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夜明けをもたらす輝き  作者: 灰簾 時雨
3/14

遭遇

 僕と兄さんが音楽を聴くために、広場に近づくとすごい人数が集まっていて、前の方から凄く楽しそうな音楽が聞こえてきて、周りの人の中には手拍子をしている人もいる。

「うーん。もっと近くで見たいなー」

「少し歩いて、隙間があるか見てみよう。」

 僕と兄さんがどうにか見える位置に移動できないか考えていると、

「お!レイン、あそこを見てみろ。俺たち二人分なら、通れそうな隙間があるぞ。」

「あ、ホントだ!兄さん、行こう。」

 僕はそう言って、兄さんと手をつなぐと、その隙間目指して進もうとした。

 その時だ。僕が家を出てから、雨が降りそうになかった綺麗な青空が突然、太陽が沈んで、夜が来たみたいに暗く、黒く染まっていく。 

 その後、腰に剣を下げた人が空に浮かぶように現れる。それまで流れていた、楽団の人たちが演奏していた楽しそうな音楽と、周りの人達の手拍子が止まる。

 実際の様子は見えないから分からないけど、突然の事に楽団の人達は演奏することを止めて、僕たちを含めた街の人と一緒に、この信じられないような光景をただ眺めているのかもしれない。

「我の名はミッドナイト。この地に永遠の夜をもたらすものなり。」

 空に浮かんだその人は、何か不思議な力を使っているのか街全体に聞こえるくらい、よく響く声で宣言した。    

 その言葉を聞いて、周りの人達からざわめきが上がる。それもそのはずだ。

 その名前は僕が今朝読んできた物語の登場人物で、500年前の紫の英雄と蒼の英雄が倒したとされる人と同じ名前だったからだ。僕や兄さんは聞いて育っているし、僕たちが知っているくらいだから、当然この国の人であれば皆知っている話だ。そんな中、隣に立っていたおじいさんが、自分の事をミッドナイトと名乗る空に浮かんだ人に対して、大声で叫んだ。

「そんな馬鹿な!その名前を持った人物は500年前、紫の英雄と蒼の英雄が倒したはずだ。」

 周りの大人たちは首を縦に振っておじいさんの言葉に同意したり、口々におじいさんの言葉に賛成するような事を呟いている。

 おじいさんの言葉や周りの大人たちの反応を一通り確認するとミッドナイトは再び話始める。

「確かに紫と蒼のに痛手を受けたのは事実だ。だが、あの者たちは本当の意味で宝石の力を引き出せたわけではなかったから、我を消滅させることができなかったのだ。おかげで、あの二人がいなくなったこの時代に力を取り戻し、復活することが出来た。」

 一度ミッドナイトは言葉を切ると、僕と兄さんの方を明らかに向いてから、さらに続ける。

「我の目的を邪魔するものはいない。だが、後々出てくると面倒だ。今この場で忌まわしき力を受け継ぐ者たちは消しておこう。」

 そう言うと、ミッドナイトは手を挙げた後ゆっくりと振り下ろす。すると突然、僕と兄さんめがけて黒い雷が落ちてきた。



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