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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕は剣を抜く

作者: シュウ

一応人を斬っているので、警告タグを入れています。

僕は今敵と戦っている。

目の前の敵は、170cmある僕の身長よりも高く、細身だが軸がぶれないような鍛えられた体つきをしていた。やや長めの黒髪のせいで表情はわからないが、ときおり聞こえてくる「シッ」「フッ」という声から推測するに、戦いにとても集中しているとみえた。

相手の武器は僕と同じく刀。日本刀といわれる一般的な刀だ。僕は一旦鞘に刀を納めているが、相手は既に刃を剥き出しにして中段の構えを取っている。

相手は常に攻めの姿勢を崩さずに、攻めて攻めて攻め切るタイプの剣士らしい。

それに比べて僕は、居合を得意とした待ちのタイプの剣士だ。

僕が剣を鞘に納めているのは、居合をするためである。そこまで剣の技術がすごい訳ではないが、四賞に当たる人に『一つでもいいから何か長所を伸ばしなさい』と言われたのをきっかけに居合を極めることにした。

そのおかげで居合だけなら誰にも負けずにここまでこれた。

同じ道場で育った仲間たちはどれぐらい生きているだろうか?

それともほとんど死んでしまっただろうか?

そんなことを考えさせる暇もないくらいに、相手の男は攻め込んできていた。そのせいもあって、今、この沈黙がとても不気味であった。


「なぁ少年。お前はなんで俺を殺そうとするんだ?」

「僕が殺そうとしているんじゃない。あんたが俺を殺そうとしているんだ」

「おいおい。先に言いがかりを付けてきたのはそっちだろ? 俺たちは巻き込まれたんだぜ?」

「今更なにを。この後に及んで言いがかりか!」

「俺はお前の心配をしてるんだぞ? どうせ死ぬんだから理由ぐらい聞いておいてやろうかと思ってさっ!」


男は言葉を言い終える直前で、地面を蹴りつけてこちらに飛びかかってきた。ムキになってしまい、一瞬だけ中腰だった姿勢を上げてしまったのを悟られたらしい。

そのせいもあって、僕は完全に出遅れてしまった。

男が脇腹を狙って横薙に剣を振ってきたのを、腰に差したままの刀の鞘ごと持ち上げてなんとか受け止めた。

しかしさっきまでの戦いで分かっていたことだが、相手のほうが力が上なので、剣の勢いまでは止めることが出来ずに、そのまま足が浮いて飛ばされてしまった。

なんとか空中で体勢を整えて地面が下にあることを確認すると、足を軽く伸ばして地面をこすり合わせる。そのまま地面と両足をすり合わせたまま飛ばされて行き、背後に迫る壁ギリギリで止まる。そして壁に片足の裏をくっつけて思い切り蹴る。そのまま相手めがけて突進するような勢いで雄叫びをあげながらつっこむ。


「ウォオオオオオ!!」

「こいやぁ!!」


男が刀を上段に構えるのが見えた。カウンターで合わせるつもりだろう。

僕は勢いを殺さぬように、足を曲げる程度の高さの低空ジャンプへと繋げ、横回転をしながら空中で柄を右手でつかみながら一回転する。力では勝てないので、回転の遠心力を利用して相手を斬りつけるためだ。

そして相手と交錯する瞬間に剣を振り抜く。


「ぐほっ!」


僕は斬った勢いでそのままゴロゴロと転がって相手の後ろに回る。

剣を鞘へと戻しながら相手と刃を一緒に確認する。相手は腹を押さえて立ち膝をついている。そして刃には相手の男の血と思われる血が付いている。確かに手応えもあった。

練習ではあまり成功していなかった技ではあったが、ぶっつけ本番で成功したのだ。


「このクソガキがぁ・・・うっ」


死に際の言葉があんな言葉だなんて、きっと呪われそうだな。

そんなことを思いながら、相手の男が赤い血溜まりを作るのも見届けずにその場を後にした。


「きっとまだまだ敵はいる。みんなを助けなくちゃ」


その一心で、僕は次々と迫り来る敵と戦っていくのだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

初のバトルものとなります。

どうしてジャンルに『バトル』とか『アクション』がないのでしょうか?

ジャンルに困った挙句に『戦記』となりました。

・・・あってますか?


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