第十一話 憂鬱~ダニエル視点・4月15日~
カスティーナがあの無能なカスピアに追放されたことを知るとお父様は憤慨した。
しかし、あちこちの領主と親しくなっているカスピアを裁判にかけれる人などいなかった。実際、私もカスピアの成長を黙ってみていた。
「はあ・・・」
思わずため息をつく。周りには子供があと4ヶ月ほどで生まれるとはしゃぐミハエルとあちこちの領主の家に出かけるカスピアだけしかいない。
トスカーナが亡くなり、もう2ヶ月。私はそのことに関しては悲しくないが、カスティーナとの文通さえ途絶えてしまったことはとても悲しい。
「ため息ついちゃって。どうしたの?」
「お母様」
「私なんて村ごと失ったのよ?くよくよしないの」
「・・・お母様の昔話よりお父様の昔話が気になります」
「あの人の家はト・モル一の仕立て屋よ。裕福でまさかあんなことするなんてね」
「はあ」
幸せそのもののお父様はこれほど絶望したことはなかったという。あんなに太ってればそうだろう。
「そりゃあ正体不明のバカと戦った時は幸せじゃなかったでしょうねえ」
「?」
「あ、ごめん、ひとりごとよ」
私は会話を続けたかったが、お母様はまたしても行ってしまった。なんということだ。
夕方になり、カスピアが戻ってきた。傍らにはミーナがいる。食事の話をしている。
「はあ、あの様子だとまた一人か・・・」
リーアとくっついているミハエルは食事を夫婦の部屋でとるらしい。つまり、兄を拒絶している。
「いただきます」
誰もいない。たった一人の食事。
とても憂鬱だ。
兄弟だから本当は嫌いではない。




