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〜護る力〜

 再びレアと別れた一同は、いよいよケイロンの待つ洞窟へと向かう。

エーレの力の真実は、いつ判明するのか。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 それぞれに腑に落ちない部分はあったが、ひとまず、一同はケイロンの所へと向かう準備をした。


女神レアは最後に、自らの力について付け加えるように補足をした。


「ペガサスの子の力で私を呼んでも、その場に泉を創造することは出来ない。

即ち、この能力では、根本的な解決を図れる事象は殆ど存在しないと言って良い。

今回は相手が山の精霊であったため、私との序列が歴然であっただけだ。

今後はお前達だけで、問題を解決しなければ意味がない。

この事を肝に銘じなさい」


そう言いながら、水の塊は流れるように、大地へと吸い込まれていった。


姿を消したエコーと女神レアに代わり、崖の上には新たな疑問や疑念だけが残されたが、今は一刻も早くケイロンに会うのが先決だ、という思いは一致していた。


「何にせよ瘴気が取り除けたのは大きい。

ヘスティアは心配だが、まずは山の反対側へ急ごう」


カロスが旅の指針をとると、レナとエーレもこれに頷き、エーレはしがみつくように、ペガサスの子の背中に飛び乗った。


「ちなみにだけど……、エーレはその力を今使えたりはしないの?」


森の中を駆けながら、レナがエーレに問いかけた。


エーレは進む先をペガサスの子に任せて恐る恐る目を瞑ったが、ただ視界が塞がれて、真っ暗になるだけであった。


「駄目みたい……」とエーレが告げると、レナは独り悩み始めた。


「何か分かりそうなのか?」


カロスは後ろを振り向くことなく、真っ直ぐ行く先を見つめながら、後方のレナに質問した。


「いいえ……全くよ。

今もエーレの魂は揺らいでいないし、なによりも不思議なのは、さっき目の前でエーレが力を使ったのに、私は何も感じなかった。

ペガサスの子の力もね……。

何だか自分の力に自信が持てなくなったわ……」


後ろ向きな言葉とは裏腹に、レナは自身の駆けゆく方向をしっかりと見つめていた。


「それも能力の一部なのかも知れないな。

ペガサスの子然り、エーレには、自分の能力すら隠す力があるのかも知れない。

今までに似たようなことはなかったのかい?」


カロスの問いかけは、今度はエーレに投げかけられた。


しかし、エーレはすぐにそれを否定した。


「残念だけど、今回のことが起こる前の私は、何の変哲もないミリアで暮らす、ただの町の娘よ。

今ですら、自分自身の力だなんて信じられないくらいに、どこにでもいる影の薄い女の子だわ」


「そうであれば、やはりエーレの力はまだ真の意味で発揮されてはいないのだろう。

自分自身の危機なのか、他人から向けられたマギアなのか、どちらにせよ、急遽発動した仮の力なのかも知れない。

エーレの本来の力が分かるまで、私たちがしっかりと守り抜かなければな」


カロスは語尾をレナへと向け、レナは「そうね」と同意した。


先ほどまで女神の前で小さく見えた二頭のケンタウルスは、今や強大で寄りかかりがいのある防御壁となって、エーレの心を存分に安堵させた。


まるで、駆け抜ける森の全てが、自身を見守ってくれているようだった。


ふと、エーレはヤニスのことを思い浮かべた。


(父やマイクさん、それにカテリーニの皆は無事かしら。

皆を護るために私の力が重要な役割を果たすのなら、私自身が早く力について学ばなきゃ)


エーレは輝きながら揺れるペガサスの子の鬣を見つめながら、今から会うケイロンが、全ての答えを教えてくれることを切に願った。


 エーレが最初に力を使ったのが、夢の中であったこと。

本棚で光った謎の本。

ルカの力、ネオの力、パンの力にマイク、そしてヤニスの力?

まだまだ謎は多いので、愉しみに読んで頂けると幸いです。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・マートル(マイクの妻、ルカを産むと共に死去)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)

・女(ヴィーナス、ルカの意思に語りかける謎の女)

・エコー(山の精霊。カロスに恋をする木霊)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・アルゴリス(アテネより南に位置する、ヒドラの住まう場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

・パピルス紙(古代に於いて使われた植物性の紙)

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