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《パラド=スフィア物語(リメイク版)》 -カルロス-  作者: みゃも
第二章【アクト=ファリアナの心友】
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《第二章【アクト=ファリアナの心友】》 -10-

 それから、ここまでの経緯(いきさつ)を簡単に話し、今に至る。


「そうですか……コーデリア州へ。この〝方〟と」


「はい。まあ……急遽(きゅうきょ)そういう事になりまして……」


 今はリビングの大広間にて、窓からの眺めが良いテーブルを囲み、3人でお茶をしていた。


「あ、あのぅ~……」


 ケイリングが、隣でルナ様のことを気にしている。そういえば、ケイリングにはまだ、ルナ様のことを詳しくは話してなかったな。


「ケイ。この方はね、フォスター将軍の婦人で。私が普段から大変、お世話になっているお方なんだ」


「あ、え? あのフォスター将軍の!?」


「改めまして、よろしくね。ケイリングさん」


「あ、はいッ!! 改めまして、よろしくお願い致します!」


 流石のケイリングも、フォスター将軍の名には、頭が上がらないらしい。


「それにしても、私がお世話だなんて。それはちょっと、口が上手過ぎよ、アヴァイン。

いつもお世話になっているのは、私たち親子の方なんですもの」


「いやいや、そんなことはありませんよ」


 アヴァインのその言葉を聞いて、ルナ様はケイリングの方を微笑み見て言った。


「ケイリングさん。アヴァインはとても、頼りになるお人ですよ。大事にしてあげてね」


「あ、はいっ!!」



 はい、ってなぁ~……それ、本気で言ってないだろう?

 どんだけ緊張してるんだか。


「それにしても……あなたが遠くへ行ってしまうのは、ちょっと寂しくなりますね……」


「はぁ……どうも、すみません…」


「ちょっ、ちょっとぉー!」


 ケイリングが隣から、不機嫌顔にアヴァインの腕を掴み言ってきた。


「どうしてさ! そこで、あなたが謝ったりするのよっ!? 

そこは普通さ、『仕事ですから』とか『この方をお守りするためですから!』とかさぁー。言い様ってモンがあるでしょうにぃ!!」



 ……本人は小声でそう言っているつもりの様だが。今のは完全に、ルナ様にも聞こえていたみたいだ。


 ルナ様が口を押さえて、

『失言してしまったかな?』と自身を思い、苦笑しておられる。



 それからそのあと、何かを納得された様な顔をルナ様は急に見せ始めた。


「そう、ね。アヴァインみたいな人と話していたら。誰でもそんな気持ちに自然となるのは、仕方ないのかなぁ……」


 ……それは一体、どういう意味なんだろうか??


「ケイリングさん。アヴァインってこういうタイプの人だから、ちょっと大変かもしれないけれど。アヴァインとは、これからもずっと仲良くしてあげてね♪」


「あ……はいっ!!」


 大変って……なにが大変なんだろうか……。

 ちょっと気になりはしたが、怖くて聞けなかった。


 あまり良いような意味には聞こえなかったから。



 それから暫くして、フォスター邸をあとにしようと馬車へと乗り込んでいたところへシャリルが飛び込んで来て、

そのままの勢いでアヴァインに抱きつき言った。


「絶対。いつかわたしを迎えに来てよ、アヴァイン!! 絶対によっ!」


 少し驚いたが。アヴァインは間もなく、微笑み。


「……。はい♪ いつか必ず迎えに来ますよ、シャリル様」


 グスングスンと泣いてしがみ付くシャリルの頭を優しく()で、なだめながらアヴァインはそう言ったのだ。


 そうして、フォスター邸をケイリングと共にアヴァインは後にした。




 そこから貴族用の邸宅へと向かう馬車の中で、ケイリングは似つかわしくないほどに静かだった。


 なんか、あったのかな……?

 とアヴァインが思う間もなく、ケイリングはふいに窓の向こうを眺めたまま、こちらを見る訳でもなくこう聞いてくる。



「アヴァインがさ、好きだった、って人……もしかして、ルナさんじゃないの?」


「……え?!」


「やはり……ね。途中から、そんな気はしていたのよ。凄く綺麗だったし。くやしいくらいに……優しい人だったもの」


 くやしい、って……なんだよ、ソレ?


「ぅん……。でも、この事は他の誰にも言わないでくれよ。

ルナ様にもシャリル様にも迷惑は掛けたくはないんだ」


「……わかってるわよ、そんなの。絶対に言わないから、安心をして。

わたしもルナさんは、人として好きになったもの。だからそれは、ちゃんと守るわ」


 それからケイリングは、吐息なんからしくもなくついて。パレスハレスの向こう側に沈む夕日を、(うつ)ろな瞳で眺めていたのである。




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