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〜マギアとカターラ〜

 女神から語られるこの世界の〝力〟の正体。

エーレの未知の力も、間もなく判明?


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 「いま一度確認しておこう」と、女神レアが手を一振りすると、エーレの目の前に水が溢れ、切り株型の椅子を形作った。


さらに、一同のいる崖全体が、半円形の水膜で覆われた。


不意に女神レアはエーレを見つめ、真剣な眼差しで話を始めた。


「今から話すのは、この先の旅路においてとても重要な事だ。

無論、お前にとってもだエーレ。

カロスとレナは知っているであろうが、お前達はその本質を理解していない。

この機会にもう一度、全てを理解し直すのだ」


カロスとレナは片膝を突き、敬意の姿勢を表した。


エーレは慎重に確かめながら、今しがた現れた水の椅子に行儀良く腰を下ろした。


「私達はそれぞれに秘められた力を“マギア”と呼んでいる。

そしてもうひとつ別の力、呪いの力は“カターラ”と呼ばれている。

お前に危機が訪れた時、周りの情景を俯瞰視できたのは、恐らくケイロンではなく、お前自身のマギアによるものだ。

未熟が故か、まだその力を使いこなせていないだけなのか……、兎に角、自覚できていないのだと私は推測している」


女神レアは、エーレの瞳の奥を覗き込むように話した。


勿論エーレは、自らのマギアなど自覚しているはずもなかった。


「マギアの特性として、自らへと惹き込む“マイナス”と、他へと発する“プラス”があり、その振り幅によって六段階に分けられている。

マイナスから順に、狂気 → 拒絶 → 反射 → 誘導 → 授与 → 無我、とな。


基本的にそれぞれは、対極となる特性に対して相殺の反応を示す。

先程も言ったが、私のマギアはこの中で“反射”に属する。

私の創造した泉には治癒の効果があると広く知られているが、厳密に言えばそれは間違いだ。

私は、泉に浸かったものに及んでいる力を反射させて外に追い出しているだけであって、よって私が良しとしないものは、泉に触れようとした時点で反射させる。

そもそも泉に触れることすらできないという訳だ」


女神レアの説明は分かりやすく、エーレはすんなりと理解できた。


この不思議な水の椅子に座ることができているのも反射の力であり、全体を覆う半球形の水膜は、女神レアが良しとしないものを受け付けないための防御壁なのだろうと察し、エーレは改めて水膜を見渡した。


女神レアはカロスとレナに視線を移し、口調を強めた。


「先程見たエコーの力……、あれは精霊の“カターラ”ではなく、“マギア”の拒絶だ」


エーレにはそれが何を意味するのか分からなかったが、ケンタウルス達の驚きようを見る限り、“普通ではない”ことだけは理解できた。


「そんな!?

あまつさえ、力を制限されているというのに、何故……たかだかニンフにそんな事が!?」


レナは叫ぶように聞き返したが、カロスはどこか腑に落ちた様子で、ひとり静かに納得していた。


「だからお前は“理解していない”と言っているのだ。

マギアは種族に付与されるものではなく、個体に芽生えるものだ。

人間だから、ニンフだからという考え方自体が、大きく道を逸れているのだよ。


それに、エコーに関してはもうひとつ、お前達が勘違いしていることがある。

お前達はエコーを、“罪深き恋路故に、罰として力を奪われた精霊”と思っているが、実際には“エコーの力が強大過ぎるあまり、元より目をつけていたヘーラーによって、恋に浮かれている隙を突かれた”だけだ。


実際、この目で見たエコーの拒絶の力は絶大だ。

ネーレーイスの瘴気が、根本から跡形もなく弾け飛んだのが何よりの証拠である。

奴が私の泉で力を完全に取り戻せば、間違いなく強力な味方になるであろう。


だがしかし、もしもあの場でレナが大樹に斬りかかったり、エーレが拒絶されるようなことをしていたのなら、弾け飛んでいたのは瘴気ではなく、お前達の魂だ。

あれだけの拒絶の力であれば、肉体から魂を引き剥がすなど容易であろう。


“心の死”の意味は、お前達もよく知っているはずなのだが?」


レナは当てもなく地面を見つめ、カロスはそんなレナを見つめたのち、エーレ、そして女神レアへと目線を移した。


エーレは今しがた、自分が九死に一生を得たのだと理解した。



 こーゆー能力系って、どんなに練って考えても既知感から逃れられない。

ジャンプって凄ぇなって思うし、大体の超能力はHUNTER✕HUNTERとBLEACHで出尽くしてるのよね。

腐らず頑張りますが…。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・マートル(マイクの妻、ルカを産むと共に死去)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)

・女(ヴィーナス、ルカの意思に語りかける謎の女)

・エコー(山の精霊。カロスに恋をする木霊)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・アルゴリス(アテネより南に位置する、ヒドラの住まう場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

・パピルス紙(古代に於いて使われた植物性の紙)

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