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攻略組-12

「オーッ、ゴメンなさいリリナ! アナタのブルーチェリーのタルトがイチバンサイゴになっちゃいました!」



 サービスでコーヒーを一緒に出されたリリナは、これまで出て来た料理に全て釘付けになっていて、今まさにデザートだけを頼んでしまった事を後悔していたようだった。



「じゃ、じゃあ……頂きます」



 両手を合わせ、まずはフォークを掴んで、ブルーチェリーと呼ばれる青色のサクランボにも似たフルーツと、タルトを取って、一口。


美味さが口の中に広がったのか、思わず目を開いて口元を抑えた先輩が、興奮したように「ふぇ、ふぁにふぉふぇ!」と声をあげる。



「っく、凄い、こんな美味しいタルト、初めて……っ」


「デザートもダキョーはナッシング、デスヨ!」



 これで全員の食事が終了した。


カーラさんはまかない丼という丼料理を作って食べている。それも美味しそう。ホント次来た時に何を頼むか悩ましいんだよなぁ。



「じゃあ、軽く全員、今後の方針を発表頼む」



 腹が膨れて満腹感を感じたまま、雑に言ったオレの言葉に、まずはツクモが手を上げた。



「まず自分は全ての街人に声をかけるっすわぁ」


「事案にならないように気を付けてな」


「気を付けるっすわぁ……それはともかく、一人合計五回ずつ話しかけて、とにかくデバッグの要領でコツコツと、と言った感じっすわぁ」


「それで何か称号は取れそうか?」


「わかんねっす。けど、任務クエストの発生が非常に顕著になってるので、やる価値はあるっすわぁ」



 街人に声をかけ続ける事で得られる称号ってのはあまり考え辛いけど、しかしツクモはありとあらゆるギャルゲとエロゲに精通した男だ。そこは任せよう。



「エリは? 二度と金は貸さんが」


「きょ、今日は百体ミライガを狩って、お金貯める……そんでもって、今度はアイテム屋と装備屋の装備、買い占める……後ついでに借りたお金も返す……ふひっ」



 あ、それは何か称号ありそうだな。


アイテムを〇〇種類集める、とか装備品を〇〇品以上集める、とかは結構定番だからな。



「後は、物をなくさせて、問屋に、新しい奴があれば取り寄せて貰う……リングが、もしかしたら出てくるかも……?」


「そっちはちょっと望み薄だけどな。オレも可能な限り情報を集めるよ」



 リングに関しては今後誰かに装備をして貰いたいし、手に入れる方法があれば良いのだが。



「ワタシはこのママおミセをヒラいて、オカネモチにナリマースッ! オカネアツめるショウゴーがアレばナオヨシねーっ」



 そっか、それはあまり考えてなかったが、マネーの総資産が高ければ高い程得られる称号とかも確かにありそうだ。その辺はエリと協力して進めてくれればいいと思う。



「アトはマネーがオークあれば、メズラシーショクザイがテにハイりそーですッ!」



 そしてそれも正しい判断だ。食材に関する称号が設定されているのだから、珍しい食材とかを使った称号があると思われる、って事だな。



「うん、よし。じゃあオレとマリアは引き続き、アルゴーラだけじゃなくて他の街や村、集落に出向いて、モンスター狩りと採取。先輩はどうします?」


「あ、じゃあ、リッカ君とマリアさんについていこうかな……あんまり、役に立たないかもしれないけど、ごめんね?」


「何言ってんの。アンタこの間のラーディングの時にアタシの事を助けてくれたりしたじゃない。立派な戦力よ」



 先輩の背中を軽く叩いたマリアと、そんな彼女に励まされるように顔を赤めて笑みを浮かべる先輩に、オレとエリとツクモが凝視する。



「……いい」


「いい、よね……ふひ、おてんば娘と、気弱っこの……百合……」


「自分とリッカ氏は席を離れて永遠に彼女達に近づかない方がいいっすわぁ。百合に男は不要」



 いつもは二人の行動を咎めるオレだけど、今回ばかりはこっち側だ。正直百合とかにあまり関心は無かったのだが、よくわかった。



「じゃあ今後はそんな形で皆動いて、何かあれば連絡する事」


「じゃ、何時でもメッセ送れるようにしますわぁ」



 え、と。先輩が顔を上げた。



「メッセって、なんですか?」


「あ、先輩気付いてないんですか?」



 メニュー画面を開き、ステータスからフレンド一覧を表示、そこからツクモをタッチする。


すると、以下のメニューが表示される。



『フレンド詳細』


『メッセージを送信』


『居場所を送信』


『フレンド解除』



「あ、メッセージを送れるんだ」


「ええ。一通に付き百四十文字までですけどね」



 ただ連投は出来そうなので、基本問題は無いだろうと思う。



「じゃあ、今後は何か頼みたい事なんかがあれば、それぞれに連絡する事。わかったか?」



 そういうと皆が頷くので、オレも良しと頷いて、会計を済ませてカーラさんの店を出る。


すると、営業時間がやってきた。


店の前には既に数人並んでいて、これからカーラさんがどれだけ忙しくなるのかだけが気になった。

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