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リッカ-02

 結論として、リッカは上方から背部スラスターを吹かしながら、その右脚部を強く突き出してきた。


だが想定した攻撃など、彩斗にとっては子供の攻撃と同義である。


左手に持つ双剣の一振りで彼の脚部を弾き、軌道を変更とすると、そのまま右手に握る双剣を振り込み、その腹部を斬る。



『ガッ――っ、なろぉおっ!!』



 彼の纏うアーマー故、致命傷にも、大したダメージにもなりはしない。


だが確かな威力として叩き込まれたが故に、彼は僅かに身体をよろめかせながら、地面を蹴って彩斗の召喚したメデスの眼前で、その右脚部を軸にした左脚部の回し蹴りを放つ。



『邪魔だッ!』



 そこで、リッカへと迫るのは刃滅竜【ゲルトール】である。


その全身を覆う刃を震わせながら放つものだから、空中へと駆けながら【技術のアイコン】を取り出し、空中でフォームチェンジ。



『プログレッシブ・アップ――ッ!!』



 先んじて右腕に展開されたスラスターを無理矢理稼働させ、空中を舞うリッカへと放たれる刃の雨を避ける彼は、急制動を駆けて地面へと着地しながら、変身を終わらせる。



〈Progressive Attack Technic.〉



 ゲルトールは刃を放った後、徐々に体毛と言うべき刃を復活させていく。だがその直前までは、弱点である地肌がむき出しの状態だ。


今、腕部から放った地肌に向けて、地面を蹴って駆け出したリッカの回し蹴りがダメージとして高かったのか、嬌声を上げて足掻くゲルトールだが、それの相手はリッカが召喚した、ガシンガシンとうるさい足音を鳴らす装甲獣【レアルドス】の役割だ。


その腕部を突き付けて、ゲルトールの頭部を潰すようにしたレアルドスの一撃によって、それは消滅していくが、しかし勝利の美酒に酔う余裕もなく、レアルドスは投げ放たれた双剣の一振りが装甲と装甲の隙間に刺さった後、その柄を蹴りつける事によって押し込んだ彩斗の一撃によって消滅した。



二者の――リッカと彩斗の視線が合わさった。



プログレッシブ・フレイム状態の彩斗が、今構え直す双剣に炎を纏わせ、上段から一度に二撃の剣を振るう。


その攻撃を掌で受け止め、灼熱を感じ唸りつつも受け流したリッカのプログレッシブ・テクニックは、彩斗のわき腹に向けてスラスターを吹かした右脚部で蹴り付け、地面へと叩きつける。



「ぐふ、ッ、やるな……ッ!」


『やるってのは知ってるだろ……ッ!』



 互いに次なるアイコンを構え、リングへとかざす。



「大変身――ッ!」


『プログレッシブ・オン――っ!』


〈Progressive frozen Active.〉


〈Progressive Attack Exciting.〉



彩斗は【氷結のアイコン】を。


リッカは【打撃のアイコン】を。



プログレッシブ・フリーズへと変身した彩斗の双剣がリッカのまとう装甲に向けて二撃、三撃と振り込まれていく。しかしプログレッシブ・ブローへと変身して重装甲となったリッカの肉体には、そう大きくダメージは入らない。


だが、入るのは冷却による移動速度低下デバフである。


段々と凍っていく装甲に目をくれる事無く、彩斗の双剣目掛けて振り込まれる拳の威力は、それまでよりも大きなダメージとなる。故に彩斗は双剣の一振りを弾き飛ばされ、もう一振りで今一度斬りかかるも、しかし左手で受け止めたリッカが、それすらも弾き飛ばす。



