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「デュエルってなんだっけ?」俺は呟いた。
隣のテーブルの男が振り向いて答えた。「覚えてないのか、カードゲームだよ。」
あ、岡田だ!自分のいたサッカークラブの主将じゃないか…
隣テーブルに行って、話したいなあ。
岡田と同じテーブルの面子が、いやいやカードゲームだけじゃない、今時デュエルというのは、携帯アプリのゲームやらなんやら沢山あるぞと言っている。
「うーん、僕にとっては、デュエルってあのカードゲームしかないんだよね。」天寺は岡田に向かい、あれだよ、とでかい声で返事している。
そうか、一時、学校で大流行していたあのカードゲー厶か…。
俺は当時、つきあいでやったことはあるがそんなに熱心ではなかった。放映されていたアニメも見ていない。
熱心な連中は、学校の帰りコンビニなどでカードを買いあさっており、よくそんなに小遣いがあるなあと思っていた。
「あのカードゲーム、まだやってる奴いるんだなあ。」
天寺はくるっとこちらを向いて答えた。「知らないんだね。情弱なんじゃない?何度もブーム繰り返してるんだけど。」
いきなり情弱扱いされて少しムカつくな。ムカついたから、もう返事とかやめよっと。俺は突然手元の空になりかけたグラスに気をひかれたふりをして、おかわりを店の人に頼んだ。
「ところで天寺は今仕事何してるん?」岡田のテーブルの一人が声をかけている。
「えっ、僕はゲームセンターで働いてるんだよ。」
天寺が言うには、高校生の頃からアルバイトしていた場所で、そのまま働いているとのことだった。
「そうか、そのまま就職したんだ。」
「というか、ずっとバイトだよ」
「えっ?」
場が一瞬にして凍りついた。
それまでそんなに天寺へ注目してなかった連中までもが、聞き耳立てているのがわかる。
「ええと、正社員になりたいとか交渉しないの?
この頃は人手不足だから、社員にしてもらえることだってあるからさあ…そこがダメなら、他を探すとかで」
自分も正社員になれたのはそんなに昔ではない。グラスを見ながら、思わずうなづいてしまった。




