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〜賢者からの便り〜

 ケンタウルス達に告げられた影の暗躍。

種族を代表して二頭のケンタウルスが、詳しい事の成り行きを知らされる。


【固定】

始めまして、三軒長屋サンゲンナガヤ 与太郎ヨタロウです。

ゆっくりと物語の中の世界を、楽しんで頂けると幸いです。

後書きに名称一覧がありますので、ご活用下さい。


 「皆其々、見守っている森の各所にて、警戒をする様に。 そしてレナとアグノス、私の処へ来なさい」


一同のざわめきが収まるのを待たずして、ターレスは祭壇の中へと姿を消した。戦士を名乗るケンタウルス達は其々会話をしながら、森の中へと散って行った。戦士でない者達は不安そうに、湖の畔で群れを成した。


ターレスに呼ばれたレナとアグノスは、湖を軽く飛び越え、イボヴォリの祭壇へと向かった。ソフィアは幼いケンタウルス達を集めながら、その姿を見守っていた。


 祭壇の中へと入って来る二頭を、ターレスは険しい顔で待ち受けていた。


アグノスはまだ幼気の残る若い青年風のケンタウルスであり、レナと比べて身体も小さかったが、しかしながら他のケンタウルス達に決して引けを取ることのない逞しさと、輝く肉体を纏っていた。


 「さっきのじゃ誰も納得しないぜターレス」 


神殿に入るなりアグノスが喋ると、上から大きな拳骨が降ってきた。もろに食らったアグノスは、頭を抱えながら悶絶した。


「〝様〟を付けろ無礼者」


拳骨の主であるレナは、厳格な表情でアグノスを見下ろしていた。


「良いのだレナ。 そやつの世代は間違いなくアグノスが引っ張る。 それぐらいの威勢があれば頼もしい限りだよ」


「しかし…」とレナは納得せず、アグノスは下からレナを睨んだ。


「で何だよ。 カロスさんの所に応援に行くなら、俺一人で充分だぜ」


またコイツは、とレナが手を振りかぶると同時に、アグノスは距離をとった。


「止めんかまったく…」


ターレスは呆れる気持ちを持ち直しながら、二頭に話し始めた。


 「他のケンタウルス達には伝える訳にいかんのでな……。 双方落ち着いて良く聞きなさい」


ターレスの戒めの言葉に、二頭は前片脚だけを立てて座り、跪くような姿勢を示した。


   「今回の狭間の獣達であるが……、私はその気配に一切気付けなかった……。 この意味が分かるか?」


アグノスは大げさに首を傾げ、レナはより険しい表情を作った。


「先ほど群れを成していたと言ってましたが、それと何か関係が?」


レナが問い掛け、ターレスは答えながら続けた。


「まあそうだな。 要するに今回の狭間の獣達は、恐らくタナトス直々の命の元動いたと思われる。 そして同時刻にヘルメスの使者が現れたのは、勿論偶然では無かろう。 奴らはあからさまに共通の何かを狙っている。 しかも森を欺いて気配を殺していたとなると、かなり用意周到と言わざるを得ない」


ターレスの話しに、アグノスはぶっきらぼうな質問を投げ掛けた。


「天界と冥界の死神が揃いも揃って、一体何を狙ってるんだい?」


ターレスは暫く黙り、何かを躊躇するかのように返答した。


「それが分からんのだ……。 いや教えてくれなかったと言った方が的確だろう」


ターレスのあやふやな言葉に、二頭は訝しげな顔をした。


 二人の顔を其々見つめたターレスは、溜め息に似た息を吐き、意を決したように話しを付け加えた。


「今回私は“ケイロンの梟”から、ことの成り行きを聞かされた。 先も言ったが、それまでは全く気付けなかった。 族長ともあろう者が情けない事だよ……。 またしてもケイロンに救われたのだ」


ターレスの言葉にレナは益々表情を険しく尖らせ、アグノスはそれと対照的に満面の笑みを見せた。


イボヴォリの祭壇の中にも、しばしの沈黙が漂った。



 お分かりの通り、レナとアグノスは仲悪いよ。

ケイロン派と反ケイロン派だからね。

どの種族にも派閥は出来るのです。


【固定】

お読み頂きありがとうございました。 

評価やブックマークして頂けますと励みになります。

是非続きもお楽しみ下さい。


登場する名称一覧

 【キャラクター】

・カロス(ケンタウルス)

・エーレ(神の器?)

・ヤニス(エーレの父に返り咲いた男)

・マイク(伝説の英雄)

・レナ(ケンタウルスの女戦士)

・ターレス(ケンタウルスの族長)

・ソフィア(ケンタウルスの少女)

・アグノス(ケンタウルスの若い戦士)

・ルカ(マイクの息子)

・サテュロス(笛を吹く半人半獣)

・ネオ(若い狩人)

・ミト(老いた狩人)

・ケイロン(ケンタウルスの英雄?)

・レア(女神)

・アキレウス(昔の英雄)

・ヘルメス(天界の死神)

・ヘルメスの使者(元精霊の魂)

・タナトス(冥界の死神)

・狭間の獣(タナトスの下僕)

・ニンフ(精霊の総称)

・パン(ニンフ殺し、ヘルメスの使い)


【場所・他】

・ミリア(エーレが住む山奥の町)

・カテリーニ(マイクが住む海の近くの町)

・パライオ(山の入口の町)

・レアの泉(女神の泉)

・ピエリア(ミリアから山を超えた先)

・モスコホリ(ミリアの隣町)

・ヘスティア(ケンタウルス達が集う場所)

・スパルタ(ヤニスやマイクが属した勢力)

・アテネ(スパルタの敵対勢力)

・天界(天空の世界)

・冥界(地底の世界)

・禁則の地(天界と繋がる場所)

・イボヴォリ(ケンタウルスの園にそびえる大樹)


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