大聖女様になる運命ですわ
「そう......」
お母様が悲しそうなお顔をしましたわ。
「ごめんなさいね。私がそう生んでしまったばかりに......」
「お母様のせいではありませんわ!」
お母様が言うには教会に入ると最初に身体検査をされるそうですわ。そんな事があるとは思っていませんでした。それは大聖女様にあるアザを見つける為らしいのです。本人がなりたくないと言っても駄目なようですわね。
実は幼い頃に聖力で一時だけ消そうとしてみましたが駄目でしたの。その時はそのような意味があるアザだとは思ってもいませんでしたが結構目立つアザでしたので気になりまして。
大聖女様の素質が私にはあるとか無いとかなんて言ってられませんわね。その様なアザが大聖女様の証なら。
アザが見つかればもういくら違うと言っても駄目ですわよね?ここは仕方がありませんわ。覚悟を決めました。
「分かりましたわ。身体検査をされたなら絶対に見つかってしまいますものね。分かりました。私、大聖女様になりますわ」
大聖女様に任命されるのは18歳とされています。何やらその年齢が1番聖力が強いみたいですわ。
ですからアザが確認されても今、直ぐにって事ではないようです。大聖女見習い?といった感じなのでしょうか?
きっと運命には逆らえないのですわ。
天使には好きな様に生きてもいい、生きてさえいれば、なんて言われたけれど私は自由に生きているつもりでも最近、何だか無理矢理本来の道筋に戻されているような気がするのですわ。
天使は最初からこの事を知っていたに違いありませんわね。まんまと騙されましたわ!!
ならば......ならばですわ。
「お母様?私の代で大聖女様が教会から一生出られない決まりとかを変えてみせますわ!」
それ以外に大聖女様縛りを今はまだ知らないので変えないといけない事が他に分かりませんがやってやりますわ!運命が私を大聖女様にしたいのならば私は自分の夢を叶えるためにそれさえも利用します!
私は静かに暮らしたいのです!
「まぁ!アイラ、貴方なら出来そうな気になるのは親バカだからなのでしょうか?ふふふ」
お母様が驚いて笑っています。
笑っていますが、えっと?そう、そうでしたわ。お話を元に戻します。
「お母様?私が大聖女様になったのなら神子様すなわちルカさんと結婚......?ですの?」
「大聖女様が誕生してしまったら周りがそうさせるでしょうね。神子様の血筋を残せて更に大聖女様の聖力も混ざる子供が生まれる可能性があるのだもの。本人達の意思は無視されてしまうわ、きっと」
「でしたら、それもどうにかしないといけないですわね!お母様!私、やらないといけない事がどんどん増えていきますわ」
ふふふと笑うと半べそになったお母様が私をぎゅっと抱き締めてきましたわ。
「アイラ、貴方っていつも前向きでどんな目にあっても強くて素敵な子だわ。そして自分が決めた事に猛進して行ってしまうのよね。それが少し心配だわ。教会で何かあったら直ぐにお父様に頼りなさいね」
「はい。お母様!」
その夜にお父様に私の意思を伝えましたわ。最初私のしたい事にはお父様は驚いていましたが直ぐに味方をすると言ってくれました。聖騎士団長なので反対されると思っていましたがお父様も教会のやり方に時々疑問に思う事があったそうですわ。先日、ルカさんを襲った男性の事もそうだったようですわ。
男性は地方の小さな村に住んでいたようで巡回して来た聖女様に病の子供の治療を頼んだそうですわ。すると寄付金が無いのなら治療は受けられないと言われて払えなかった男性は泣く泣くその場を後にしたようですの。その後、子供は死に奥様も数年前に亡くなっていてお一人になってしまったのですって。
そしてこの度、神子様、大聖女様候補の認定があるとどこからか聞きつけ怒りと悲しみをぶつけるように犯行に及んだそうですの。
寄付金などなくても国から教会には資金が出ているのだから治療してあげて欲しかったとお父様は言っていましたわ。きっとその様な人達が沢山居るのではとお父様は心を痛めていました。
お母様が聖女様だった時は寄付金はあくまでも『お気持ち』で。無くてもあっても病の人は治療していたそうですわ。神官様が代替わりしてからそうなってしまったと。
そのお話を聞いて教会が腐っていると思いましたわ。確かに今のトップがあの神官様です。そうもなりますわね。そんな教会に入ったら何が起こるか分かりません。気を引き締めないといけませんね。神官様だって敵だと思いますし、あの男だっていつ接触してくるか分かりません。
そう思うとルカさんを1週間もあの教会の中で1人にするのが心配になってきましたわ。お父様だって毎日教会に行くわけではないですし聖騎士はどんな人達が居るのかも分からないのでルカさんを任せられる方など......。
「神子様の事を心配しているのだね?大丈夫だ。私の部下には教会に染まっている者はいない」
「そうですか。安心ですわ」
本当にそうでしょうか?
お父様を疑いたくはありませんけれど、人は簡単に嘘をつきますわ。




