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選択の先に-02

それだけを言って家を出たマリアとリリナを待っていたように、彩斗、エリ、カーラの三人が全員の到着を確認次第「行こう」と頷いた。


瘴気の谷へと向かう道を歩みながら、リリナがリングを装着しつつ声を確認。


特に問題は無いと判断し、瘴気の谷へ入ろうとする前に、歌い始める。


瘴気の谷はプレイヤーの体力を奪う瘴気に満ちているので、リリナの歌姫ジョブが持つ効力によってその消費を軽減・無効化している。使用しなくともある程度は魔法で軽減自体は可能だが、MPの消費はなるべく抑えておきたい。



「――ちょっと待ってくれ、何かおかしい」



 歩みを止めた彩斗に続き、エリも周りを見渡し始めるので、マリアとリリナ、カーラも周りを見渡す。


瘴気の谷は基本的に岩盤に覆われた場所であり、慣れていないとどこもかしくも同じような所に見えるので、何がおかしいのかを判断できずにいる。



「ナニかありましタ?」



 カーラが警戒しながら問うと、エリが率先して先に進み、そこにあった芽獣・メデスの死骸を確認した。



「……これ、ガルロットとか、フワトルッカ、ヴァルヴェルトが狩った跡じゃないね……ビームみたいな、一点集中の高熱……みたいなので、焼かれて死んでる」



 メデスの死骸には、基本的に傷らしい傷がついていなかったのだが、恐らく致命傷となったのは、前頭部から後頭部までを貫通している一本の傷跡だ。それも細い棒等によって突き刺された等のものじゃなく、何か高熱線を一点集中で受け続けた結果に出来た跡のようだ、と判断。



「確かにヴァルヴェルトによる炎なら、もっと満遍なく黒焦げになるだろうね」


「でも私とツクモさん、それこそ一ヶ月近く瘴気の谷で狩り続けていたんだよ? なのに私が見たことない瘴気の谷発生モンスターって……」



 ブツブツと呟きながら敵の攻撃方法などから、どのモンスターによるものかを観察するエリだったが、最終的には分からぬという事になり、まずは死骸の状況から何時頃殺されたモノかを判断する。



「どれ位の熱量で焼いたかによるけど、まだ熱が若干こもってる事、あとはまだ死骸の体温が生きてる個体とそう変わらない体温だから、まだ死んで時間は浅いよ、コレ」


「……ちょ、待ってよ。てことはそれ」



 イヤな予感がするんだけどと言わんばかりに声を挟んだマリアの言葉は、最後まで言う事が出来なかった。


瘴気の谷に蔓延る瘴気を振り払うかのような突風が辺り一面を襲う。


突然の風圧に身動きを取る事が出来ずにいた面々だったが、イヤな予感を感知したリリナが歌う事を中断、スティックを振るい全員へ『風圧無効』の魔法を付与することによって、全員が身動き取れるようにした。



そして、それが幸いした。



「、全員伏せろッ!!」



 彩斗の言葉を受け、全員が反射的に地面へ倒れるようにして伏せると、頭上に何か、熱線のような物が横切った。


それは周りの岩盤を焼き、地形の形を変えてしまったばかりか、中には石炭が燃化したのか、ボンと爆発したところもある。


その爆風や瘴気によって、視界がまだ把握できていない状況でも、そのモンスターを視認できた。



赤く輝く鱗、そして雄々しく奮われる巨大な翼が印象強い、龍の姿がそこにあった。



それは絶叫を放つと同時に、口元から僅かに熱を放っていて、それが一点に集中しているように見えた瞬間、彩斗とマリアが動く。


マリアがリリナとカーラの肩を抱き、彩斗がエリの肩を抱いて、それぞれ左右に跳んだ。


先ほどまで皆がいた中心点を目指し、下方から上方に向けて放たれた熱線。それは既にレーザーやビームと呼んだ方が好ましい程の威力を誇っている。



「、変身――!」


「変身ッ!」



 彩斗とマリアが同時に変身を開始。二者は両方とも技術のアイコンを用いたプログレッシブ・テクニックへと成り代わり、スラスターを用いた高機動性を以て、左右に分かれてそのモンスターへのかく乱を開始。



「マリア君! 気付いているか!?」


「あのビーム、撃たれる前に放熱するっぽい! あとまだ確証は無いけど――ッ!」



 翼の風圧に一瞬だけ身構えるも、しかしリリナの付与した風圧無効があるため、吹き飛ばされる姿勢制御をそのまま続行。


ウェポンガンに氷結のアイコンを装填した上で、三発の弾丸を放つ。


全弾着弾、そして着弾地点からの氷結を確認。



「エリ!!」


「了――解っ!」



 マリアの声に合わせ、エリが灼熱のアイコンをリングへかざす。



「変身!」



 プログレッシブ・フレイムへの変身を遂げたエリが、マジックウェポンのトリガーを交互に二射ずつ放ち、先ほどマリアが氷結させた場所に向け、赤色の光弾が射出される。


氷結した部分が燃え盛る様にしてダメージを与えているように見えるも、しかし倒すほどには至っていない。


正体不明のモンスターの口に、また放熱するような炎を確認。今度はエリもカーラもそれを見逃さず、今度は二人でリリナの肩を掴み、首の動きをよく見る。


僅かに横へ振るような挙動を見せた瞬間、マリアと彩斗はスラスターを用いて上空へ飛び、エリ、カーラ、リリナの三人は地面へと伏せる。


横薙ぎに放たれる熱線。しかしそれを避け終わると同時に全員が行動を開始する。



「やっぱアイツ、ビーム撃つ前に僅かだけど首動かす! 動かし方によってビームの方向が分かるから、全員当たらないでね!」


「アレ、アタッたらシんじゃいソーですね……ッ!」



 氷結のアイコンをリングにかざすカーラと。



「っ、歌えたら歌うんだけど、風圧無効が欲しいですよね、だったら……っ」



 駿足のアイコンをかざすリリナ。



「Progressive・ON!」


「変身っ!」



 二者が同時に変身を行い、カーラがプログレッシブ・フリーズに、リリナがプログレッシブ・スピードに変身完了。

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