化け物の巣窟 プラス☆
基本主要人物はネジが数本飛んでます。
* * *
近くで転がっているガキが完全に眠ったのを確認して、コイツから距離をとる。
どうにかしてコイツをヤれないだろうか?
見た目はその辺の子供だし、殺せないモノなどこの世に存在するとは私には思えない。
自分の手持ちの武器では歯が立たなかったのは事実だが、もしかしたら今なら殺れるんじゃないか?
試してみたい。しかし、さっきのバカ犬の二の舞になりかねない。
「同士よ、なにを悩んでいる?」
ん?誰だこの女?
私より身長が少し小さい黒髪の女が話し掛けてきていた。
…バカ犬、か?何だろうとちょうどいいのが現れてくれた。
「またしても奴に殺られてしもうた、今の我では牙も爪もない…何と口惜しい、奴が寝ている今こそ絶好の好機というに」
勝手に語りだし一人悔しがってる
絶好の好機に攻撃をさっきしかけていなかったか?
やはりバカ犬だな。
「同士なら困っている時は助け合うものだ。これを使うといい。」
バカ女にとりあえず携帯折りたたみ式振動刀を差し出した。
「助かる、やはり同士は困っている時は助け合わないとな!」
やけに嬉しそうに武器を受け取ったバカ女に簡単に使い方を教えて送り出した。
まず、あんな物で殺せるとは思ってないが。
バカ女がどういった生き物かにも興味があったから実験してみたくなった。
バカ女(犬)はクソガキにゆっくりと近づき外さない距離まで近づくと渡した武器をガキに振り下ろした。
ブン。
…バカ犬が武器を振り下ろした姿勢のまま固まっている。
近寄りたくないので観ていると、バカ女の体が右肩から反対の腰に向かった斜めに切れ目が入り、そこから上がスライドして崩れ落ちた。
チ、使えねーな、やっぱりクズ犬だな。接近戦では駄目か。
今だにクソガキはスヤスヤ涎を垂らして眠っている。
「…同士よ、すまない、しくじった。」
気付いたら直ぐとなりにさっきより体の大きさが縮んだグズ女がすまなさそうにしていた。
「失敗は誰にでもある事だから、気にするな。」
「く、同士よ、感謝する」
何か心を打たれたような顔をしているバカ犬。
これで繰り返し使える捨て駒が手に入った。
何回か同じようにバカ駒にタイプが違う武器を持たせて特攻させた。
…ふむふむ、次元干渉形の武器が唯一変化があったな。
どうやらこのガキ、体の皮の上に更に目に見えない何かで全身を覆っているようだ。
「…同士よ、少し休ませてはくれぬか?血を流し過ぎて体がフラついてきた」
顔を青くして手乗りサイズまで小さくなったバカ犬が足をガクガクさせながら何か言ってきている。
…アァ!これからだろうが!、そう思ったが、流石に手乗りサイズになったコイツに持たせられる武器はない。
「そうですね、少し休んで下さい」
そしてまた私の手となり足となりボロ雑巾のように働きなさい!
バカ犬(ボロ雑巾)はその場でうずくまり眠ってしまった。
バカ犬が使えないとなると、ガキに攻撃するのは止めておいた方がいいな。
それにしても、この部屋に出口はないようだし、試しにバカ犬に壁に攻撃させてみたが手応えも無かった。
出る手段がない訳ではないが、敵を目の前にして逃げるようで嫌だ。それに少し調子に乗って武器を出し過ぎたから少し疲れた。
こちらから攻撃を仕掛けなければ危険はないようだし、少し私も休もう。
装甲に身を固めたままその場に座り休む事にした。
…見た目ただの木で出来た床なのに何とも眠気を誘う心地よさがあるな。
いつの間にかウトウトと私は眠ってしまった。
結局今回も名前を出せませんでした。
名前は一応決まりました。