お別れですわ
私はこの島を離れる前にお世話になった島民の方々にお礼と挨拶をする事にしましたの。
何故かルカさん、お兄様、ミカエル様、ダリル様が同行するようなのですわ。
こんなにゾロゾロ来られたら相手の方が驚いてしまいますのに。
そう言っても駄目でしたの。
仕方がありません。時間も無い事ですし。
当たり前ですけれど皆さん私の姿に驚いていますわ。そんなに知り合いがいるわけではないので一回一回説明しています。でも説明している途中で殆どの方が私の手を握ってきたり髪の毛に触ってきたりとやたら触れてくるのです。男女共にですの。
何故ですの?
その度にお兄様から殺気が出てそれをミカエル様が宥め私を触る手はダリル様とルカさんに叩き落とされていますわ。
「やはりついて来て正解ですね。私のアイラに触ろうなんて......」
ダリル様の眉間にシワがよってますわ。
「アミーは元から可愛かったのになんだよ、皆んな。今更触りやがって」
ルカさんが少し怒っていますわ。
お兄様はもう説明しなくともよろしいですわね。
大体の方にお別れを言えましたわ。
すると前の方から男の子達、5人ぐらいが歩いてきます。あ!懐かしい顔ぶれですわ!
あの子達は2年前に石やカビたパン、草などをぶつけてきた方達ですわ。
この2年間多分ですけれどキルジーさんが気を遣ってくれて私と会わないようにしてくれていたのだと思いますの。だって2年ぶりに会いましたもの。
先頭に居る男の子、成長しましたわね。見たところ14、15歳ぐらいでしょうか?かなり身長も伸びていますわ。少しトラウトです。あの時は生きるのに必死で自分からパンをぶつけてもらいに行っていましたけれど。本当は悲しかったし怖かったのですわ。
私はササっとダリル様とルカさんの後ろに隠れましたわ。今の私は顔が違うので分からないかとは思うのですけれど......。
「お、お、お前!あの時の化け物女だな!?は?なんで?顔が違うぞ!?2年ぐらいでそんな美人になるはずがない!黒魔術でも使ったのか?あれは使うと罰せられるんだぞ!この化け物が!」
何故あの時の私だと分かるのかしら?何だか怖いですわ。
そーだ!そーだ!と周りの取り巻き達が一斉に叫び出しましたの。
「アイラ?確認だが、コイツらが石をぶつけてきた奴らなのか?」
お兄様、声が震えていますわ。落ち着いて下さいませ。
私は無言で頷きました。
するとお兄様だけでなくダリル様も何故かミカエル様も怒りのオーラを発してしまいましたわ。
ルカさんはそっと私を抱きしめて後ろに下がります。
「辛かったね。俺がもっと早くに出会っていれば......。ごめんね」
「ルカさんが謝る事なんてありませんわ!石とか草は嫌でしたけれどあの時は生きるのに必死でたまにあの子からぶつけられるカビたパンを食べていましたの!今、少しトラウトになっていますけれどそのパンで命が繋げたのでちょっぴり感謝もしてますわ」
あ、つい言ってしまいましたわ。
恐る恐るお兄様達を見ると......。
「何だって?アイラ。草やカビたパンまでぶつけられいたのか!?しかもカビたパン、それもアイツが触ったパンを口にしていただと!?」
「ルネ様、今回は私が許します。半殺しにしましょう。殺しては駄目ですよ?」
「カビたパン.....。カビたパンをアイラは食べていたのですか......?」
口々に言ってから男の子達の方へ向き直りましたわ。
半殺しと聞こえましたが?半殺しですの!?
「駄目ですわ!私、この方のおかげで死なずに済んだのですの。ですから......」
お兄様がその男の子を空高く聖力で放り投げました。そして男の子スレスレにダリル様が魔力で光の矢を放ちましたわ。
光の矢は男の子の頬や腕などをかすり消えていきました。
勢いよく下に降ろされた男の子は血だらけになっていて震えていますわ。
男の子も魔力は使えたでしょうけれどお兄様とダリル様の力が早すぎて防御すら出来なかったようですわ。2人の連携、凄いですわね。
「このぐらいですんだのはアイラのおかげだからな!感謝しろ」
お兄様が吐き捨てるように言いましたわ。ダリル様も睨んでいます。
良かったですわ。半殺しにならなくて。
私は男の子に近づき『治療』の聖力をフワッとかけました。すると傷が塞がりましたわ。
男の子はふん!と言った感じで走って行ってしまいましたわ。少しお漏らしもしていましたが。
取り巻き達もそれを必死に追いかけて行きました。
「治す必要なんてなかったのだ。アイラは相変わらず優しいな」
お兄様が半分呆れた様に言いましたわ。
「でもね、お兄様?あの子のパンで私はこうして今生きていますのよ?少し感謝はしていますの。さぁ、キルジーさんの所へ帰りましょう」
皆様少し悲しそうな表情をして頷きましたわ。
「キルジーさん、ダンさん。2年間本当にお世話になりました!このご恩は忘れませんわ!」
レストランに帰った私は夕方の仕込み中の2人に頭を下げてお礼を言いましたわ。
「本当に術が解けて記憶が戻ったんだね。話し方も変わってる。本物のお嬢様だったんだ!!」
ダンさんが驚いていますの。
「はい。お嬢様でしたのでお皿洗いした事がなくて。色々教えて下さってありがとうございます。私、レストランの裏方だけはやっていけそうですわ」
ダンさんとクスクス笑い合いましたわ。
「その、さ、また何かあったらこっちに戻っておいで。ここはお前さんの第二の故郷なんだからね?」
キルジーさんが照れながら言ってくれましたわ。嬉しいです。
「ありがとう......ございます......」
私は半べそになりながらお礼を言いましたわ。
その日の夜はマルタさんには申し訳なかったですがキルジーさんと一緒に寝ましたの。
そして次の日に懐かしい王都へと私は帰りましたわ。
いつも読んで頂きありがとうございます!
今回の更新で第二章が終わりました。
次回からは第三章に入ります♪
またまたゆるりと更新していきますので
お暇な時に楽しんで頂けたらと思います♪




