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〜それぞれの道のり〜

 神殿に呼び込んだ二頭に、ターレスは其々の使命を授ける。

其々の道の先に待つ者とは。

【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 「よもやケイロンが……、奴がこの森に居ると?」


怒りを含んだ声でレナが問い、その言葉にアグノスは目を輝かせながらターレスを見た。


「それはあるまい」


返って来た返答にレナは険しい表情を崩さず、アグノスはあからさまに詰まらない顔をした。


「奴が自ら誓約した森との誓いを、そう簡単に破るとは思えん。 使いの梟を寄越したのが何よりの証拠じゃ」


「もし奴が来ていたら私が殺していた」とレナは吐き捨てた。


どうやらレナはケイロンを酷く憎んでいるようであり、それは一族の皆が知っていた。


まだレナが幼いころ、とあるケイロンの弟子の一人がレナの父親を殺した……、それが皆に周知された話の粗筋であり、正直レナ自身も詳しい真実は知らなかった。


 「分かった!」


急にアグノスが緊張感のない声を上げた。


「詳しい内容を聞くためにケイロンの所へ行けって言うんだな? だったらレナは見ての通りだ! 俺が行くよ!」


レナは怒りを何とか抑えながら「馬鹿者!ターレス様がそのような…」と言いかけた所で、ターレスが言葉を遮った。


「その通りだよ」


信じ難い族長の言葉に、レナは聞き間違いではあるまいかとターレスを見つめ、アグノスは「やったね!」と大いに喜んだ。


「そんな…」と言葉を出そうとするレナを、ターレスは掌を翳して鎮め、返答の続きを聞かせた。


「だがケイロンに会いに行くのはレナ、お前だ」


さらに予期せぬ言葉に、レナは声を失い呆然とし、アグノスは忙しく、今度は口を大きく開き手は前に伸ばし、体全体で疑問と抗議を表した。


「全くお前達は…」ターレスは頭を抱える素振りをしながら「最後まで聞きなさい」と、言葉を続けた。


 「レナよ、お前はまずカロスと合流し、その後ケイロンの住む“ピエリアの洞窟”へと向かいなさい」


レナは激しい頭痛に襲われたように頭を抱え、天を見上げた。


レナはカロス“も”苦手としていた。


「アグノスお前は…」


ターレスはその様子を無視して続けた。


「お前は先ずパライオを目指して森を隈なく調べなさい。 そこで魔物の気配に警戒しながら、二人の人間と合流するのだ」


「人間だって?」とアグノスは大袈裟に打ちひしがれた。


二頭は其々にターレスに言われた指示を頭の中で思い返してみたが、納得できる点は一つも見当たらなかった。


今にも痺れを切らして吠えだしそうな二人を見兼ねて、ターレスはそれぞれに助言を付け加えた。


 「アグノスや。ケイロンの予想が正しければお前の元に来る予定の人間は、後に英雄と成り得る力と運命を背負った者だそうだ。 そして喜ぶが良い。 お前の使命はその二人を、無事ケイロンの元へと案内する事だ」


アグノスの表情は一転、無邪気な陽気を取り戻した。


「なんだよ、それなら任せろってんだ。 ってことはカロスさんにも会えるって訳だ。 楽しい使命だぜ。 じゃあさっそく行ってきますよ」


意気揚々と立ち去ろうとするアグノスに、ターレスは少し意地悪な忠告をした。


「最後にの、ケイロン曰くパライオの森に“パン”が彷徨いているらしい。 お前は仲良しなはずだが、念の為よく気を付けなさい」


背中に投げかけられた最後の言葉に、アグノスは「嘘だろ?」と肩を落とし、さっき迄の陽気が嘘のように、何度も溜め息をつきながら神殿を後にした。


そしてレナが取り残された。


相変わらず険しい表情のまま固まったレナに、ターレスはゆっくりと語り始めた。



 どうしようも無さそうなアグノス君ですが、実は戦いになったら凄いんです。

しかも他のケンタウルスが持っていない、とある力を有しています。

お楽しみに。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(女神)

・アキレウス(昔の英雄)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元精霊の魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)


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