ、私も行こうかしらね」
「王宮のパーティーはもうないのか……? 」
「多分。私が情報操作していたから意味ないのに」
「おまたせしました」
デスピナはほろ苦いケーキ。原材料不明だが、とても美味しい。
「食べたらさっさとパーティー会場に行きましょう」




