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最弱陰陽師は、自分にかけた呪いとまだ向き合えていない  作者: ふみよ
2部

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【文化祭】1

 九月中旬。忌々しくも今日は文化祭の日だ。何故僕が忌々しいなんて思うのかと言うと、別に学校行事に恨みがあるわけでもみんなで団結することが嫌いなわけでもない。


「これ、五番テーブルのパンケーキ。バニラアイス添えだったな」


 僕は皿をトレイに乗せながら次々に作業に取り掛かる。

 僕達のクラスは使われていない空き教室をぶち抜いて喫茶店を開いていた。僕の担当はキッチンで軽食を作ること……なのだが。


「楓くん、キッチンは良いからフロア行って」

「えっ、でも僕はキッチン担当で……」

「人が足りないの! ここは女子でなんとかするから。お願い!」


 女子が僕からエプロンを取り上げて頭からそれを被る。他のキッチン担当の女子達も忙しそうに見えるが……。


「賞金狙ってるんでしょ? アピールしていかなきゃ!」

「わ、わかったよ……気はすすまないけど」


 僕は丸め込まれるようにしてフロア用の衣装に袖を通す。休憩中の葵がぐったりとした様子で僕を見上げた。


「楓ぇ……しんどい」

「動くから余計キツいだろうな、おつかれ」


 僕は軽く葵を労ってから、すぐにお洒落に装飾された店内(きょうしつ)へ出ていく。

 そこに、ちょうど新たな客が入ってきた。

僕は背筋を伸ばして深く深呼吸をしてから一言。


挿絵(By みてみん)


「お……お帰りなさいませっ、ご主人様」


 普段絶対作らないような笑顔で言ってやった。

 ああもちろん、心は死んだ。

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