アトラシア第4章 理を語る者
この世界の“理”とは何か。ソウタは初めて、アトラシアの真実に触れる。
第4章:理を語る者
「……どこへ行く気なんだ?」
ソウタは、目の前のフードの人物に問いかけた。
「ナギを連れて行ったやつらは冥府セムカトラの女王パトラの命令で動いてる。あの子は――この世界を変える鍵になる」
男の声は低く、落ち着いていた。だが、その瞳には警戒と急ぎの色が混じっている。
「俺はケイノ。理術士だ。素性は明かせないがお前に協力したい」
「理術士?」
「田舎者か?まだアトラシアに来て日が浅いようだな」
「理術とは魔法の一つだ」
ケイノはそう言って、長い筆のような道具を取り出した。砂地に筆先を滑らせると、光の文様が広がる。地図のようでもあり、数式のようでもある不思議な図形。
「お前の妹、ナギは“輪廻の破壊”に必要な存在。冥府の女王パトラは、それを使って神の創造した秩序を破壊するつもりだ」
ソウタは唇を噛んだ。
「そんなことに……ナギを使うのか」
「ナギは神の模造品、まぁ俺もパトラがナギをどう使うかは知らんがな」
「……お前はナギを助けたいのか?」
「助けたいに決まっているだろう」
「お前が本気でそう思うなら教えてやる。この世界の真実を」
ケイノは筆を回し、光の中に何かを浮かび上がらせた。
それは“ウルク”の紋章。
「……冥府だけじゃない。北東の都市ウルクの王、ギル=メシュ」
「奴も不死になりたがっている」
ソウタは驚きに目を見開いた。
「そんな……一体、この世界はどうなっているんだ」
ケイノは軽く肩をすくめた。
「知っている事は教えてやるから、どうするかはお前が決めろ。」
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