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長らくお待たせして申し訳ないです。

更新再開します。


 腹が膨れる頃には陽が昇っていた。

 大体十八時には夜明けだな。

 日本時間と逆転リンクしている。

 そして明日は日中が二倍の金曜日。

 狩りがハマるぜ。


 さて、資材は既に揃えてあった。

 と言っても、木材だけであるが。


 俺、船なんて作ったことないぞ。

 どうするんだろうか。


「和船を作ろうと思う」


「和船? 造船クエストで教わったんじゃないのか? 一応舞台背景は中世ヨーロッパみたいな」


 急に話しだしたマルタに、ミツバシが反応した。

 それにマルタが言い返す。


「川だけなら和船で十分だからだ、帆船にもチャレンジしていいと思うが、材料が圧倒的に足りない。構造的に今ある材料で量産できる船を考えた時、輪船で十分だと思ったんだ」


 マルタが言うには、ヨットやクルーザーを作るには準備する物が足りないと言う。

 スクーナー型と言われる帆船には、マストが二つあり、さらに帆が七つほど。

 帆装というらしい。

 バウスプリット、ジブ、フォアガフトップセイル、フォアセイル、メインガフトップセイル、メインセイル、ブーム。


 そんな横文字並べられても何のこっちゃ、わからんよ。

 俺としては帆とか無くていいから、一馬力分で二十万グロウの推進機を購入してほしい所。


「高くて買えん」


「スポンサー」


「私の事ですか?」


 はて、と首を捻るニシトモ。

 さてはこいつ、推進機のことを知ってやがるな?

 マルタに教えてないとなると、金を惜しんだのかこの野郎。


「何事も、初めの一歩が大事ですよ」


「それで手漕ぎってか!」


 ミツバシは、文句を言いつつもマルタの指示通りに木材を切り出していた。

 そうか、いずれ動力部を取り替えるなら帆船である必要は無い。

 そして男のロマン、パドルシップである必要すらないのだ。


「ケチりやがったな、設計図は?」


「そんな物無い。造船スキルに和船の簡単な作り方が解放されているだけだ」


「共有しろよ」


「やり方がわからん。でも切り出す為の下書きはしてるから」


「幸先無さそうだな」


 船首と船尾の向きを揃えて切り出した木材が揃った。

 ホケ、タチド、舟底、ゴバンという部位ごとに並べて行く。


 ホケは船の側面。

 タチドは船首の部分。

 舟底は文字通りで、ゴバンは船尾。

 舟釘を用意した板を打ち込んで行く。

 

「本来ならば、舟底を作る際に木目にそったナチュラルカーブを描いて、接触する面積を増やす手法があるのだが、それはスキルレベルが足りないらしい、少々頼りないが、まあいいだろう」


「行き当たりばったりかおい! マルタ!」


「擦り合わせって技法なんだが、ぶっちゃけ必要な小道具『スリアワセノコ』も無いから」


「聞いてんのかよ! 誰に言ってんだおい!」


 彼が言うには、特殊なのこぎりで挽くことによって、切断面は毛羽立ち、水を含むと膨張する。

 そうする事に寄って水漏れを防ぐことができるんだと。


「板の欠損も無いから楽だ」


「流石、トモガラさんの木材ですね」


「次は木殺しなんだが、もう既に釘を打ち込んでいるので省略」


 板の側面を金槌で叩き、収縮されると元に戻ろうとする木の復元力でより接合面を密着させる工程だという。

 ……うーん、色々すっ飛ばしてるけどこれ、本当に船になるの?

