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 オープニング

 ※本作品は、PC仕様の横書きスタイルを前提にして部分的にセンタリング表現を用いておりますので、スマホなどでご覧の場合には『横向き』で読むことをお勧め致します。


 ※センタリング表現のある部分に入りましたら、改めてご報告させて頂きます。それ以外では縦でも横向きでも問題はないと思いますので、お気軽にどうぞ。


※一度は取りやめていた『アヴァイン人称(アヴァイン視点)』に置き換えることにしました。



「許さない……わたしは、アナタ達《キルバレスの民》を絶対に許しはしない!!」

「……」


 落城寸前の《北部連合カルメシア》メルキア国、王城内のベランダにて。美しき細身の少女が敵対する若き英雄を目の前にして、短剣を胸元で構え、身と声色を震わせながら憤りをむきだしそう言い放っていた。その瞳には悔し涙が浮かんでいて、城内で燃え盛る炎によりまるで血と思わせる様な赤い光を放ちながら、一筋の大粒の涙を溢している。


 未だ部隊長の一人に過ぎなかった若き英雄は、そんな少女に一歩だけゆるりと近づいてゆく。


「近づかないで! アナタ達に、この悔しさは――わかりはしない!」

「いや……わかるよ。私も――かつては、今の君と同じ境遇にいたから」


 少女はその意味が判らず、戸惑いと動揺の表情を見せる。


「私の名は、カリエン・ロイフォート・フォスター……君と同じく、国を亡くした」

「ロイ……では――アナタも?」


 少女はその名前に心当たりがあったのか、動揺していた表情から驚きに変わり、手にする短剣に込める力をゆるめ集中を欠いた。


 若き英雄は、空かさず。油断を見せた少女へと素早く歩み寄り、短剣を持つその柔らかい手を掴むと。そのまま少女の体全身を覆う様に優しく抱きしめ、引き寄せる。

 そして優しげに、耳元で囁くように聞いた。


「君の名を、知りたい……」

「――!? ル――ルナ……ルナ・ファルシェ・メルキア」


「ルナ……とてもいい響きの名だ。君はその名の様に、とても美しい――」

「――!」


 若き英雄はルナと名乗る十四歳ほどの少女を力強く、しかしそれでも尚優しさを感じさせるように静かに抱きしめ。未だ怒り憤る少女の思いを、ゆっくりと宥めた。


 やがてルナも、若き英雄の優しさを信じ受け入れ。次第に、頑なだったその心を解きほぐし、手にしていた短剣を落城するメルキア城内の石畳へと――落としていたのである。



 ……人との出逢い。

 それは、単なる偶然で終わることも多い。でもその中から、何かひとつでも得て次に繋がることもあるのではないか?

 だとすれば、それはきっと決して無駄なんかじゃなかったってことさ。

 そうだろう?


 少なくとも自分はそう信じ、今を生きている。


 思いがけずそこから始まり広がりゆく人との繋がりというものは、時として、不思議な結末へと(いざな)いゆくこともあるのだからね?

 だってこの二人の運命的出逢いが、のちの自分にとって……いや、この国の行く末までをも大きく左右することに繋がるなんて。この時点ではきっと、誰も想像すら出来ないことだったろう。


 例えば、ただの農民の子が、世紀の大発明をし。

 ただの商人の小せがれが、天下を取る。


 それはまるで、バカな夢物語の様な話だけどね?

 そんな話に少しでも興味があるのなら、これから語る自分の話しに、付き合って頂けたら幸いに思う……。




  【関 連 作 品】

《パラド=スフィア物語①》-神秘の水-

http://ncode.syosetu.com/n7444bz/


《パラド=スフィア物語②》-フォスター-

http://ncode.syosetu.com/n9171cj/







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