《第三章【キルバレスの大地より育まれ出でし……イモたち】》 -2-
最高評議会の開会は年に4度、それも開催時期は決まっている。しかしそれは、緊急の場合を除いてである。
この日、このパレスハレスにて緊急の会議が召集され開かれていた。
「では、フォスター将軍が、我々キルバレスに対して『反旗を起こした』と申されるのですか?!」
「ええ……残念ですが。内容は、その書状にある通りです」
最高評議会会場は一気にざわめき始めた。
ワイゼル将軍からの書状の写しが、各評議員の手元に置かれていたのだ。
他にも、《精霊水》に関する報告書も添えられていて、その事態の深刻さを伺わせ伝える演出がなされている。
因みに、この最高評議会会場内には、軍令部長官も伝信官も今日に限って不在であった。全ては、評議会議員ディステランテ・スワートの手回しによるものである。
「この……パーラースワートロームの水を持ってすれば、我々キルバレスにも〝勝てる〟と踏んだのか? あのフォスター将軍が」
「されどフォスター将軍は、その様な短慮な考えをなされるお方だったかのぅ?」
「それはそうですが……」
「それほどまでに、この《精霊水》というモノは凄いものなのか?」
「この報告書を見る限りでは、それも納得出来るのも、確か……」
「しかしそれは、可能性としてはある、ということでしょう?
問題は、あのフォスター将軍が『そういうことをされるお方なのか』という点だと私には思えます」
「……ふむ」
「確かに。そもそもこの書状の内容……全て、本当のことなのかどうかも分からんな」
「ここは一度、閉会し。《科学者会》の意見も聞いてみるのが良いかもしれませんね?」
「同時に、現地へ伝信官を送り。実態を確認するのも手かと……」
「それもそうですな。今は、一時帰国している評議員も居ることですし……」
───ダン!!
評議会議員ディステランテ候だ。
閉会し、《科学者会》に相談しようとする流れに苛立ち、机を叩いていたのだ。
その暴虐な振る舞いに、皆が驚く中、ディステランテ評議員は口を開く。
「今はその様な悠長なことを申している場合ではない!! こうしている間にも、現地では事態が更に深刻化しているのですぞ!
そもそも《科学者会》、ですと……?
各評議員は、もうお忘れになられたのですかな。その科学者会のグレイン技師。そして、その代表者であるカルロス・アナズウェル技師長が組んでやった、我々キルバレスに対する裏切り行為を!!」
最高評議会会場はどよめき立った。
「もうこの際です。これまで保留にしていたカルロス技師長に対する処分を、この場にて執り行いたい! その上で、科学者会に相談されるのなら。勝手にそうされるが、よろしかろう!!」
会場は騒然とし、そんな中、カルロスに対する処分の決定がここに下された。
「科学者会代表である、カルロス・アナズウェルを、本日を以って。3等市民に降格し、無期限の労働奴隷とする。
──以上だ!」




