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攻略組-06

 急に話は変わったが、しかし彩斗は「それだ」と指を鳴らしてマリアを指し、首を振る。



「現状では装備品の強奪というリスクが高いので、攻略組の面々には禁止させている。しかし実際に『決闘戦に一回勝利せよ』がある事から、これも数をこなした方が好ましいと判断できる」


「なら、コレはアタシとリッカの仕事ね」



 ニヤリと笑うマリアが、称号一覧に表示される『決闘戦に一回勝利せよ』を表示させる。



「アタシは既に決闘戦を経験してるし、アタシが死ぬほど決闘戦をやりまくれば、それで称号は取ったも同然ね」


「しかし相手は誰にする? 決闘戦は相手の装備品を一着とマネーの八割を奪う事になる。マネーやアイコン、アイテムはフレンド登録すれば返却できるが、装備品はそうもいかない」


「そ、それなんだけどぉ……その、さ」



 マリアは、少々顔を赤くして、オレへ視線を向け、気恥ずかしそうに次のセリフを述べた。



「ア、アタシがリッカと、その……こ、交際してぇ、その上で決闘戦すればぁ、装備品もマネーもやり取りできるわけじゃん? そしたらノーリスクで決闘戦の数をこなせるって寸法は、どう!?」



 オレが驚くより先に先輩が「そそそそそそそれはダメですぅううっ!!」とマリアの肩を強く揺さぶって拒絶を示してしまったので、オレが何も言えなくなってしまう。



「ふむん……それは盲点だったな……確かに、交際システムを活用すれば装備品を含めた所持品もやり取りできる」


「で、でしょ!? もしそれがダメっぽかったら、結婚でもいいわけだし!? いやぁ、交際とか結婚とか反吐が出るけど、攻略の為ならしょうがないっていうかー!?」


「なぁ、なな、なら私がリッカ君と交際しますっ! 私はほとんど役に立てないし、やられ役になる位はっ」


「リッカは女の子殴る事なんかできないわよねー!?」


「え、あ、はい。女の子殴るのは主義に反します」


「じゃ、じゃあ私がリッカ君をボコボコに出来るように頑張るっ」


「マリアにしても先輩にしてもオレやられまくる未来しかないじゃんかなんて罰ゲームそれ!?」



 いやそりゃ二人がそんじょそこらの男と交際とか結婚とかあんまり考えたくないけどもさ!?



「これが若いって事かぁ……なぁミサト、この間買ったワイン残ってたっけ? 若さを肴に一杯どうだね?」


「まだお昼です。これからクエストを受けに行きますので飲酒はおやめください」


「ミサトは堅物だなぁ」



 そこで、彩斗が何か思いついたと言わんばかりに「あ」とだけ漏らした。



「リリナに決闘戦はちょっと血の気多すぎるっしょ!? アタシならそういうの慣れてるし、リッカを既に二回ぶん殴ってるしー!?」


「わ、私だってリッカ君をぶん殴る事も……ううぅ、あんまり気は進まないけど、でもそれが皆を助ける事になるし、それにリッカ君と交際が出来るなら……っ」


「二人とも、ちょっといいかな?」



 そんな二人の言い争いを止めた彩斗。オレは間に挟まれて小さく縮こまっていたので、止めてくれるのは非常に助かる。



「一つ試したい事がある。リッカはメニュー画面を開いて待機」


「? うん」



 彩斗の言う通りに、オレはメニュー画面を開いたまま待機するが、しかし彩斗はマリアと先輩の肩を抱いて少しだけ離れてしまい、何かコショコショと内緒話をしているようだ。


オレとミサトさんが首を傾げていると――何か、オレのメニュー画面に二つの承認画面が表示される。



「あー、リッカ。内容は読まずに『YES』だけ押して」


「え、あ、はい」



 何も考えず、とにかくYESを二個押す。




『N.3001 Cランク〔異性プレイヤーと交際する〕』


『N.3003 Sランク〔二人以上の異性プレイヤーと交際する〕』




「はへ」



 突如取得された称号に、オレは変な声を漏らして、驚いた。


するとオレのメニュー画面を覗き見た彩斗が「おおやはりか!」と歓喜し、赤くなるマリアと先輩の肩を抱きながら二人をオレの隣に座らせた。



「うむ! これでリッカの二股成功!」


「ちょっと待て彩斗ォおおっ!!」


「いやぁ、あると思ったんだ。ゲームならハーレムもある程度容認できるし、こう言うのもね」


「そこじゃねぇ!! いやそこもだけど、どうしてオレとマリアと先輩の三人が交際する事になってるんだよ!?」


「いや二人とも自分がリッカと交際すると言っていたのだから、いっその事二人とも交際できれば万事解決、出来なくとも先にYESを押された方が交際するって事で勝負を付けさせただけだ」


「それできちゃうシステムもシステムだけど何でそれを同意したの二人とも!?」


「べ、別にいいじゃん。アタシだって利点考えてそうしただけだしぃ」


「そ、そうですよー。私だって、攻略の為にそうする事はアリだなぁと思っただけですしぃ」



 プイと、互いに別方向を見る事でオレと視線を合わせない風にしている。


 彩斗はニヤニヤと笑いながらオレ達の事を見ているし、何か今この状況が混沌としている事に頭を抱えるしかない。

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