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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第二章

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事件ですわ

わー!もう駄目だ。

気持ち悪いって言われる。

あっちに行けって、帰れって言われる。私はグッと全身に力を入れてその言葉を待つ。


「アミーは何歳?僕と同じぐらいかな?」


「アミーちゃん!一緒にお人形さんで遊ぼうよ!」


「アミーちゃん!」


私の耳に聞こえてきたのは罵倒する言葉ではなく普通に迎えてくれる言葉だった。

ぽかーんとしている私にルカさんが


「こっちは俺とセシルさんでやっとくからアミーは子供達と遊んであげて?ね?」


と言われた。


「わーい!」


子供達がわっと寄ってきて私を取り囲み孤児院の建物の中に連れていかれた。

ルカさんはニコニコしながらそれを見ている。


建物の中は風通しの良い綺麗な部屋が幾つもあってその一つがオモチャや縫いぐるみなどが置いてあるいわゆる「遊び部屋」になっている。

その部屋に連れて行かれて色々なオモチャを目の前に出された。


「何で遊ぶ?アミーちゃんはどれが好き?」


多分、5、6歳ぐらいの女の子と男の子が私の手を引いてそう話しかけてきた。

多分私は10歳ぐらい?なんだけどこの子達は自分と同じぐらいとか思ってるのかな。


「この縫いぐるみ、可愛いね。クマさんかな?」


私は手前に転がっていたクマの縫いぐるみを手に取った。


「それは......ユーリのクマ......」


「ユーリさん?どの方?」


女の子が俯いてしまった。

何か悪い事を言ったかな?

どうしょう。


「ユーリは1週間前に突然居なくなった」


男の子が泣くのを堪えている様な表情で教えてくれた。


「居なくなったの?」


「うん。皆んなに何も言わずに。水を汲みに井戸に行ったきり帰って来なかったんだ」


でも、居なくなるっていったってここ以外に住む所なんて無いはずでは?


「ロジャーもキャシーも1年前に居なくなったし」


え?他にも?

居なくなるって。

そんな簡単にここを子供が出ていける?

それにここに居た方が食事だって食べれるし暖かいベッドだってあるし友達だって居るのに。


男の子も女の子も泣きそうなのでとりあえず話題を変えてオモチャで遊ぶ。

何か裏がありそうな失踪だなと、つい考えてしまう。


その後2時間ぐらいルカさんを交えて子供達と遊んだ。子供達は体力がある。

あ、私も子供だった。

でも今でも自分が本当に子供なのか分からない。違和感が無くならないのだ。


セシルさんが私達にお茶を淹れてくれたのでご馳走になった。


「アミーさん、子供達がとても楽しそうに貴方と遊んでいたわね。ありがとう。これからも時々でいいので遊びに来てね?ルカさんと一緒に」


ニコニコしながらセシルさんはお菓子を持って来た。


「このお菓子は子供達にあげて下さい」


私がそう言って返すとふふふとセシルさんは笑った。


「ルカさん、いい娘を見つけたわね」


「はい。とてもいい娘なんです」


なんて、言い合っている。

私、そんないい人間ではないのだけれど。


帰る時にセシルさんと子供達が見送ってくれた。子供達の何人かが泣いて


「また来てくれる?」


と私に訊いてきた。

え?え?戸惑う私。だってこんな化け物、今日予告も無しに来たから遊んでやるかみたいな感じで皆んな相手をしてくれてたのではないの?


「うん。また来月、アミーと一緒に来るから待ってて」


ルカさんが私の代わりに返事をしてくれた。子供達がやったー!とか絶対だよ!とか言って嬉しそうな顔をした。


帰りもまたゆっくりと歩いている。


「今日はありがとう。子供達も嬉しそうだった」


「こちらこそありがとうございました。私も楽しい時間を過ごせました」


ルカさんとふふふと笑い合う。

平和だな。この平和な時間がずっと続いてくれるといい。ふっと居なくなった子供達の話を思い出した。


「ルカさん、子供達が言っていたのですけどあの孤児院の子供の行方が分からなくなっているのですか?」


「あ、聞いたのか。そうなんだ。最初は昨年の今頃かな。ロジャーって男の子。次がキャシーって女の子で最近では1週間前にユーリって女の子。自分で出て行く理由もないし誰かに連れ去られたのかもって探してみたけど見つからないんだ」


「そうなんですね。無事で居るといいですが......」


「3人ともいい子だったんだけど」


ルカさんが心配そうにポツリと呟いた。


夕食の時キルジーさんにどうだった?と訊かれた。


「楽しかったです。皆んな私を怖がったりしなかった......」


「言ったろう?皆んなが皆んなそんなんじゃないんだよ。人間は色んな人がいるんだ。良かったじゃないか。これから時々行ってくるといい」


トマトパスタを盛ったお皿を私の前に置きながら言った。


「はい。それと気になる事が......。孤児院の子供が行方不明になってるって......」


その話をするとキルジーさんの手が止まった。そしてゆっくりこちらを向いた。


「そうかい。聞いたんだね。この島ではここ数年、子供が行方不明になっているんだよ。孤児院からも数名、一般家庭からも数名」


「誰も見つからないのですか?」


「ああ。幾ら探しても見つからない」


少し沈黙の後、キルジーさんが小さな声で言った。


「5年前にあたしの娘マルタも突然に姿を消した。町に買い物を頼んだんだ。そしたら帰って来なかった......」


今にも泣きそうな顔でボソボソと話てくれた。


「5年前マルタは11歳だった。大体行方不明になる子供はそのぐらいの歳なんだよ。男の子も女の子も関係なく居なくなる。この島で1番魔力を持っている長老に探してもらっても見つからないだ」

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