 胸に感じた一抹の不安。

 そっと心に閉まっておきましょう。


「接着するんだが、接着剤として使えそうなのがこれしかなかった」


 そう言ってマルタが見せた物はこちら。



【狩蜘蛛の粘液】

蜘蛛の糸に良く馴染む粘液。

接着剤としても用いられる。



 ああ、これね。

 ハントスパイダーからドロップする接着剤だった。


「何となくだが、隙間を埋めるのに役立つかなって思って仕入れてもらった」


「何となく仕入れてと言われて仕入れて来ました」


「もう、黙って」


 ミツバシが白旗をあげている。

 これは珍しいな。

 一方で、俺はひた向きに作業に集中するだけだ。

 繰り返し繰り返しの作業で、舟底が完成する。


「同じようにホケもタチドもゴバンもやる、少し心配だから、補強がてら棒板を打ち込んでおこう」


「……舟底から釘出てるけど、いいのな? あ、いいんだ、あっそう」


 ちなみにマルタが補強がてらに打ち込んでいる箇所の名前はヨコバリと言う。

 ホケとホケの間、船の内側に支えとして渡し、水圧を防ぐ役目を持つ。

 一応寸法は取ってあってそれなりにピッタリした物になっているが、心配だなあ。

 そして約六時間で完成した物がこちら。



【和船らしき物】製作者:マルタ、ミツバシ、ローレント

木材を繋ぎ合わせて船の形を取ったもの。

作りやすく壊れやすい。



 ダメじゃねーか。

 製作者は誰でも通る道なのだろうか。


「だめじゃねーか!!!」


「浮けば問題ない」


「ありありなんですけど!?」


「私は見ていますね」


 さり気なく、ニシトモは距離を取った。

 逃げたなコイツ。

 三人で船を川岸に運んで行く。

 桟橋のとなりから、マルタがインナー姿になって入水。

 船を引っ張って行く。


「おお! 浮いた!」


 ミツバシとマルタは少し感動しながら船に乗り込む。

 意外なことに大人二人が乗っても船は浮力を保っている。

 少しだけ揺れるが、筏よりも十分なバランス力があった。


 そして、


「おい、漏れてるぞ。ここ、湿ってきてる」


「あ、船尾の方から水漏れだ。寸法間違えたかな?」


「間違えたかな? っじゃねーよアホタレ! 助けてローレント」


「グッバイ」


「てめええええええええ」


 二人と一隻、仲良く沈むのであった。

 後ろの方でニシトモが「うーんやっぱり造りが甘いでしょうねぇ」と頷いていた。

 こいつ、承知でやらせやがったのか!?




 さて、時間帯は昼時になったので、沈没ブラザーズとはお別れ。

 師匠の元へと急がねばならない。

 ちなみに造船中、ローヴォは木陰でずっと休んでいるか、時折居なくなると、サンドイッチを加えて戻って来て食べていた。


 おい駄犬。

 お前サイゼミアンに通ってんのか?


