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新庄璃々那-06

 先輩がお婆ちゃんより受けた依頼内容を確認する。


ミュージアムで発生するアイドルイベントに参加し、村を盛り上げる事が出来れば成功のクエストだ。


これ自体は普通の任務クエストだ。


けれど、内容は思いの外収穫と言える。



「ミュージアムにあったフォルムは、アイドルイベントにも使われていたのか」



 以前エリとも話したが、そう言ったステージを使った称号などがある可能性も鑑みていたし、今回の任務が受けられるというのは収穫だろう。



「……それで、何で二人はそんなに落ち込んでんだ?」


「その……正直、私なんかに務まるかどうか不安で、胃が……ッ!」


「アタシ、アイドルらしさないんじゃないかって、素人のお婆ちゃんに言われた……けど否定できなくて悲しい……ちゅらい……」



 なんだかよくわからないから、二人の事はひとまず置いておこう。


何にせよ、ミュージアムのフォルムを使用した称号があるか否かを確認する為の参加は必要だろう。


 そしてメイドの言葉を借りると任務クエストは通常クエストと異なり、受領したプレイヤーじゃないと受ける事が出来ないらしいので、マリアと先輩に任せるしかない。



「ひとまず明日はミュージアムに向かうか。彩斗にリングの情報も話しておきたいしな」


「先に進むのは後にすんの……?」


「こう言うクエストは放置すると未消化のまま終わっちまう可能性があるしな」



 受注期間などの記載はないけれど、早めに行動するに限る。


それに、アイドルイベントと言っても毎日やっているわけではないだろうし、ミュージアムで何時開催されるのかを調べる必要もあるだろう。



「ん、まぁ了解。じゃあリリナのリング指導はいったんお預けにして、今はダンスとか歌の練習しましょっか」


「ヴェ!? そ、そんなに本格的にやるんですか!?」


「あったりまえじゃない! アイドルってのは可愛けりゃなれるモンじゃないのッ! 歌もダンスもファンに一生懸命届けようとする姿勢が大事なのッ!」



 ムンズと先輩の手を引っ張って、一度立ち寄った宿屋を再び出ていく二人を見送りながら、オレはひとまずツクモとエリ、そしてカーラさんの三人に、メッセでリングの情報だけを話しておくことにする。



『ガスラ砂漠にあるイベントを攻略するとリングが手に入るから、機会があれば挑戦してくれ。大型モンスターと対峙するとリングとアイコンが入った宝箱取得が出来る』



 短い分面だが、この内容で三人に送信すると、ツクモとエリは比較的早いスピードで返信が帰って来た。



『了解、トランザム!』


『了解、トランザム!』


「仲良しかあいつ等……」



 ちなみにメッセは現状多人数参加型ではないので、二人は同時に同じ文面を、知らず知らずに送ってる事となる。


カーラさんから返信が無い事に少しだけ疑問符だが、お店の営業で忙しいのかもしれない。


じゃあ、ひとまず村の見回りを再開しよう。


と言っても、後回しにしていた装備屋とアイテム屋、そして教会とクエスト受付事務所によるだけだ。


宿屋を出る前に、宿屋を切り盛りするお婆ちゃんに道だけ尋ねていこう。



「お婆ちゃん、この街にある装備屋とかアイテム屋とかってどこにある?」


「あ~?」



 このお婆ちゃん耳遠いんだよなぁ。昨日三部屋お願いした時にも受付だけで十五分かかった。



「装備屋とか、アイテム屋! どこにある!?」


「うっさい聞こえてるよ!」



 昨日もこんなやり取りしたよ!? 大声あげると怒ってくるし普通に言うと聞こえないしどうしろってんだよ!?



「ウチの扉開けて真っすぐガーッ! と行って突き当りをギューンッ! と曲がった先にある畑の奥だよ!」


「何で田舎の人ってこう案内が抽象的なんだ……」


「あ~? なんか言ったけ?」


「いえ何も。ありがとうございましたー」



 ひとまず言われた通り、扉を開けて真っすぐガーッと進んでいくと、突き当りが確かにあったけど左右のT字路になっとるやんけどっちや!?



「えっと……突き当りに畑があってその奥なんだよな。じゃあ畑がある方曲がれば……ってどっちの奥にも畑あるやんけ!?」



 もうヤダ田舎! せめて案内看板くらい出してくれよ!


 感覚で右に行き、その奥にあった建物が装備屋だったので、ひとまずそこへ入る事に。



「いらっしゃぁい」



 ちなみにここの店主も老人だった。この村に来て老人以外見ていないぞ。



「えっと、アイコンって置いてますか?」


「ほい、ココ」



 アルゴーラの装備屋と同じく、この村のアイコンも店主が座る椅子の前に設置されたガラスケース内だ。


しかし、あったのは【駿足のアイコン】と【灼熱のアイコン】、さらに【氷結のアイコン】の三つだけ。その内二つは持っているし、ひとまず氷結のアイコンがどの程度の値段かを確かめる。



「うーん……一つ六万マネーか……」



 現在所持金としては六万四千五百マネー。一応出せない事はないのだが、所持金の殆どを失ってしまう。


リングで装備した時にどの様な変身が出来るかは不明だし、効果は一応『氷属性攻撃付与』とだけあるが、効果量もわからない。


結局、礼だけを言って装備屋を出たオレは、隣にあったアイテム屋に向かっていくのだった……。

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