『これでこっちの方が有利だぜッ!!』


「なめるなよリッカッ!!」



 既にリッカの移動速度は下限値近くにまで低下している。そして如何に強力な攻撃とて、当たらなければ意味は無い。


リッカの放つ拳の一振り、蹴りの一薙ぎを冷静に躱していき、その掌底を打ち付けていく彩斗。


その掌からも冷気が放たれ、その冷却機能によって身にまとう装甲が僅かにギギギと音を鳴らした事が、彩斗にとっては好機である。



「プログレッシブ・ラスト・アクションッ!」



 地面を蹴りつけ、空中で身体を一回転させた彩斗の突き出す右脚部が、今リッカの胸を蹴り付け、彼を吹き飛ばした。


地面を転がるという表現が稚拙に感じる程、リッカは地面に何度も叩きつけられた。



『が――グウウウウゥッ!!』



 指先の装甲が砕けるまで地面を抉り続け、減速したリッカは、今のダメージによって変身が解除されてしまう。


だが、彼はそこで止まらない。


否、止まる必要がない。



〈Full Dive Progressive・ON〉


「フル・ダイブ・プログレッシブ――オンッ!!」



 構え、リングへとかざした【光のアイコン】と共に放たれる機械音声。



〈Progressive Advent Savior.〉



 光の放出と共に、全身にではなく右手にだけ集約されるアーマーと、その右手に持たれる巨大な大剣。


血を吐き出しながら大剣――フル・ダイブ・グランテを振り切った事による衝撃が、周囲のメデスを一掃していくが、しかしそれだけに留まらない。



〈Run Quickly.〉〈Attack Technic.〉



 フル・ダイブ・グランテへ装填した駿足と技術のアイコンによって、彼は超高速と高機動を実現した動きで空中を高速で駆け抜け、彩斗の顔面へ向けて、フル・ダイブ・グランテの強力な物理攻撃を叩き込もうとする。


寸での所で回収していた双剣を重ね、何とか防ぐ事に成功した彩斗だが、しかしそれによって彼女の身体も吹き飛ばされ、プログレッシブ・フリーズとしての変身を解除されてしまう。


 だが、彼女もそこでは止まらない。


彼と同じく、止まる必要がない。



〈Full Dive Progressive・ON〉


「ハイパー大変身ッ!」



 構えた【闇のアイコン】をリングへとかざすと共に放たれた機械音声。



〈Progressive Advent Daemon.〉



 闇の放出と共に、リッカとは異なり全身を包み込んでいく漆黒のアーマーと、その両手に握られる双剣。


顔面のバイザーを朱色に光らせながら、その双剣を振り切っただけで放たれた衝撃波は瞬く間に平原全土を襲い、リッカのセイヴァーをも僅かに浮かせるほどの威力を持っていた。




「――彩斗ォオオオオッ!!」


『リ――ッカァアアアッ!!』



 互いの咆哮と、同時に踏み出す右足。


一瞬で遠く離れた敵同士と触れ合える距離にまで接近した二者は、既に邪魔する者のいない平原の真っ只中で、そのフル・ダイブ・グランテの一撃と、フル・ダイブ・アバルトの二振りを、斬り合わせた。



**



人工衛星【トモシビ】内。


フル・ダイブ・プログレッシブという世界で行われている雨宮律と三星彩斗の戦いを、サポートAIであるメイドシリーズに監視させ、彼女たちの視覚情報から得られる映像を録画・転送を行っている人物がいた。


海藤雄一。フル・ダイブ・プログレッシブという世界を生み出した人物であり、彼は現在、外務省と法務局、警察庁公安、総務省の人間に囲まれながらも、彼らに目をくれる事無くキィボードを打ち続ける。



「何をしている、海藤雄一」



 その内、誰がどの省庁の人間かもわからないが、男の一人が問うたので、簡潔に答える事とする。



「リッカと彩斗の戦いを、国内外のSNS等に映像転送しているだけだよ」


「また国内外問わず混乱に陥れる気か!?」


「ああ、何度でも混乱させてやる。彼ら子供が必死に戦っている中、大人である自分が、公権力などに屈して堪るか……っ!」

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