オレット様の過去ですわ
「悪りぃ、悪りぃ。つい思い出話に花が咲いてなぁ。そっちは?」
「アンタがよこした部下は使えるわね。あっちは大混乱よ。それにお札凄い効き目!悪魔のくせに何も出来なくなっちゃって、ほら、これ」
オレット様が嬉しそうに小瓶を取り出しました。その小瓶には真っ赤な液体が入っています。
「オレット......。この襲撃は貴方が?」
お母様が震える声で訊きました。
「ふふ。そうよ?エバンズ家を破滅させたくて何年も前から計画したのよ。楽しいわ。ね?リリー?」
「何故ですの?」
「あらあら。そんな分かりきった事を訊いてしまうのかしら?貴方が憎いからよ?そして私ではなくて貴方を選んだアルミス様もね。アルミス様に振られて私の人生は変わってしまったわ」
オレット様は小瓶を男に渡すとオペラでも演じる様に大きく身振り手振りで話し始めました。
「私は振られてお金持ちの家に嫁いだけれどそこは黒魔術を使う一族だったわ。嫌だったけれど私もミサに参加させられてね。酷いミサだったわ。人間を人間と思ってない。ミサが行われるたびに私は震え怯えたわ。でも誰も助けてなんてくれない」
「なんて事......」
お母様が両手で口を覆いました。
「私はどんどん汚れていくのに貴方は天使の様な子供を2人も産んで幸せを絵に描いたような生活をして......」
「そ、それは奥様が悪いわけではないですよね?逆恨みですよ!」
マリルが叫びます。
「はぁ?うるさい小娘ね」
オレット様がマリルを睨むと氷の塊がシールドを突き破り飛んできました。
それがマリルの右目に当たり血が飛び散ります。
「きゃぁぁ!!」
「「マリル!」」
私とお母様が倒れるマリルを支えながら名前を呼びますが返事がありません。
私はポケットに入っていたハンカチでマリルの右目を押さえます。
「貴方達のシールドなんて無いようなものだから無駄に力を使わない方がいいんじゃないかしら?」
オレット様が笑いながら少し近寄ってきましたわ。
「幸いな事に私の旦那様は早くに死んでくれたわ。あ、私が殺したんだっけ?その後は私の好きな様にやらせてもらったらそのまま教祖様にされてしまって。ふふふ。私旦那様より黒魔術の才能があったみたいよ?」
「そんな......。オレット、貴方は聖女の中でもトップクラスのとても素晴らしい聖力を持っていたじゃない!私は貴方にずっと憧れていたわ!」
お母様とオレット様は聖女仲間だったのですの!?
「それが何?いくら素晴らしい聖力を持っていたってあの家ではなんの役にも立たなかったわ。そもそも魔力持ちの家系に私だけ聖力を持って生まれたのが駄目だったのよね?私も家族と同じ魔力持ちだったのなら貴方にもアルミス様にも出会わなかったのに......」
「おーい。もう昔話はいいかなぁ?」
男が退屈そうに2人の会話を遮りました。
「そうね。早く終わらせないと。リリー?私、最初は貴方を殺そうと思ってたのよ?だけどその子が生まれた時に違う方法で貴方を苦しませようって閃いたわ。貴方とアルミス様がその子を溺愛してる姿を見てね。愛しいその子が不幸になったらどうなるかしら?ってね」
「それであのローズクォーツを。やはり貴方だったのね。違うと信じたかったわ......」
お母様が泣いてしまいましたわ!
この薄汚いオレットめ!
お母様を泣かせるなんて許さない!
「あれは大失敗だったわねぇ。それで貴方に疑われ始めてしまったもの。あのローズクォーツで屋敷の中に黒魔術を蔓延させたかったのだけれどね。更に何故だかシャーロットまで私から離れてしまったじゃない?あの子には黒魔術を仕込んであげようと思っていたのに。全部リリー、貴方のせいね。私の人生全て上手くいかなかったのは」
ギャーーー!!何にそれ?
それこそ逆恨みぃぃぃぃ!!
キレた私は聖力を使おうとしました。
すると男がそれを素早く察知したようですわ!何か呪文を唱えて私を自分の腕の中に転移させました。
「ひょえ?」
驚いた私が変な声を出してるうちに男はオレット様から渡されていた小瓶の赤い液体を私の口の中に流し込んできました。
「うげぇぇーーー!げぼぉぉーー!!」
私は吐き出します。
「アイラ!」
お母様が私を助けようとこちらに駆け寄ろうとするとオレット様が立ちはだかりました。
「あら?リリー貴方の相手は私なんだけど?」
お母様とオレット様の戦いが始まりました。
「まったくよぉ。吐き出すなよ。飲め」
男はそう言って自分の口に赤い液体を含ませあろう事に私に口移ししてきました。
ぎぇぇぇぇぇぇぇーーー!!
何でこんなオッサンとキスしないといけないのですかぁぁぁぁぁぁ!!
ごくん。
あっ。あまりのショックに飲んでしまいましたわ。
「お前、液体飲んだショックより俺とキスしたショックの方が大きいだろ?地味に傷つくけど?」
そう言って男は私を地面に転がしました。ゴロゴロと転がっているうちに何だか体が震えてきましたよ?
「うん。これで悪魔との契約は解除されたな」
「解除?」
「そう。契約する時も解除する時もどちらかがどちらかの体液を飲めばいい。多分契約する時は悪魔がお前の血でも舐めたんじゃないかぁ?あの時俺が串刺しにして大量出血してただろう?で、今はお前さんが悪魔の血を飲んだ。あ、解除の呪文は俺が口移しした時に唱えてやったから」
いや、契約の時はアクアが私にキスをしたらしいのできっと血ではなく......。あの変態め!お兄様が変態その1ならアイツが変態その0だわね!本当に私の周りには変態しか居ないのですねぇぇぇぇ!!
って、解除の呪文まで知っているこの男は何者なのですか!?




