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12/24

12.二回目のデート

いつも読んで下さりありがとうございます。今回は、あの人デートです。

少しでも楽しんでもらえたらうれしいです。では、どうぞ。

今日は前に約束?したデートの日です。この日は、田端君の担当となりました。

私は前回の失敗を糧として普段着る服ではなく、大我くんが選んでくれた服の

中から自分なりにこれだと思う物を選んだ。彼が選んでくれた物なので失敗は

ないと思いますがちょっと心配です。


今日は駅前で待ち合わせです。早めに行こうと思い向かったのですが、待ち合

わせ場所に着くと彼はもう来ていた。


「ごめんなさい、遅くなりましたぁ、はぁはぁはぁ」

「そんなに慌てなくてもいいのですよ。はるみさん」


彼の姿が見えた瞬間思いっきり走った。そりゃあもう折角セットした髪が崩れる

位に。そんな私に優しく声を掛けてくれる田端君。何て優しいんだこの人は、

とちょっと好感度が上がってしまった。


「いや、私が遅くなったみたいだから、申し訳なくて。」

「いえ、約束の時間の10分前です。とても理想的な時間だと思いますよ」

「そうですか?ならよかったです」

「それよりもその服…」


また服の話か今日は大丈夫だと思ったんだけどなぁ。なんか緊張してきた。

ゴクっと唾を飲み込み田端君をじっと見つめると。


「そんなに見つめないで下さい。照れてしまいます。ただ可愛い服装だなぁ

 と思っただけです」


照れたように言う田端君に緊張をといた私は完全に油断していた。絶対に

彼に言ってはいけない一言を言っていたのだ。


「そうですか?うれしいです。実は大我くんに買って貰った物でして…」


その時一瞬にして場の空気が凍りついたのがわかった。

私は恐る恐る田端君の表情を見ると彼は笑っていた。ただ怒っているオーラ

だけは感じとった私は、思わずヒッと声にならない声を出していた。


「そうですか?有坂くんからの贈り物でしたか。それはそれは…。

 今すぐにでも引ん剥いて差し上げたい所ですね」


すいません。すいません。勘弁して下さい。誰か助けて。私が怯えていると。


「ふぅ…。仕方ないですね。彼からの贈り物のというのは大変気に食わない

 のですが、はるみさんに似合ってはいるので、まぁ良しとしましょう」

「ありがとうございます?」

「あとで私からもプレゼントがありますからどうぞ受け取って下さい」

「いえ、そんな訳にはいきませんよ」

「ほぅ?あなたは有坂くんからは物を受け取る事が出来ても私からは受け

 取る事が出来ないと仰るつもりですか。」

「いえいえ、そういう意味ではなく…」

「では、どういった意味なのでしょうか。」

「あのその。物を貰う必要性はないと思いまして」

「必要ですよ。これであなたから名前を呼んで貰えるのですからね」

「それは…。」

「まぁいいのです。あなたに何か贈りたいと思ったのは事実なんですから」










なんだかんだあって私達は図書館に行く事にした。


「すいません、色気も何もないところで」

「いいえ、そんなことは…」

「どこにあなたと行こうか迷ったのですが、日頃、通っている所の方が

 案内しやすいと思いまして」

「普段よく来るということでしょうか?」

「はい、勉強するにも集中しやすくて良いですし、何より様々な本があって

 飽きないですから」

「そうですか」

「はるみさんは、本お好きですか?」

「あまり読みませんけど…」


そう聞かれた事を素直に答えた後に気が付いた。あまりに空気の読めていない

発言だったなぁと思ったからだ。私が慌てて何か言おうとした所で田端君の

少し落ち込んだような声が聞こえた。


「そうですか、それでは詰まらない場所だったかもしれませんね。すいません。」

「いいえ、むしろ普段来ないので、逆に新鮮でいいです。」

「そうですか?」


私の励ましの言葉にさきほどとは違い、嬉しそうな声が聞こえた。いや訂正する。

表情も満面の笑みだった。

なんかかわいいなぁ。つられて私も笑顔になっていた。

それから田端君は私に色々なコーナーに案内してくれた。

本に囲まれた彼は、水をえた魚のようだった。



私たちは色々な本を見てまわった後、図書館にあるテーブルのスペースで勉強を

開始した。実は前日に電話があり、勉強道具を持って来るように言われていた

のだ。椅子に座る時、田端君が椅子を引いてくれた。何だか普段慣れていない

女性扱いされたようで照れ臭かった。


「何か、分からない箇所はありますか?」

「そうですね、こことかでしょうか。」


田端君が少し私の方に顔を寄せて本を覗き込んできたので、田端君の端正な

顔が近くにあったので少し恥ずかしくなった。そんな私に田端君は気付いた

様子がなかったのでよかったと思った。やっぱり、田端君ってカッコイイ

よなと思うと胸がドキドキするようだった。だってさ、こんな綺麗な顔して

るんだよ。本に目線がいっているせいか、長い睫毛で影を作っていて

なんか芸術品のようだしさ。考えて見れば普通こんなカッコイイ人と顔

が近かったらそりゃあドキドキするぐらいするでしょ。だから私は悪くない。

そんな風に考えていると。「どうかしました?」という声が聞こえてきたので

慌てて彼の説明する言葉に集中することにした。それで気付いた事だが

田端君はカッコイイだけでなく、頭も良くて、私のわからない所をすらすら

と教えてくれた。そのせいか普段するよりも勉強が捗った。




私たちは、閉館時間まで集中して勉強し、外へ出た。時刻は、夕方となり、

辺りが少し薄暗くなってきたので帰ることにした。二人で歩いていると、

田端君が話しかけてきた。


「今日は本当に楽しかったです。はるみさんはどうでしたか?」

「はい、私も楽しかったです」

「それは良かった。そうだ。忘れる所だった。帰る前にもう一軒寄りたい

 所があるのですがよろしいですか?」

「はい、いいですよ。」


どこに向かうのだろうと思っていると、町の本屋さんが見えてきた。

それを見た瞬間また本かと思ったが付き合う事にした。

案の定、田端君は少し古びた感じの本屋さんに入っていった。


「今日、ご紹介した本の中には、実は中々普通の書店では売っていない

 物もあるんです。」

「そうなんですか」


彼は幾つかの本を見てまわると、今日紹介された本の中で、私が少し気に

なっていた本を手にして会計を済ませ二人で本屋さんを後にした。





暫く歩いていると、彼は先程会計を済ませたいくつかの本を私に渡してきた。

突然の事に私が驚いていると。


「はい、これは、私からのプレゼントです。」

「えっそんな受け取れませよ。しかもこんなに」

「私からの気持ちです、受け取って下さい」

「でも…」


私が困っていると彼は笑って私に少し強引に渡してきた。


「受け取って貰わないと困ります。だってあなたに名前を呼んでもらう

 口実が出来なくなってしまいますから」


そう言って彼は私にウインクしてきた。美形って得だなぁと考えている

間に本は、私の手の中にあった。私が慌てていると。


「フフフ、これでもうあなたの物です。煮るなり、焼くなり好きにして

 下さい。しかし受け取った以上は、私の事名前で呼んで下さいね。」

「そんなぁ…」

「さぁはるみさん、呼んでみて下さい。」

「うっ、飛鳥君」

「よろしい、よく出来ました。」


そう言って微笑むと私の頭を撫でてきた。私は、恥ずかしくなり、下を

向いていた。そんな私に彼がやさしい顔で私を見つめていたことを私は

知らなかった。













最後まで読んで下さりありがとうございました。

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