表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

アトラシア第2章 異界の空の下で

それは、ナギが冥府へと導かれる始まりでもあった。

第2章:異界の空の下で


ぼんやりとした光の中、ソウタは目を開けた。


地面に倒れていた。湿った土の匂いが鼻をつく。体を起こすと、周囲の風景が目に飛び込んできた。


灰色の空。うす青く光る草が風に揺れている。裏山にある岩戸に似たものがそびえ、地平線は遠く、どこまでも続く草原のような場所だったが、現実とは違う色合いと重力感覚があった。


隣に目を向けると、少女が草の上にうずくまっていた。


「……ナギ、大丈夫か?」


ソウタが声をかけると、ナギはゆっくりとまぶたを開けた。目が合った瞬間、彼女は微笑んだ。


「……ここ、どこだろうね。知らないのに、懐かしい気がする……」


ソウタは周囲を見渡した。次の瞬間、機械の軋むような音とともに、何かが姿を現した。


仮面をかぶった無表情な存在たち──傀儡人形の軍勢だった。人間のような形をしていながら、動きはあまりに無機質で、まるで演劇の舞台装置のようだった。


その中の一体が、ソウタたちの前に進み出て言った。


「救世主、ナギ様。冥府の女王がお待ちです。我々と同行願います」


「……救世主?」


ソウタは眉をひそめた。


「何のことだ? ナギはただの子どもだ。ぼくたちは帰るんだ。どこかに出口が……」


しかし、傀儡人形たちは動じない。ソウタが言葉を投げかけても、まるで決められた台本に従って動く人形のように反応がない。


一歩踏み出そうとしたソウタに、複数の傀儡が無言で道を塞いだ。


圧倒的な人数、どうすることもできない。


そのとき、ナギがソウタの手をそっと握った。


「お兄ちゃん、大丈夫。心配しないで。……わたし、たぶん、ここに来るべきだったの」


彼女の言葉は穏やかだったが、どこか哀しげでもあった。


救世主、冥府の女王とは一体何のことなのだろう?



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

どうぞ、続きを楽しみにしていてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