番外:ネタ元「美少女文庫さんのツイート」/「悪魔倒すべし」「魔王しばくべし」「エルフ焼くべし」
ツイッターにアップしたのを、ひとまとめにしてみた。
エルフの森を襲った悪魔の軍団。エルフたちは休戦を求めるため、あわよくば敵の首領をピンポイントで殺すため、森のエルフ最強のスレンダー女戦士が悪魔軍団に生贄として捧げられる。
悪魔たちに陵辱されながら、首領の登場を待つエルフ戦士。あまりの苦痛に心が折れかけたが、辛うじて本命が登場。ボス悪魔は強者ムーブで彼女を煽り、わずかに残る自意識をすりつぶそうとする。
「我は豊満な女が好みなのでな。お前のような奴は問題外だ。このまま部下たちに弄られ死ぬがいい。この貧乳が」
「貧乳じゃない! スレンダーだ!」
エルフ戦士は激怒した。
些細な、些細な? とにかく、ふとしたひと言でエルフ戦士がブチギレ。自らの爪を一閃し、ボス悪魔の首を飛ばしてしまう。これまで彼女を犯していた部下悪魔たちも呆気に取られ、その隙にエルフ戦士は悪鬼羅刹のごとき戦いぶりを展開。悪魔たちを次々と屠っていく。
エルフの森を襲ってきた悪魔軍団をひとりで壊滅してしまった、精液まみれの貧乳、もといスレンダーなエルフ戦士。だが思いもよらぬ覚醒に心身を使い尽くし、その場に倒れ伏してしまう。
遂に彼女も最後の時か、と思いきや。悪魔軍団のさらなる上司・魔王の側近が現場に現れる。状況を把握すべく、この場で唯一、辛うじて息のあるエルフ戦士を連れ去った。もちろん、魔王の住まう城へである。
意識のないうちに、悪魔たちの精液まみれだった身体を清められ、最強の拘束具で動きを封じられたエルフ戦士。気がつくと、豪華な広間に転がされ、不遜な態度の魔王に見下ろされていた。
「ようこそ、見た目にそぐわぬ強きエルフよ」
魔王は分野を問わず「強い」者を愛しており、悪魔軍団をひとりで壊滅させたエルフ戦士に強く興味を持ったという。
「エルフの森に悪魔たちを遣わせたのは我だ。憎かろう? 我の命が欲しくはないか? いつでも命を狙いに来るといい」
そんな言葉を口にしつつ、魔王は部下に命じ、エルフ戦士の拘束を解く。
挑発に乗るかのように、エルフ戦士は魔王に飛び掛かった。息の根を止めんと、ボス悪魔を瞬殺した爪を振るう。
「ははは、貧弱かと思った女エルフが、なかなかの力を持っているじゃないか」
エルフの森を救うため、彼女は必死になって魔王に挑む。だが魔王は楽しそうに、まるで子供がじゃれつくのをあしらうように、エルフ戦士の攻撃をさばいてみせる。
「ふむ、この程度か? あの悪魔どもを殲滅したにしては物足りない。もしや陵辱されてからでないと力が出ないのか?」
エルフ戦士の脳裏に、その身に受けた悪魔たちの陵辱がよぎり、わずかに激情した。
魔王は、エルフ戦士の変化を感じ取り。笑みを深め。さらに彼女を煽った。あらゆる言葉を駆使して貶めようとする。
やがて彼は「貧乳」というワードにたどりつき、それを口にした。
エルフ戦士は再び逆上。
瞬間、想像以上の速さを発揮し、魔王の懐へと潜り込んだ。魔王が驚きを見せる暇もなく、エルフ戦士の拳がアッパーカットを決める。さらに、カチ上げられた喉元に向けて、悪魔の首さえ一閃で切り落とした爪が振り抜かれた。
「ふはははははは!」
だが、さすがは魔王。エルフ戦士の殺意とコンプレックスが乗った渾身の攻撃を受けて、彼の首は落ちることがなかった。
とはいえ無傷とはいかない。魔王の首は切り裂かれ、膨大な血が噴き出る。エルフ戦士は、先ほどは悪魔の精子を全身に浴び、今度は魔王の生血にまみれることになった。
「いいぞ、実にいい。我に血を流させた者など、どれほどぶりだろうか。さぁ、もっとかかってこい! もっと我を痛めつけろ! もっと、もっと!」
ハイテンションになる魔王。だが何やら方向がおかしい気がする。敵の血にまみれながら、エルフ戦士はむしろ冷静になってしまった。なんだコイツ、と。
魔王がカモンカモンと促してくる。だがエルフ戦士が何もしてこないと分かると、なんだか態度が変わってきた。挑発から不審、掛かってこないのかという問い掛け。最後はなぜか懇願しながら、すがりついてきた。
「頼むから掛かってきてくれ! 我を虐めてくれぇ!」
魔王、実はM属性だということが判明。先ほどとは違った不快感がエルフ戦士の背筋を走る。ついつい、魔王を全力で吹き飛ばしてしまった。この時の魔王は、実にいい笑顔を浮かべていた。
「力こそ正義」という魔王を、エルフ戦士は性癖という思わぬ方向から屈服させてしまった。
魔王は長く最上位の存在でいたため、自分に敵う存在に出会うことがなく、欲望を満たすことができずにいた。そして遂に、自身を傷つけることのできる者が現れたことで、魔王は大歓喜。何かとちょっかいを出しては、エルフ戦士にぶっ飛ばされるという日々を過ごすことに。
