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〜ペガサスの子〜

 レナも感じていたエーレの才能。

神の器で無いのであれば、エーレとはいったい…。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。



 沈黙が広がる森の中で、最初に口を開いたのはレナであった。


「“レア”が言っている事は確かだと思うわ。

私もさっきエーレを見た瞬間に、魂の揺らぎがないのには気が付いた。

でもそれと同時に、『神の器』に対しては疑念を持ったわ。

何故なら、“魂の揺らぎを感じない”のではなく、“魂自体が揺らいでいない”と感じたからよ。

上手く伝えられないのだけれど、そういうこと」


レナは言葉を口にした後、額に手を当て、じっとエーレを見つめ、頭痛と戦うように付け加えた。


「ごめんなさい……。

変な意味じゃないから傷つかないでね……。

あなたをずっと見ていると、何だか気味が悪くて頭が痛くなってしまうの。

全ての色が薄れて、透明になっていくみたい」


エーレは面と向かって伝えられた言葉に、大いに傷付いた。


しかし女神は「ほお」と驚く仕草を見せた。


「見ただけでそこまで分かるとは驚いた。

ケイロンの狙い通りだな。

そう。

私が神の器に反対したのも、同じ理由だ。

この娘から魂の揺らぎを感じないのは、その器ではなく、魂自体に起因しているからだよ」


エーレはまたしても、褒められているのか貶されているのか分からなかった。


そして遂に、女神に聞いてみる事にした。


「あの……さっきから言ってる、神の器だとか、魂の揺らぎだとか、一体何のことなのですか?」


恐る恐る疑問を投げかける娘に、女神様は微笑みながら優しく答えた。


「魂の揺らぎとは何となく想像出来よう。

所謂〝気〟や気配と呼ばれるものだ。

カロスやケイロンは、お前が余りにも存在感が無いので、神の器、つまり神が入る為のハリボテなのではないかと考えた訳だ。

しかしレナや私が見る限り、お前はただただ存在感が無いだけだ。

安心しなさい。

お前はハリボテではなく、存在感が“皆無”なだけだ」


どうやら女神様なりに安心させようとしてくれているらしい。


自分でも存在感が薄いとは思っていたが、まさか“皆無”だとは思わなかった。


しかし、神の器とやらで在るよりはマシな気がしたし、エーレはもうどうでも良くなっていた。


「何にせよだ。

こと追うものから隠れるに於いては、とても素晴らしい力だ」


女神の言葉に、エーレは確かに!と思った。


事実カロスもレナも頷いていた。


「昨日の奴らは、お前の出生から見張っていたのであろう。

そしてタイミングを伺っていた。

だが、一度森で見失った今、奴らに探す術は無いはずだ。

そうなれば残る問題は……」


そう言うと女神は目を瞑った。


途端に女神の形は崩れ、代わりに水の塊はアーチ状の扉へと変形した。


扉の水面がひとつ波打つと、中から一頭の綺麗な白馬が飛び出して来た。


白馬はレナと同じ程の大きさで、かなり小柄な体格であったが、気品に溢れ、鬣は輝き、白を超越した透明であるかの様であった。


白馬を召喚するや否や、水の扉はすかさず、女神の姿へと形を戻した。


「これは…」


カロス、そしてレナも驚いていた。


エーレにとっては普通より上等な白馬にしか見えなかったが、どうやらケンタウルスを以ってしても、珍しい生き物らしい。


「ペガサスの子ですか?」


カロスの問いに、女神は「そうだ」と答えた。


そしてエーレに告げた。


「此奴もまた、隠れ続ける為に、生まれつき存在感が皆無なのだ。

森の草木も気付かん程にな。

旅の共にするがよい。

お前達は良いパートナーになれるであろう」


エーレは差し出された白馬に、無上の親近感が湧き、愛着が生まれた。それと同時に先程の女神の言葉が、紛れもない優しさであったのだと気付いた。

 メデューサって知ってます?

そうあの髪が蛇で、目があったら石にされるやつ!アイツ!

ペルセウスって英雄に首を切られたんだけどね。

その首!

その首から生まれたのがペガサス!

ペガサスの兄弟は巨人!

わけわからん。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(大地の女神、レナの師)

・アキレウス(昔の英雄)

・アルカイオス(昔の英雄、後のヘラクレス)

・ヘラクレス(英雄の神、元アルカイオス)

・ネッソス(レナの父)

・アイネ(レナの母)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元ニンフの魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)

・ヒドラ(九つの首を持つ毒蛇)

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