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世界の母ー05

そしてオレは何か防具を手に取ろうとした所で――



「……そういえばリング単体で変身してる時って、防御力とか体力のステータスってどうなってるんだろ」



 ふと湧き出る疑問。


今オレの装備している防具は【漆黒のコート】と呼ばれる黒色に白のストライプが所々に入ったもので上昇効果は『自己体力を3%上げる』だった。


外観が気に入っているから使用しているけど、リングで変身している時は防具等も完全に覆ってしまう形だ。


だが問題は、オレ達のステータスは可視化されていないという事だ。もし可視化されるならそこから数値を割り出していくんだがな。


まぁあまり考えていても答えが出ないなら意味がない。恐らく今オレが着ている防具のシリーズと思われる【EV漆黒のコート】を手に取る。外観は同じで効果が『自己体力と防御力を15%上げる』という中々の装備を手に取り、漆黒のコートと取り替える。



「じゃあ明日になったらオレとカーラさんは帰るけど、二人はこのまま瘴気の谷攻略に戻るか?」


「いえ、自分らも一回戻りますわぁ」


「そっか。後、エリは彩斗とミサトさんが用あるって言ってたぞ」


「ふひ、それはツクモさん経由で聞いてたよぉ……何の用だろ、ミサトさんはともかく彩斗とは私面識ないんだけどなぁ」


「そういえばツクモは二人と面識あったんだな」


「まぁ、以前少しね」



 その時のツクモは、何だか何時もと違う感じがしたのだけれど、すぐに「そういえば自分も疲れましたわぁ」と自室へ戻っていくので、それを問う事も出来なかった。



「じゃあエリ、オレ達も宿取ってそのまま休むけど、お前もしっかりと疲労を取れよ」


「バイバイですエリ!」


「え、カーラさん私の嫁なのに一緒に寝ないの……!?」


「ザンネンですが、ワタシキョーはベツにヘヤとっちゃいマシタ」


「ていうかそうなるのを見越してオレが二部屋取っておいたんだけどな」


「リッカ君の悪魔ぁああああッ!!」


「アルゴーラで散々一緒に寝てただろ? アレはオレ相当恨んでいるからなエリ」


「? リッカはワタシとイッショのヘヤでネたいんデスか? ならキョーはイッショのヘヤにします?」


「……………………」


「あ、リッカ君今めっちゃくちゃ考えてる」


「……え、えっとぉ……こ、今回は、止めときます」



 死ぬほど一緒に寝たいけど倫理観を持って行動しよう。


オレとカーラさんはそのまま別室に入り、アルゴーラからバスラ農村までの移動があった為か意外と疲れていたオレは、そのまま布団を敷いて横になると、ぐっすりと眠りに就くのだった。



**



カーラ・シモネットは、宿屋で割り振られた自分の部屋を出て、女風呂まで出向いた。


元々温泉と言う日本の文化が好きで、日本へ遊びに来た時には有名な温泉街に足を運んだ事を思い出し、その露天風呂に身を浸からせる。



「……それにしても、お店を休んで本当によかったのでしょうか?」



 普段リッカ達と話す時は日本語を徹底しているものの、例えば一人の時やお客様の前ではイタリア語で話すカーラは、思わず呟いた言葉がとある人物に聞かれていたとは思っていなかった。



「ふひ。カーラさん、普段はイタリア語なんだぁ」


「? オヤ、エリ。いたのデスか?」


「あー、前から言いたかったんだけど……FDP内では普通に会話できるし、私の前だけならイタリア語でいいよぉ」


「そーデスか? じゃあ……今度からはそうさせて頂きますね」


「ふひ、まぁ確かに違和感はバリクソスゲェあるけど」


「? バリクソスゲェって何でしょう?」


「気にしなくていいよ、ふひ」



 エリだ。彼女は先ほどまでのぼせて潰れていたというのに、また入りに来たという。



「そ、それでカーラさんは、お店休んでここまで来たの……?」


「ええ。アルゴーラに異常種ミライガが進行してしまえばお店も当分営業できなくなってしまうので、少し心苦しいのですが、数日お休みを頂いて、ミライガ異常種の討伐に力を入れようという事になりました」



 正確に言うと、本日は元々定休日だったので問題はないが、明日と明後日も討伐準備で臨時休業としたのだ。



「でも……あんまり休みは取りたくなかった感じなの……?」


「そう、ですね。一人でも私の料理を楽しみにして下さる方がいるのですから、その期待に答えたい、と思ってしまうのです」



 可笑しいですよね、と言いながらカーラは苦笑を浮かべる。



「この世界はゲームの世界です。私の料理を食べているほとんどの方はNPCで、本当のお客様というわけではないですし、そもそも私が本来やらなければならない事はFDPの攻略で、私達を含めた二百五名の命を救い出す事です。称号となりそうな事以外に力を入れる事自体がそもそも間違いなのに」


「ん……そう、かなぁ。私はそう思わないけど……」

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