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第4話:あなたがた、お人形遊びをしている時間なんてありまして?(その3)

「ひ、ひぃい! あ、あなた方、その人形をどうされたのですか…。ま、まさか、あの祠から持ち出したのですか…? 罰当たりな…」

「罰当たりか。人生において、他人に何かを期待するのは悪手だという事実をお前が証明しているな。何故なら、お前に罰が当たっていないからだ」

「ひゃあ! しゃべった! またしゃべった!」

「占い師さん、落ち着いて下さい。あなたもよくご存知の、祠の人形ですよ。しゃべるところは何度もお聞きになっているのでは?」

「え…ええ。それはそうですが…」

「おい、占い師。気を抜く事はお勧めしない。俺はまだ、お前に燃やされたり捨てられたりハサミで首を切られそうになった事を忘れていない」

「ご、ゴクリ…」

「お人形さん、もう充分ではないですか? そろそろ占い師さんが、かわいそうですよ」

「ふむ。そうだな…。占い師よ、お前は運がいい。俺のスキルを見ていないのだからな」

「…それで、あなたがたは、わたしに何の御用ですかな…?」

「お話への入り方がよくなかったですね。困惑させるつもりはなかったのです。私たちの要件は大きく2つです。1つは、この通り、祠の人形事件については解決したことを、お伝えにきました。2つは、あるスキル者の存在についてお伺いしたいです」

「か…解決…ですか。た、確かにあなたたちが人形を持ち出してくだされば、祠は以前のように使う事ができますが…」

「ええ、ご安心ください。お人形さんは私たちが責任を持ってお預かりしますよ」

「それで、わたしに尋ねたいスキル者というのは…」

「私たちは『転生のスキル』を持った能力者を探しているのですが…何か情報をお持ちではありませんか?」

「転生…ですか。さすがに聞いた事はありませんねえ…。そんな事が可能なのでしょうか?」

「そうですか…。では『南のお告げ所』についてはいかがですか? そこに行けば、転生スキルの能力者に会えると聞いているのです」

「『南のお告げ所』ですか…。確かに、その場所の話は何度か耳にした事があります。ただ、転生となると…。まあ、あそこには色々なスキル者が集まっているのは事実でしょう。わたしも行ったことはありませんが…。もう少し南下したところに、大きな街があります。そこにわたしも所属している占い師のギルドがありますから、一度行かれてはいかがでしょうか? 『南のお告げ所』に行ったことのある者もいるやもしれません。紹介状を書いてお渡ししますよ。ただ、気を付けてください。あの街を仕切っているのは政治の力ではなく暴力です。つまり、組織犯罪集団、いわゆる賊ですな」

「組織犯罪集団…ですか…」

「ええ。ボスの名前から、組織はカスクバレルと呼ばれています」

「カスクバレル…ですか」

「キルホーマン、どうかなさって?」

「い、いえいえ。どこかで聞いた名前だと思いまして…」

「まあ、街に行っても、奴らとは関わり合いにならない事ですよ。心配しないで。普通に過ごしている限りは、何か危害が加わる事はありませんから。わたしはまた祠に戻ろうと思います。恋愛占いの方が性にあっていますし、あの集落を管理者さんともっと大きくしたいですしね」



「そういえば…まだお人形さんに名前を聞いていませんでしたね」

「名前? お人形さんに名前があるんですの?」

「おい、厚化粧。お前には名前がないのか」

「あ、ありますわよ! 失敬ですわね!」

「ほう、興味深い。人間の世界では、人間に名前があるのは失敬だが、人形にあるのは失敬ではないのか」

「なっ! た、確かにそうですわね…。…あ、謝りますわ…。それで、あなたのお名前は何とおっしゃるんですの?」

「つくづく、人間とは礼儀からかけ離れた存在のようだ。度し難いと言わざるを得まい。俺の名前を聞きたければ、先にお前らから名乗るんだな」

「せ、正論…ですわ」

「おや、お嬢様も物分かりがよくなって来ましたね。では、私から名乗りましょう。私は、キルホーマンと申します。さあ、皆さんも」

「あたくしは、アイラですわ」

「ボクはポートエレン…です」

「オレはラガヴーリンだよ」

「さあ、名乗りました。あなたも教えてくださいますか?」

「俺は『ラフロイグ』だが…」

「ラフロイグ…いかにもイカつい男性の名前ですわ…」

「気に食わんな」

「気に食わない? 何がだよ。これ以上、人形に文句を言われるのは、オレはごめんだね」

「お前がその人間離れした容姿にありながら、多様性というものに理解がなかろうと、俺の知ったことではない。だが、お前の名前が、俺の名前と同様に『ラ』から始まるのは耐えがたい。何より、名前を覚えるに煩雑だ。チームに『ラ』から始まる名前はひとつでいい」

「へん! それはオレも賛成だよ。『ラ』から始まる名前はラガヴーリンのひとつで満席さ。だから、お前の名前はクサレ人形で充分だ!」

「そうか、それはめでたい。では俺は、お前の事を引き続きゴブリンと呼ぶことにしよう」

「ご、ゴブリンだって!」

「おいメスガキ、グズグズしている時間はない。行くぞ」

「は…はい…。ラフロイグさん…」

「え、エレンくんは『ラフロイグ』の名前を認めるのかよ…。おれは『おじさん』なのに…」

「まあまあ、ですわ。行きましょう、ゴブおじ」

「よ…よく考えたらアイラちゃんの呼び方がいちばんひどいや…!」

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