「遅い」


「すいません」


 テンバーにあるスティーブンの家へと戻ると、彼は椅子に座ってパイプをふかしていた。

 部屋の中はかなり煙たい。

 部屋を明ける準備をして閉め切っていたのだろうか。


「少し急ぎに成るかもしれん」


「わかりました」


 パイプの灰を、受け皿にこつんと落とした瞬間。

 場面が切り替わる。

 古めかしい質素な部屋から、少し装飾に拘った造りの部屋に切り替わる。

 書類が目一杯積まれ、広げられた机の向こうにエドワルド。

 そしてその近くの机にて必至に判子らしき物を押し続ける、【必勝】と書かれた鉢巻きを巻いたレイラとツクヨイの姿があった。


「スティーブン、ここへ来るときは入り口から入るように言ってなかったか?」


「え、何よローレント、急に」


「ひえ! びびび、びっくりしてないですよ?」


 三者三様の反応があった。

 呆れる町長、エドワルドにスティーブンが自慢の髭をポリポリと掻きながら言い返した。


「時間を守れんそこの弟子に言うんじゃな」


「え……」


 横暴だ。

 玄関に転移してそこから歩けば良かったんじゃないだろうか。


「まったく、これだから転移使いは」


 エドワルドは溜息を尽きながら書類に視線を落とす。

 そしてふと、指を止めて、視線を落としたまま告げる。


「ああ、連れて行くんだね」


「エドワルドさん、連れて行くってどこに?」


 話の内容がわからないと言う風にレイラが口を挟む。

 うむ、俺もわからんのだよ。

 説明してほしい。


「うむ、これから先へ進むエリアには、エドの許可が必要でな。わし一人ならば問題ないのじゃが、今回は修練を兼ねてこいつを連れて行く」


「頭叩かないでください」


「ぷっくく……、スティーブンの露骨な師匠アピールも久々に見るね」


「たわけが、こいつの修行に付き合わされて腰が痛いわい」


「ちょっと、おいてかないでよ。話がわからないんですけど」


「ああ、レイラさんは基本的に裏方の薬師だから余り関係無いんだけど……、いや関係無い事もないか。最近モンスターが増えていて回復ポーションが足りない状況が出て来てるでしょう? 簡単に話をすれば、その調査かな、ついでに私からも君たちに個人依頼でも頼もうか」


「これ」


 一人語りしだしたエドワルドに、スティーブンが声を上げる。


「連れて行けというのか?」


「ダメかな? むしろ僕としてはツクヨイさんはそろそろ君の下に向かわせようと思ってたんだけれど?」


「……弟子は一人で足りておる」


「手がかからないでしょ、そのお弟子さん。魔法もそこまで使わないみたいだし」


 急にやり玉に上げられたツクヨイははてなマークを浮かべていたが、錬金術に関してもう教えを受けられないと勘違いして、涙ぐんで声を上げた。


「エド師匠ぉ~! は、破門ですか?」


「いいや違うよ。最近は錬金術にかまけてばかりで、闇魔法を覚えてなかったでしょう? 君の頑張りは評価してるから、そろそろ魔法使いとしても位を上げてみたらどうかなって思ってね。うん、クラスが上がるまで錬金術は私から教える事は無いよ」


「は、はいぃ」


 諭すように言うエドワルド。

 ツクヨイの書類を持つ手に力が入っていた。


「だからもう書類仕事手伝わなくていいよ」


「はい! 行って参ります! 恥じぬべきぶらっくぷれいやぁになって戻って来ます!」


 変わり身早っ。

 レイラが鉢巻きを翻し、紙束巻き上げて立ち上がった。


「ちょ! 逃げる気かしら! ツクヨイ! ええい私も弟子入りしまーす!」


「レイラさんは村長スキル持ってるでしょ? しばらく私の所で学んでください」


「やーーーー!!」


「レイラお姉様。私の鉢巻きも使ってください」


「要らないわよ!」


 弟子取りを拒否するタイミングを失ったスティーブンが、その様子に呆れながら口を開く。


「……いくかの」


「うん、頑張ってね。説明はスティーブンの口からよろしくね」


 指がパチンと鳴る。

 そして、風景がガラリと変わる。

 辺り一帯、鬱蒼とした森が広がっていた。

 目の前には人が辛うじて住めそうなボロ小屋。

 伸びた蔓は屋根まで這っている。


「気を抜くでない、特にそこの……」


「ツクヨイです!」


「うむ、レベルは?」


「二十三です!」


「何を修めとる?」


「錬金術と闇魔法のみです!」


「うむ、見事な組み合わせじゃ。育て甲斐があるのう」


 横目で俺を見るな。

 何が言いたいかはわかってる。


「その……アポートは教えてもらえないんですか?」


「うむ、今更覚えるより、闇魔法スキルを伸ばす方が遥かにマシじゃろう」


「そうですか……」


「気に病むでない、わしがもっとすごい魔法を教えてやる」


「は、はい!」


 あれ、スティーブン。

 なんかめっちゃ優しいおじいちゃんって雰囲気になってるんだけど。


 納得いかねー!

 孫にのろけるジジイめ!

 そんなに若い女が良いのか!

 俺にももっとすごい魔法教えてくれー!


 そんなことを思いながら、小屋へと入るのである。





生産職に新たな仲間が増えました。

造船への道は遠いのである。

ちなみに船はちゃんと購入できます。

ただ、ニシトモがそれを言わないだけです。



タイアップイベントとか言い続けながら、

未だにイベント模様を書いてないとかいう展開の遅さです。

イベントになったら基本的に主人公無双します。

実際に、レベル差やばいので。笑



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