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アトラシア第5章 ケイノの独白
その罪は、忘れたくても忘れられない。
第5章:ケイノの独白
理術士であるケイノには悲しい過去がある。
彼は若き日、理術士を目指していた。神の理に触れ、真理を記述する者たち。だが何度試験を受けても、彼は落ち続けた。
一方、弟ベルンは焔術の才に恵まれ、若くして焔匠の称号を得ていた。
彼の鍛える武具は美しく、よく燃え、戦士たちに称賛された。人々はベルンを讃え、弟の周囲には常に笑い声と光があった。
「……俺は、ただ認められたかっただけなんだ」
ある日、嫉妬と孤独に駆られたケイノは、ついにベルンを討ってしまった。
それは誰の目にも“殺人”だった。
彼は一人、放浪を続ける他なかった。
「ベルン……許してくれ」
そして彼は歩き出した。
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