アトラシア第6章 ナギを救うために
焚き火の前で、決意は静かに燃え上がる。
第6章:ナギを救うために
ソウタは焚き火の前で目を覚ました。
灰色の空、乾いた風。見知らぬ大地の空気が、現実だと告げている。
「……ナギ……」
妹の名を呟くだけで、胸が締め付けられる。
その隣で、ケイノが黙って火を見ていた。
「このまま進めば、ウルクの都市圏に入る。冥府とは緊張状態にあるが、君のような田舎者がうろついててもさほど怪しまれん」
「ウルクに行けば、ナギの居場所が分かるのか?」
「いや。だが、冥府の連中の動きや目的は分かるやも知れん」
「ケイノ……君は、なぜそこまで協力するんだ?」
ケイノは悲しそうに目を逸らした。
「罪滅ぼしだ」
ソウタは何か申し訳のない事を聞いてしまった気がした。
「ウルクで手を貸してくれる者は?」
「律官の一部が、冥府の動きに警戒している。内部に協力者がいないとは限らん。問題は、君が何をできるかだ」
ソウタは拳を握った。
「ナギを救う。そのためなら、何だってする」
ケイノは焚き火に木の枝をくべながら、呟いた。
「ならまず、ウルクへ行け。この少しの金と装備はくれてやる」
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