エルフ戦士は「貧乳」という言葉に対して過敏になっていた。だが魔王としては、あえて相手を不快にさせてまで欲望を満たそうという気持ちはない。そのため、エルフ戦士をキレさせるようなことはしていない。意外と紳士的な魔王に、エルフ戦士はかえって驚いたくらいだった。
「好みや理想はそれぞれだろうから、とやかくは言わん。だがそういうほどツルペタではないだろう」
「うるさい。男には分からないんだ」
「ならば我が揉んで育ててやるぞ」
「よけいなお世話だ! ぶん殴るぞ!」
「ありがとうございます!」
魔王との激突からしばらく。エルフ戦士は、どつき漫才をしながら魔王の城に居座っていた。
ある時、そんな自分に気付き、彼女は愕然とする。エルフの森に戻ることを決め、律儀に魔王へ城を出ることを告げた。
魔王は残念がったが、お前がそう決めたのなら止めはすまい、と受け入れる。
「お前の存在は実に愉快だった。エルフの森はもう襲わないと約束しよう。部下にも厳命しておくので安心するといい」
「気持ちとしては複雑だけれど、確かにそれが目的でお前に挑んだわけだし。一応例は言っておく」
こうして、エルフ戦士は魔王と別れ。
生まれ故郷であるエルフの森へと戻った。
「女王様、戻りました」
「無事に戻ってきてくれて……」
エルフの森の女王、感涙。自らエルフ戦士の下に駆け寄り、無事を喜びながら抱き着いてくる。豊かな胸に顔をうずめさせて、女王は彼女の帰還に歓喜した。
……エルフ戦士は、ひとつ、気に掛かった。エルフ族の多くは、彼女と同じくスレンダー体型が多い。エルフ戦士を抱きしめている女王も、つつましい胸をしたスリム体型だった。にも関わらず、今の女王は、エルフ戦士の頭を埋めてしまうほどの谷間を持つ豊満な膨らみを有している。
これはいったいどういうことだ。
いぶかしく思いながらも、立場の違いからさすがに問いただすことはできない。その程度の理性は働かせることができる。仕方なく、その場は気に留めることなくスルーした。
ほどなくして、エルフ戦士は事の真相を知ることができ。思わぬことに驚愕する。
なんと、彼女が悪魔と魔王を相手に貞操と心身を犠牲にして戦っていた間に、エルフの森では豊胸体操が一大ブームを起こしたのだという。
これによって、エルフの森に住まう女性の大多数が、見紛うような巨乳エルフへと変身していたのだ。正直なところ、こちらが身を犠牲にしていたのに何をしてやがる、とエルフ戦士はキレかけた。
だが、豊胸体操とやらに罪はない。むしろ素晴らしいものだ。エルフ戦士はこみ上げてきた感情を飲み込み、いやある意味では思い切り吐き出して、豊胸体操のやり方を教えてもらった。これで自分もボインボインだ、と。自らの胸に生まれる大渓谷を夢見て、豊胸体操に汗を流す。
どれだけの時が流れただろうか。エルフ戦士が豊胸体操に没頭したが、その胸に変化は現れなかった。
「なんでやねん!」
彼女は激怒した。女王をはじめ、目につくエルフたちはみんな巨乳になっているというのに、なぜ自分の胸はうんともすんともいわないのか。
地道かつ熱心に、エルフ戦士は豊胸体操を続けた。だが多くのエルフたちに効果が出たという期間が過ぎても、彼女の胸が大きくなる気配がなかった。
森のエルフたちは彼女を慰める。効果が表れるのはこれからだと。だが、エルフ戦士は感じ取っていた。これは憐憫だと。奴らは大きくなった胸を揺らしながら、自分に、大きくならない胸に憐れみを向けているのだと。
エルフ戦士に豊胸体操の効果が出ていない、という話題はエルフの森を席巻した。それこそ、長である女王の耳に届き、慰めの言葉を掛けられるほどに。
だがそれは哀れみだった。そして優越感の表れだった。豊胸体操によって豊かなバストを手に入れた者が、同じことをして得られなかった者を見て、無意識に己の自尊心を満たしたのだ。
エルフ戦士は激怒した。かの邪智暴虐なエルフの女王を除かねばならぬと決意した。
というかすべて焼き払ってやろう。女王をはじめとした胸のデカくなったエルフをすべて、森ごとまとめて。
魔王の下で覚醒した、エルフ戦士の力。それはここにきてさらなる進化を遂げる。彼女の手には、顕現した怒りの炎。湧き出て尽きることのない、ちっぱいの怒りが、炎となってエルフの森を?み込んでいった。
……ある日、平和なはずのエルフの森がすべてが焼け落ち、エルフたちが姿を消した。外部から何者かによって侵された様子はなく。むしろ森の最深部から焼かれたように見えると。後にエルフの森の跡地を調査した者は述べたという。
美少女文庫さんの以下のツイートを見て、
なんとなくネタを考え出したら止まらなくなって。
<悪魔倒すべし、魔王しばくべし、エルフ焼くべし エリスの胸はパット入り>
https://twitter.com/bishojobunko/status/1399944823545548803
気がついたら1時間以上経ってた。
エロ推しなストーリーにしようとしたのに、
気がついたらバイオレンスコメディになってしまった。