表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/95

〜マギアとカターラ〜 その2

 続いて話されるカターラの概要と恐ろしさ。

この世界における呪いの力とは。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 放心状態で静まる一同など気にせず、女神レアは話し続けた。


「さて、エーレよ。

先程も言ったが、カターラというのは所謂呪いだ。

一般的には精霊や下級女神、使い魔などが使うことが多く、性質はマギアと似ている。

しかしその実、全くの別物だ。


例えば……、カターラはマギアと違い、単純で簡素だ。

故に力も弱く、基本的には相対する性質のカターラか、マギアの力量で簡単に対処出来る。

だが単純で簡素が故に、その分能力は多岐に及び、見極めるのは非常に困難だ。


これを例えるならば、お前達人間における恋煩いや精神異常がそうだ。

更に、カターラはより強い力によって、その性質を歪めることも出来る。

海の精霊のカターラを歪めた呪いが、まさに、先程までカロスに取り憑いていた瘴気の実態だ」


なるほど……と、エーレはこれを熱心に学んだ。


「それじゃあカターラに関しては、事前に見極めさえすれば、効果も含めて、恐れる程のものではないと言うことですか?」


「その通りだ。

しかし、カターラの真の恐ろしさは別の所にある。

マギアが“その場で発揮される力”だとすれば、カターラはその場所に“滞在する力”だ。

そしてカターラは、時間の経過と共にその力を増し、更に感染する。

これに近いものが思い浮かぶかエーレ?」


「……禁足の地の呪いですか?」


「そうだエーレ。

オリンポスの聖域は別として、この世界に数多の禁足の地が存在する理由は、其々の地にかけられたいにしえからのカターラのせいだ。

そして、それが放置されている事実こそが、カターラの真の恐ろしさを表している。


即ち、長い年月が経ったカターラは、神々ですら消し去ることが難しく、まず長い年月が経ってしまう程に、神々ですら認識出来ないのだ。

認識出来なければ、見極めも何も出来ぬであろう?」


エーレは瞬時に、その恐ろしさを理解した。


要するにカターラとは、今回のカロスのように、直接的にかけられれば対処出来るが、例えば禁足の地に入るように、気付かぬ合間に取り憑かれてしまった場合、その呪いの経過年数……即ち強さによっては、対処法がないのだ。


「そんなもの……どうやって回避するのですか?」


エーレは絶望じみた質問をした。


「安心しなさい。

まさにそれを得意とするマギアが存在する。

それが“誘導”の力の一部であり、レナが得意とする力だ。

レナは洞察力に優れており、大半の者が気付かぬ小さな違和感に気が付ける。

即ち、しっかりとマギアを発揮出来れば、あらゆるカターラを回避することも可能なのだ。


因みに、カロスの力は“授与”に属しており、本来は治癒を得意とする。

この見た感じで笑えるだろ?」


女神レアは大袈裟に戯けてみせたが、今のシリアスな雰囲気とは馴染まず、ただ沈黙が流れた。


女神レアはややつまらなそうに、最後の言葉を付け加えた。


「それは置いといても、お前達は実にバランスの良いパーティーなのだよ。

あとは其々の力と役割を、しっかりと理解することだ」


確かに理解は出来たものの、やはりあまりにも壮大過ぎて、エーレの頭は疲れたし、もう分からない事にも慣れ始めていた。


それでもこの機会を逃してはいけないとの思いで、疑問を投げ続けた。


「では、何故さっきレナさんは、あの笛に気づけなかったのですか?」


「アレは……、“パン”の力は我々神の世界でも特異中の特異だ。

自らのマギアをあらゆる性質の力と混ぜ合わせて、唯一無二にしたのだ。

ヤツの力は“隠遁”と呼ばれ、あらゆるものは、ヤツの力も存在すらも感知出来ない。


しかし安心するが良い。

力自体は特段強力ではないし、今回のように盗み見たり聴いたりするのが主だ。

感知は出来ずとも、この世界に存在するのであれば、カターラがかけられている根本を、目で観て見つければ良いだけの話だ」


女神レアは簡単そうに対処法を述べたが、どう考えても無理難題であった。


しかしエーレには、ここで大きな疑念が生まれた。


「あの……そのパンの能力って……、なんだか私と似ている所がある気がするんです……。

“存在を感知されない”ってところが……」


エーレは恐る恐る口にした。


そして何故か、自分の未知なる力や、自分と云う存在が、パンと呼ばれている者と全く関係がないことを願いながら、エーレは女神レアを見つめながら、肩を力ませて返答を待った。


 日本にも沢山ある禁忌な場所。

呪いというものは、年月によって薄まるのではなく、強くなって行くからタチな悪いのです。

皆様は決して、軽はずみな気持ちで踏み入らないように。

何故なら呪いとは、この近代化が進み、様々な謎が解かれ続けている現代に於いても全く解明されていない、人智の及ばぬ理なのだから。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・マートル(マイクの妻、ルカを産むと共に死去)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)

・女(ヴィーナス、ルカの意思に語りかける謎の女)

・エコー(山の精霊。カロスに恋をする木霊)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・アルゴリス(アテネより南に位置する、ヒドラの住まう場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

・パピルス紙(古代に於いて使われた植物性の紙)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