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狼少年と猟師【陰猫(改)Ver.】

作者: 陰猫(改)

 むかしむかし、あるところに嘘を吐く事が大好きな少年がいました。

 少年は悪戯で毎回、「狼が来た!」と言って羊飼い達を困らせていました。


 ある日、そんな少年の飼う羊達の群れに狼が紛れ込んでいました。

 少年は慌てて「狼が来た!」と町中に言いますが、少年の日頃の行いのせいで誰もその言葉を信じません。


 そんな中でただ一人、目付きの鋭い猟師が質問します。


「少年。本当に狼が出たのか?」

「本当だよ。信じてくれよ」

「ならば、少年よ。覚えておくがいい。

 嘘と言うのは誰かを貶める為だけに吐くの全てではない。

 誰も傷付けない為に吐く嘘も必要な事だ。嘘とは他者に傷付けぬようにする為の優しさがあって初めて意味があるのだ」


 目付きの鋭い猟師はそう言って少年のあとについて行くと羊達を追い掛けていた狼を銃声で追い払います。

 羊達の数は減ってしまいましたが、猟師は周囲の羊飼いに訳を話して羊を少し分けるように交渉します。


 少年はそんな猟師の姿に男気を感じました。少年は猟師に質問します。


「どうして、あなたは俺の言う事を信じてくれたんだ?」


 そんな少年の言葉に猟師は言います。


「どんな事情であれども、手を貸すのが男ってもんだ。

 少年よ。覚えておくがいい。

 必要以外な嘘はいつか、身を滅ぼす。それがどんなに些細なものであれ、その積み重ねが信用の欠落に繋がる。だからこそ、本当に必要な時以外は正直に生きてみろ。

 実直である事は信頼に繋がる。だから、今後はもう少し考えて必要な嘘を付け」


 猟師のその言葉に少年はとても感動しました。

 その言葉の重みを少年は言葉ではなく、心で理解しました。


 その後、少年は立派な大人に成長し、あの猟師の言葉通りに必要な時以外に嘘を吐く事はなく、猟師として村を支えるようになります。


 そして、かつての自分のように嘘を吐いている子どもが本当に困っている時に自分が教わった事を口にして助けに向かうのでした。


《おしまい》

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