第十二話 幸せな日々?~ミハエル視点・5月11日~
今日はリーアの代わりに洋服をト・モルまで買いに行っていた。妊娠しているため、すぐ服が伸びてダメになる。
そして王都に戻ってきてから王宮近くのカフェにカスピアを呼んだ。
カラン…
「いらっしゃい」
「コーヒーを」
「はあい」
お父様の実家の仕立て屋で見たのはカスピアとト・モルの領主。あの美しい夫人はいなかったが、2人は楽しげだった。
「やあ、どうした? 」
ゲス顔のカスピアが静かに現れる。上質な服に高級な革靴。そしてポケットから出した懐中時計は随分と高そうだ。
「どうした? 、ではない。最近お父様の言うことを無視しているから忠告しに呼んだだけだ」
「は? ますます分からないな」
「…あのな、カスピア。倹約しろとお父様は俺らに教えただろう? 」
「知らないな」
カスピアは一つ席を空け、座った。時計を見ている。イライラしているのか、目つきが鋭い。
「このあとお食事の予定がある。早くしてくれ」
「お前、お父様との差を考えろ」
「…」
すると、リーアそっくりなミーナが現れた。もう時間なのか?
「…この男の無駄話につき合わなくていいから、早くいくわよ」
「ああ」
カスピアは俺にとって危険人物になった。
帰宅後、リーアは洋服に大喜び。目の前で着てみたりしていた。
夜。リーアにカスピアのことを相談した。
「カスピア、ねえ。王位継承第二位になっているからダニエル様がいなくなればいいと考えているはずだわ」
「トスカーナお姉様やカスティーナもカスピアが?」
「おそらく、ね」
「一ついいか?」
「なに?」
リーアがあくびをしている。これをはなしたら今日はもう寝よう。
「ミーナには幼い頃会ってないのか? 」
「ん、そうよ。ミーナは養子に出されたんだから」
「養子? 」
「そう。東の方にある港町の領主に」
「下級貴族だからなのか…」
「いいえ。ほら、亡くなったウェルズ伯爵の助言らしいの。眠いからもう寝るねおやすみなさい」
ウェルズ伯爵は貴族どころか王族にまですぐアドバイスしたがる困ったおっさんだった。自分の言うとおりにすれば全ては上手くいくと豪語していたが、彼のせいで崩壊した貴族も少なくはない。そして王族も彼のせいで崩壊している。
彼の息子は常識人で話しやすく、貴族の娘が求婚したい男ナンバーワンに決めていたりする。俺もきさくな彼が気に入っている。
「おやすみ、リーア」
考え込むことをやめ、今日は寝ることにした。
よけいなお世話はかけたくなるもの。




