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マリア-02

「確か、大都市が五つと村々が二十以上あるって言ってたっけ?」



 マリアがそう首を傾げると、オレも頷く。



「ミュージアムが村に当たるのか大都市に当たるのかは別として、全ての場所にいく事がまず必要になるだろう」


「けどそっちは攻略組が動くんじゃ……」



 続けて先輩の意見にも、頷く。



「けど攻略組は基本チームで動く。そして今がミュージアムなら――次は、北方面に行くはずだ」



 ミュージアムに行くための通路は、大きな城壁に作られていた。分断されている、と表現する事が正しいだろう。


 中心部を境に、南北を分かつ城壁があり、その城壁を超えた先にミュージアムが存在する。


北側がミュージアム、南側がアルゴーラ、って感じだ。


だから、今後の戦略としては、オレ達がアルゴーラを拠点として、南側を攻略していき、必要があれば北側のミュージアムを拠点とする攻略組を手助けする、って感じだ。



「ツクモ達三人も、今後足を運ぶ可能性としては大きいから、オレ達が情報を収集して皆へ送る。彩斗にも可能な限り情報は送っておくから、こっちも必要があれば人員を送ってもらう必要がある」


「何にしてもアルゴーラに留まる理由も無いわね。じゃあ南側を攻略するとして、どこに行くのよ」


「まず、南側には砂漠帯があるんだが、ここには鍾乳洞があって、そこを通り抜けると村があるって情報を、ツクモから貰った」


「ツクモさん、そんな情報を持ってたんですか?」


「いや、これは適当に声掛けしたNPCから貰った情報みたいですよ」



 ツクモは一人のNPCに五回ずつ話しかけるっていう事をやっているから、こうした情報を得やすくなるだろう。今後彼から来たメッセは注意した方がいいかもしれない。


と、そこでコクーンが若干震えた気がした。


メッセージが届いた事を知らせる振動だと気づき、誰だろうと思ってメッセージを見る。



差出人は、不明。というより、何やら画面上にノイズが発生していて、見る事が出来ないという表現が正しいか。


内容は――『ガスラ砂漠の奥地、宝箱』とだけあり、首を傾げた瞬間にノイズがバチッと映る。



一瞬目を伏せたが、次の瞬間にはメッセージ自体が消えていて、何があったか確認する事も出来ない。



「……メイド、いるか?」


『はいはーいっ! 私はロンド・メイドでーすっ!』



 きゃるるん、と決めポーズと共に現れたメイドの一人。呼べば来るなコイツら。



「今、変なメッセ来たんだけど、すぐに消えたんだ。原因分かるか?」


『むふふー。先ほど削除させて頂きましたー』


「運営側の削除って事か」


「ちょ、何それ。何でリッカのコクーンにそんなの届いたのよ!」



 マリア、今引っかかるのはそこじゃない。



『外部から送られた、本来あってはいけない挙動ですからね。ゲームの運営を行う我々側としても、見過ごせないって事ですよ。ご質問は以上ですかぁ?』


「ああ」


『では、これにて失礼しますねぇ~。……海藤雄一も、余計な事をしてくれたものです』



 最後に、小さく呟かれた言葉。それでオレの疑問も少し晴れた。



「今の、なんだったの、リッカ君」


「多分ですけど、オレ宛てに海藤雄一からメッセが送られたんですよ。外部から送られたメッセージって事をあのメイドが言っていたので、多分トモシビから送ってるんでしょうね」


「つまり、ユーイチはちょっとだけとは言え、マザーコクーンのエラー解除が出来たって事?」


「いや、多分違うな。マザーコクーンにあった抜け道みたいなのを見つけて、すぐに修正される事を承知の上で短い文章を送って来たんだろう」



 内容は『ガスラ砂漠の奥地、宝箱』とだけあった。


もしこれが、マザーコクーンの修正が出来たという事ならば、削除されない様にしているだろうし、そもそももっと攻略に関連する情報を送ってくれるはずだ。


だが、修正がすぐに行われる可能性がある以上、人間が数秒の内に認識できる文字数には限界がある。


確か人間が一度に認識できる文字は三行までと聞いたことがあるし、素早く読めるこれだけの文字数に限定したのだと仮定できる。



「でも、丁度いいじゃん。ガスラ砂漠って今から行こうとしてた砂漠だし」



 広げられた地図を指し、先ほどオレが言った砂漠の名を表示する。確かにその砂漠名がガスラ砂漠なので、丁度いいタイミングだ。



「……けど、どうして宝箱の位置なんか送って来たんだ、雄一さんは」


「え、でも宝箱だから、貴重なものが入ってるんじゃないんですか?」


「勿論そうでしょうけど、それにしたって、そこに何があるっていうんだろう、という意味です」


「例えば何だけど――今後の攻略に不可欠なもの、とか?」


「少なくとも知っていて欲しいものがあるって事なんだろうな」



 となれば、これを目指さない理由もないし、もし仮に雄一さんが用意したというのなら、コレもメイドたちに処理されないかが心配だ。



「今すぐ向かおう」



 オレがいうと、二人も頷いて準備を開始。


とは言っても予め簡単な準備は済ませてあるので、このまま出かけるのみだ。


宿を出て、そのまま門を出る。


先日行ったミュージアムとは逆方向に向かい、オレ達は歩き出した。

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