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〜英雄の血筋〜

 ヘラクレスの狙いとは何なのか。

今一度協力すべき仲間を確認し合う時。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 「ヘラクレスって、あの英雄の神様かい?」


予想に反して、一番最初に言葉を発したのはネオであった。


「なんで俺達人間の味方であるはずのヘラクレスが、そんなことをするんだい?」


ネオの質問に対し、パンは大袈裟な笑い声を響かせ、さも愉しげに応えた。


「勘弁してくれよ坊主。

アルカイオスの時代ならまだしも、ヘラクレスがいつ、お前たち人類の“味方”をしたというんだ?

そもそも奴は『ヘラ』の乳飲み子。

不死身の化け物であり、列記とした『ゼウス』の血筋さ。

たまたまあいつに科せられた業が、人類の町や村を救った……、ただそれだけの話だ。

お前たちが勝手に“英雄”と崇め奉っただけってことさ」


パンの言葉に、ネオは驚きを隠せなかった。


この時代の戦士で、アルカイオス、そしてヘラクレスに対して憧れを抱かぬ者などいなかった。


それはマイクとヤニスも同様であり、伝説の英雄アルカイオス、そして英雄たちの神様であるヘラクレス、二つの像が重なり合い、今まで憧れの目を向けていた相手が、実は裏で手痛い仕打ちをしていたと知れば、さぞ心を乱されるはずだと、ネオは二人を心配した。



 しかしそれは、無用な気遣いであった。


マイクは胡座をかき、背筋をスッと伸ばすと、パンとアグノスに向かって深く頭を下げた。


「謝罪が通じるのであれば、謝る。

通じなければ仕方がないが、俺もまだ守るものがある身ゆえ、全力で逃げさせて貰う。

そして、このまま我々に力と知恵を貸してほしい」


「俺からも頼む」


ヤニスも同様に頭を下げ、慌てたネオはまたしても、見よう見まねでそれに倣った。


パンはさらに大声で笑った。


「なんて図々しい奴だい!

さっきまで神の使いに命を懸けさせておいて、今度は協力しろってか?

ここまでくると、逆に気持ちがいいくらいだ。

どうするんだ、アグノス?」


「どのみち俺の使命は、お前たちをケイロンの元へと案内することだ。

ここでパンが許さないと言ったところで、俺が止めるだけだ。

頭を上げてくれ。

事が起こったのであれば、急ぐに越したことはない」


「恩に着る」


マイクは頭を上げ、ひとつ提案をした。


「まずはこのまま、カテリーニに来ないか?

そこでより詳しく話を聞きたい」


ネオは驚愕の声を上げた。


「この化け物……、この方達を、俺たちの町へ案内するって!?」


だが、それを予想していなかったのはネオだけであり、他の面々は当たり前の様子であった。


「それも、どのみちその予定だ」


アグノスはスッと立ち上がった。


「誰も怖がる奴がいないんだ。

夜の森よりマシだろう」


ヤニスは、ここでもネオの背中を荒々しく叩いた。


そしてマイクは、パンを見つめてこう言った。


「俺もさっきの件では、詫び足りないと思っている。

幸いにも、ヘラクレスは麦酒に興味が無かったようだ。

カテリーニの麦酒を、好きなだけ呑んでくれ。

もちろん、私も付き合おう」


「そいつは気に入った!」


パンは子供のように跳ねて立ち上がった。


「そうと決まれば、楽しい作戦会議といこう!」


パンは意気揚々と、歩き出した。



 「きっと明日も早いんだろう?

俺はさっきみたいな辺鄙な宴は懲り懲りだ。

町に着いたら、先に休ませてもらうからね」


ネオがこっそりとマイクとヤニスに耳打ちすると、パンからの返答が飛んできた。


「小僧が寝ている間に、さっき俺様を“化け物”呼ばわりしたのを思い出して、癇に障って寝込みを襲うかもしれんぞ?

心配なら、小僧も会議に参加させることだな」


ネオは大きくため息をつき、全身の力が抜け、ヤニスの背中にもたれかかった。


 ヘラクレスはゼウスと浮気相手との子供何だけど、ゼウスは不老不死の力を与える為に、自分の正妻の乳を飲ませたんだよ。

その時ヘラクレスの吸引力が強すぎて、正妻ヘーラーは目覚め、そして溢れたミルクは天の川になりました。

無茶苦茶ですね。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

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