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第8話:あなたは、今までに転生させてきた人数を覚えていやがりますの?(その4)

「ま、まさか、所長さんが転生のスキルを持った能力者とは思いませんでしたわ…」

「人の命に直接係わるスキルですから、厳重な管理が必要です。その本人が所長であれば、誰も心配しないでしょう。それで…転生を希望されているのは…」

「あ、あたくしですが…。一応おうかがいしますわ。転生できるとして、それは、あたくしの望んだ条件で生まれ変わる事が可能なんですの?」

(お嬢様、私のスキルで、所長の今までの転生スキル発動回数を確認しましたが…。所長さんが転生させた人数は…まさかの0人です)

(なんですって!? 詐欺師じゃねーですの!)

(詐欺師…は言い過ぎかもしれませんが、期待しているスキルを持ってらっしゃらない可能性は高いでしょう。あのお料理ギルドの男と同じく、ブラフと考えて問題なさそうです)

「なるほど…あなたは、あらゆることをパラメータ化して数値を確認できるスキルの持ち主でしたな…」

「…聞こえてらっしゃいましたか。失敬しました。ええ、その通りです。ですので、私はあなたに、なぜ我々に対して転生スキルを持っているなどとウソをついたのか、を問い詰める権利があります」

「ウソをついた…ですか。それは半分正しいかもしれませんが、半分間違っていると言えるでしょうね」

「所長さん、それはどういう意味ですの?」

「まず、わたしは転生に対するさまざまなスキルを会得しています。なので、誰かを転生する事は可能、というのが前提となります。しかしながら、転生のスキルとは、すなわち他人の命を一瞬にして奪うスキルです。転生を転生たらしめているのは、その死後に責任を負えるか否か、なのですが…死後に何に転生したか、指定された条件通りになったのか、をわたしは確認できませんので、そういう意味では不完全と言えるかもしれませんね」

「そ…それは、ただの人殺しのスキルではなくって…?」

「その可能性も否定できません。ただ、転生そのものが存在するのか否か、は、わたしのもうひとつのスキルで確認ができます」

「もうひとつのスキル…。ゴクリ…ですわ…」

「こちらもシンプルな話です。わたしの持つもう一つのスキルとは『その人が、前世、つまり転生前に、何であったか』を透視するスキルです」

「な、なんですって!? つまり…言ってしまえば…逆に所長さんには、あたくしの…前世がわかる…というんですの? で、でも、デタラメに言われても、それが本当かどうかはわからないではありませんの…」

「ええ、その通りですね。ですから、わたしの前世透視を信じるか信じないかは、その人次第、という事になります。ちなみに…アイラさん、あなたの前世についてお話してもさしつかえないでしょうか? 少なくとも、わたしがこれを口にする事で、あなたは転生をあきらめる事になると思いますが…」

「転生をあきらめる…ほどの、重大な前世でしたの…? あたくし…」

「どうされますか? これを聞かずに、リスクはありますが、転生をしてさしあげる事も可能ですよ」

「そ、そこまで言われたら、前世を聞かずして転生なんてありえませんわ! お、おっしゃっていただけます? あたくしの前世、つまり、今のあたくしに転生する以前、あたくしは何者だったのか」

「いいでしょう。では、申し上げます」

「ゴ…ゴクリ…」

「アイラさん、あなたの前世は…」

「ぜ…前世は…?」

「『男の娘』でした」

「は?」

「『男の娘』です」

「そ…それは…どういう意味ですの?」

「ですから、あなたの転生前の前世は『男の娘』だったのです。あなたは元々『男の娘』で、若くして重病を患っていた。それで、生まれ変わったら『悪役令嬢になりたい』と願われたのです。偶然にも、その願いは叶っていたのではないですか?」

「キ、キルホーマン…あたくしって、悪役令嬢ですの?」

「悪役…かはわかりませんが、令嬢であることには間違いないと思います」

「そ…そうですの…。あたくし、前世では、今のあたくしがなりたかった『男の娘』で、逆に今のあたくしは、前世のあたくしがなりたかった『悪役令嬢』だったなんて…」

「アイラさん、あなたが先ほどおっしゃっていた通り、信じるか信じないかはあなた次第ですが…。それでも転生を考えるのであれば、わたしは手をお貸しすることは可能ですよ」

「い、いえ…。転生はあきらめますわ…。意味がありませんもの…」

「…アイラちゃん…」

「ゴブおじ、ラフロイグさん、キルホーマン、エレンちゃん、カリラちゃん、ここまで付き合わせてしまったのに、申し訳ありません…ですわ」

「俺は構わん。ここに来たのは物見遊山だ。それにもともと、俺も同じ目的だったからな。そもそも、俺がお前の額の傷を消した時点で、転生の意味はなくなっていたはずだ」

「まだ…心の整理はついていませんけれど…。あたくし、なんだか、今の人生を精一杯生きてみよう、という気が…してきましたの…」

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