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〜未来を覗く力〜

 女神レアの記憶の断片を盗んだ者がいるのか?

ケイロンの能力も遂に判明。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 女神レア、レナ、そしてカロス。


それぞれに不穏な表情で見つめられ、エーレは困り果てた。


自分自身に自覚がないだけに、解決策がまったく思い浮かばなかった。


エーレはただ、さらなる質問を投げかけて、その場の空気を誤魔化すことしかできなかった。


「それなら、私の力はきっと“予知”じゃないかしら?

だって、今までの話を聞いたでしょ?

私にはただ、自分がその場を逃れるためのヒントが光って見えるだけ。

そんなの、“予言”じゃないでしょ?

私の力が“予知”なのであれば、カロスやレナが心配しているオイコスって場所も安全なんでしょ?」


エーレのすがるような問いに、女神レアは不気味に優しく、諭すように答えた。


「確かに今聞いた能力は“予言”ではなく、“予知”に近い。

しかしだ、エーレよ。

私たちの世界では、“予知”のマギアが発揮されたとき、周りの景色が高速で過ぎ去り、自身が置いていかれる感覚になると云われている。


それと逆に、“予言”の力は、自身が想う未来へと早送りされ、周りが止まって見えると聞かされている。

しかしこればかりは、私が実際に体験したものではないからして、断言はできないのだ。


そのヒントとなるはずなのだが……」


女神レアは曖昧な語尾を残して、頭を抱えた。


「同じようなことを言っていた者がいるのだが、それがどうしても思い出せないのだ。

何よりも不吉なのが、お前の話を聞くまで、その者の片鱗すら頭に浮かばなかったことだ。

歴史の証人たる大地の女神である私が、こんなことは初めてで、さすがに少し混乱している。

私の記憶に、すっぽりと穴が空いているようだ。

いや、空けられているのか……」


偉大なる女神様ですら混乱する問題であれば、人間の私が分からないことなんて、何の恥じらいもない。


何かが吹っ切れたように、エーレは強く質問を続けた。


「ケイロンさんの力ではないと断言できる理由は、なんなのですか?」


女神レアは、少しの間悩みから解放されるように、表情を和らげた。


「それは簡単だ、エーレ。

ケイロンは、長い年月の修行を積み重ね、その成果として“予知”の力を手に入れ、賢者と呼ばれるまでに至ったのだ。

後天的に手に入れた力はマギアとは別であり、決して付与できるものではない。


即ち、仮にケイロンが真に予言者となったとしても、その力は授与できないのだよ。

マギアは個体に芽生えるが、その根本たる幹は、概ね一つなのだ。


そして、やつ本来のマギアは“誘導”の力だ。

要するに、最初と二回目の能力発動時に話しかけていたのは、まず間違いなくケイロンだと思うが、ケイロンは自らの能力を付与したのではなく、エーレの能力の芽生えを“予知”して、それをお前に伝え、進むべき方向へ誘導した……」


「それじゃあ!」


何かを察して、エーレが叫ぶように声を上げた。


「そうだ……。

今お前たちが率先してやるべきことは、ケイロンに会うことで変わりない。

一刻も早く、このままピエリアを目指しなさい。


お前たちがケイロンに会ったら、私も確かめたいことがある。

そのときはエーレよ。

もう一度、ペガサスの子に、蹄で地面を蹴り上げるように指示してくれるか?」


「分かりました」と返事をしたが、エーレには最後の疑問が生まれた。


聞いてはいけないような気がしたが、この答えだけは持ち帰ろうと、意を決して女神レアに問いかけた。


「あの……。

なぜ貴女が直接、ケイロンさんのところへ向かわないのですか?」


この質問に、ただ話を聞くに徹していたケンタウルスたちは、顔を顰めた。


さらには、それぞれの武器すら掴もうとしたくらいだ。


しかし、女神レアは何の問題もないかのように、平然と答えを返した。


「なぜと言われても……。

会いに来るべきはケイロンであろう?

私を誰だと思っている」


この返答に、エーレはますます、神や女神とやらが分からなくなった。


 【暴露】

本当はこの世界の能力事情を説明する下りは書きたくなかったのです。

何となくぼんやりと理解して欲しかった。

でも今現代って、そうはいかないよね。

現代は余りにも、大衆的真実に拘り過ぎているよ全く。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・マートル(マイクの妻、ルカを産むと共に死去)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)

・女(ヴィーナス、ルカの意思に語りかける謎の女)

・エコー(山の精霊。カロスに恋をする木霊)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・アルゴリス(アテネより南に位置する、ヒドラの住まう場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

・パピルス紙(古代に於いて使われた植物性の紙)

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