第十六話 孤独な王~ダニエル視点・60年12月25日~
私は広い王宮にただ一人いる。親族は皆いない。カスピアも姿を消し、さほど仲のよくない大臣がいる。
……訂正しよう。私は広い王宮で孤独なのだ。
「王、カスピアがいない内に裁判の件、進めませんか? 」
「気が進まない」
「ですが王、犯した罪は人殺しなんですよ? 分かってますか? 」
「分かっている!! だが複雑なんだ……ミーナという女性が関わっている」
「ミーナ? 」
「ああ。ミハエルの妻の妹だ」
「……いくら下級貴族の娘とはいえ怒られますな」
「それだけじゃない。ミーナは一方的に両親と縁を切り、黒い噂だらけの西の公爵と縁を結び、娘となった」
「なっ! 」
「裁判の件はそちらで勝手に進めてくれ」
本来ならパーティーが開かれるが、王族関係者の激減を周りに知られないように、と見送られた。
「よう、ダニエル兄さん」
「ミハエル。また何かあるのか」
「そろそろ南に行く頃だろ? 行こうぜ」
「あ、ああ……」
ミハエルは唯一まともな親族だ。お母様がいなくなり、親族は男ばかりになった。
「ミーナだが、俺10年前会ったことあるんだ」
「……」
「優しくて可愛い笑顔の似合う女の子だった」
「全然違うな」
「そうだな」
「更正できないものか……」
そのまま黙り込む。ミーナは狂っている。しかし、更正なんて……。
しばらくして、ト・モルに──いや、見たこともないところに着いた。
というか森林だ。
「ここはどこだ!? 」
「フォルツェ公爵の家だ。ついでに言うならト・モルもカスピアの味方だ」
「つまり……」
「ああ。カスピアはト・モルにいる。」
「最悪だな」
ため息をついてると、美人が現れた。ここの娘だろうか?
「大丈夫ですか? 」
「あ、ああ」
「それでは」
「初めて会った……」
ポツリと呟いたのを無視した。
ここの娘は親不孝なのかもしれない。




