第十話 追放~カスティーナ視点・3月2日~
3月になったけれども、一向に暖かくならない。今年は不作かしら?
「カスティーナ」
「あら、カスピアお兄様」
話すのは初めて。いったい何?と首を傾げていると、腕を力強くつかまれた。
「痛いわ、カスピアお兄様!」
「伯爵を殺した容疑で追放しろ、とお父様に言われたので」
「カスピアお兄様、私に濡れ衣をかけないでちょうだい!そんなことするはずがないわ!」
「いいから出て行け!」
抵抗できずに王宮から追い出されてしまう。どうしてよ!
「これで2人目・・・。邪魔者はあと2人」
「!」
最後にぼやいた言葉で察した。トスカーナお姉様が権力に対して貪欲だったように、カスピアお兄様も貪欲になっている。しかも、トスカーナお姉様より残酷な方法で権力を得ようとしている。
「許せないわ!」
私は人目につかない裏口から出されたこともあり、森にしか行き場所がなかった。
「そうだわ、黒魔術。ここに魔女がいるはずよ」
「どうした?」
思惑通り、彼はいた。黒魔術を扱う者。しかし、違ったのは子供を抱えていること。
「フィンヂさん、その子」
「トスカーナの娘、リオだよ」
「え!?」
「パパーごはんー」
「リオ、待ちなさい」
「えええ!?」
「おいで、カスティーナ」
彼は没落するまで王宮内に暮らしていたが、没落したため一家離散し行方不明になっていた。
「伯爵の解毒薬を盗んだのは僕なんだ」
着くなり、大胆な告白。
「そう」
「とりあえず黒魔術を教えてあげる。まずは別人にならないとね。そうしないと飢え死にする」
「はい」
リオちゃんはよく見るとトスカーナお姉様みたいな性格。無邪気なところが昔のトスカーナお姉様に似ている。
教えてもらったとおり別人になると、つぎはドレスのすそをすこし千切った。
「コート着れば完璧ですね」
「ああ。それじゃリオ、食べに行くよ」
「わあい!」
町中でミハエルお兄様とダニエルお兄様を見かけた。捜しているのかしら。
「ねえ、フィンヂさん。交流はとれないの?」
「王宮以外なら大丈夫だろうね。ミーナでも見張れない」
「なるほど」
人目につかない路地に入った兄たちを追いかける。
「お兄様!カスティーナですわ」
「カスティーナ、どうしたんだ」
事情を説明すると、ダニエルお兄様は困惑の表情を浮かべた。
「ミーナやカスピアが最近、お父様の言うことを無視しているんだ。彼らは裁判さえ拒み、お父様より評価を得ようとしている」
「つまり」
「そう、あの2人さえどうにかすれば」
「ダニエルお兄様、行くぞ」
「じゃあ、また」
ニヤリと笑うミハエルお兄様。彼も怪しい。
憎しみがたまると




