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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第三章

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神託ですわ

「本来なら正式に聖女様として教会に入ってから聞く事になるのだが私はアイラの予感を信じて話す。それが悪い予感なら尚更だ」


お父様が優しく言いましたわ。

マリルが事情を察知して静かにお部屋を出て行きました。


「俺も席を外しますか?」


ルカさんも椅子から立ち上がりました。


「いや、ルカくんにも関係がある神託だ。一緒に聞いて欲しい」


お父様がルカさんを引き留めましたわ。


「今回の神託は『神子と大聖女が巡り逢う時、黒い天使が舞い降りて神子は血の涙を流し大聖女は破滅するだろう』と、いうものだ」


ん?ん?これって。

はい。私もう解読してしまいましたが。

多分間違いないと思いますわ。


「お父様?私の意見を言ってもよろしいですか?」


「何!?もう解読したのかい?」


神託は天使が言う通りなら神の声ではないのですわ。これは私だけが知っている秘密ですが。それを考えると誰かが神官様にわざと神託のふりをして言わせたのです。


私の事を大聖女様になれる素質を持っていると知っている人物です。それに加えて私を破滅させたい人物ですわ。正確に言えば破滅というより......。


「お父様、神託についてお話する前に。この神託が降ったのに神官様は神子様と大聖女様候補の私を歓迎しているのでしょうか?普通なら危機を感じてあの様に歓迎ムードは出さないのではと思いますが」


「アイツは昔から変わった奴なのだよ。教会の後継ぎのくせに人の不幸が好きでね。私はアイツとは腐れ縁で幼い頃からずっと同じ学園に通ってはいたが一定の距離を取っていたのだ。しかしアイツから勝手にライバル視されて困っていた。だからかもしれない。私の娘が大聖女様候補だから......」


「お父様に対する嫌がらせ、ですのね。神託の通りになればお父様が悲しみ絶望すると」


「なんて人なんだ!神官様なのに!」


ルカさんが怒りましたわ。

本当にその通りですわ。人の幸せを望み祈る立場の神官様がそのような人だなんて教会は終わっています。


正確には神託ではないのですが、このような神託がされてしまってはお父様にお話をしなければいけないでしょう。あの男についてを。


「神官様がどの様なお人なのかが分かりましたわ。では神託についてですけれど、今回のキメラ事件の黒幕であろう男がいましたでしょう?あの男は3歳の私を誘拐した一団の中にいました。そしてマーレ様の事件にも関わっていましたの」


「何だって!?」


「え!?」


お父様と同時にルカさんも叫びましたわ。息が合ってますわね。


「あ、その、マーレ様?の事件とか誘拐とか知らないけどアイラが3歳の時、すでにあの男と知り合ってた事実に驚いた......」


ルカさんがそう言って驚いていますわ。そうですよね驚きますわよね。


「そしてその男は私を最初から大聖女様になれると言っていました。そしてバル......?バルなんとかという化け物に私をしたいそうですわ。キメラ事件の時にルカさんとも会っていますので多分神子様だと見抜いていたはずです」


「バルトカピ......」


お父様のお顔が青くなりましたわ。


「バル?なんとかを知っているのですか?私は何回聞いてもその名前が覚えられずにあの男に怒られるのですわ」


ぷんぷん怒る私を無視してお父様は言いました。


「バルトカピは伝説の魔獣だとされているのだがこの国ができた頃の聖騎士団達が書き残した文献に書かれている。バルトカピは伝説ではなく実在したのだ」


な!バルなんとかって魔獣ですの!?私を魔獣にしたいだなんて!許せませんわ!


「その魔獣は知能も知識もあると書いてあった。だから倒すのが大変だったと」


「知能と知識......。もしかして、ですけれどその時のバルも誰かが人間から作ったとしたら......」


もうその魔獣の名前を覚えるのを諦めましたわ。バルで通じますでしょう?


「その可能性もある」


「神託に戻りますけれど、私は大聖女様には絶対になりたくありませんけれど『神子と大聖女』はルカさんと私だとして『黒い天使』はあの男。『大聖女の破滅』は私がバルになる、でしょうか」


「そして『神子が血の涙を流すだろう』は俺がアイラがバルトカピになるのを止められずに悲観するってことか」


ルカさんがお顔を歪めて言いましたわ。


「それだけならまだいいのですけれどルカさんに危険が及ぶ事も考えられますわ。血の涙ですもの」


私は自分の事よりルカさんが心配ですの!!


「あの男は最初の誘拐の時から私に興味を持っていました。偶然なのかは分かりませんがあの男が関わる事件に私も関わるのですわ。この神託はあの男が将来的にやりたい事、叶えたい事を神託にして伝えたのではないでしょうか?」


ふむ。と、お父様が考えています。


「私をバルにしたいというのは前から私はに直に言っています。今更神託にして私に伝えたい訳では無いと思いますのでこの国、この世界に向けてのメッセージで混乱させるのが目的なのではないでしょうか?楽しむ為に。あの男はそういう人間ですわ」


「あの男が魔力で神官に神託と思わせて言わせたと?」


「はい。最初私もそう思いましたがもしかするとあの男と神官様が手を組んでいるかもしれないですわ。その神託がされたのはお父様が島に来る前の日でしたわね。その日は私とルカさんがあの男と対峙した日ですわ。神託が降されたのは夜ではなかったですか?」


「そうだ。夜だった」


「あの男は私とルカさんを見てもう次の計画を考えたのですわ。でも、あの時私をバルにするにはまだ研究が必要な感じの事も言っていましたので直ぐに何かあるわけではなさそうですけれど」


「なるほど」


「でも聖女になった私に接触してきそうですわね。何か事件などを起こして......」


「大丈夫だ。教会の中なら私やルネ、聖騎士達がいる。あと神子様も心配だ。護衛を強化しないと。なんといっても疑惑ばかりの神官が側にいるんだ。それにしても、その男はアイラに執着しているのだな。絶対に捕まえないといけない。アイラをバルトカピなんかにさせない!!」


お父様が強く言いってくれましたわ。


本当にあの男の正体は何なのでしょう?

どんな事も出来てしまう圧倒的な魔力持ちで沢山の『悪』の知識がある。


天使がいつか魔王がやって来ると言っていましたがその前にあの男をどうにかしないといけません。


魔王とあの男が同時期に攻めてこられたら堪ったものではありませんもの!

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