第二十話 終わりへの槌の音~62年11月1日・カスピア視点~
ミーナが姿を見せなくなった。でもまあいい。こうして国王になれたのだから。
「カスピア、確保! 」
「なっ! 」
庭園のベンチに座っていると突如、捕まった。どうやら警察のようだ。
「国王に何をするのだ」
「ミハエル様からの訴えによりカスピアを複数の殺害容疑で逮捕、起訴する」
「……ははっ、あの兄がいたか」
うぬぼれすぎたのかもしれないな。いずれにせよ、私は終わりなのか。
「しばらくしたら面会希望者がくる。その後からお前は殺人鬼として裁判にかけられる」
「……」
殺人鬼とはひどいな。ミーナが計画したりしているのだから。
「やあ、カスピア」
「今更何だ」
「俺も裁判にかけるのは嫌だったが、仕方ないことだ」
「当たり前のように言うな」
「なあ、カスピア。黒幕を教えてくれないか? 」
「さあな」
ミハエルは突然立ち上がった。そして、私を平手打ちすると去ってしまった。
「あいつは何なんだ」
「おい、行くぞ」
どうやら面会希望者はミハエルのみのようだ。はは、ミーナにも嫌われたか。いや、遠くにいるのだろう。
「これよりカスピア元国王の裁判を開廷する」
槌の音が響く。傍聴者はお怒りの様子だ。
「まず、最初の事件。ウェルズ伯爵を毒殺するべく、パーティー会場の料理に毒を混入させた。しかし、ウェルズ伯爵は即死しなかったため、とどめをさした。正しいかね」
「ああ」
ミーナの事は伏せよう。私を助けてくれた、愛しい人。
「ではこのことについて裁判を開始します」
こうして地獄の裁判生活が始まった。
捕らわれても愛しい人のことは忘れない。




